硬くてまっすぐなはずの鉛筆が、水に入れると折れ曲がって見えるのはなぜでしょうか?
それは光の屈折のためです。
ここでいう2つの異なる媒質は何だと思いますか?
それは、「空気」と「水」です。
以下に、鉛筆が曲がって見える理由について、光が水中から空気中へ侵入する際に光が屈折して目に入ってくる仕組みを考えながらみていきましょう。
鉛筆が曲がってみえる理由「光の屈折」
鉛筆の先端からくる光線が目に向かって進むとき、「水中から空気中へ」の境目で光は方向を変えます。
光はまず密度が高くて進みにくい水中を通り、次に、密度が低くて動きやすい空気中に進み、そこで光の進む速さが上がります。この速度の変化によって、光は屈折します。
これらの屈折した光線が私たちの目に達すると、私たちの目は光がまっすぐに進むと思い込んでいるため、光線は、元の位置よりもわずかに上の点から来るように見えるのです。
その結果、水中に入った鉛筆の部分がずれて見えるというわけです。
私たちが、陸から魚を見るときに、実際の魚の位置よりも近く見えたり、川底が近く(実際より浅く)に見えるのもこの光の屈折のせいです。
実は、光の屈折は、同じ空気中でも温度や湿度の差によって引き起こされます。
蜃気楼が見えるのも、虹ができるのも、星が夜空でキラキラとまたたくのも、水に入れた鉛筆が曲がってみえるのも、光の屈折によるものです。
光が屈折しない唯一の条件とは
光が異なる媒質へ侵入するとき、その境界線で速度を変えても屈折しない条件が一つだけあります。
光が境界に垂直な方向に進む場合で、屈折は起こりません。
異なる媒質から獲物を狙う生き物たちの能力
この光の屈折を考えると、水中から空気中の獲物を水で狙い落すテッポウウオの能力には驚かされます。
獲物から目に届く光は、空気と水の境界で屈折するため、水中の獲物との見かけの距離や角度は歪んで見えるはずです。さらに、水を飛ばす距離が長くなるほど、勢いがなくなって水は曲がります。
それにもかかわらず、彼らはどうやって水中からピンポイントで空中の獲物を叩き落としているのでしょうか?
光の屈折の影響を受けないために、獲物の真下まで近づこうとするとすぐに気付かれてしまいます。
かといって、水中から嗅覚は役に立ちません。
実のところ、テッポウウオの能力の秘密についてはまだはっきりと解明できていませんが、彼らの目の構造が、境界面の歪みを補正するのに役立っているのではないかと考えられています。