もしハッブル宇宙望遠鏡が地球に向いているとしたら、地球はどれほど鮮明に見えるのでしょうか?
実際には、想像に反して画像はぼやけ、解像度は悪くなります。
それは、一部の人がいうように、地球が明るすぎるからというわけではありません。
地球を覆う大気が邪魔となっているからです。
加えてハッブル望遠鏡は、地球の周りを公転しているため、撮影された画像は、どうしてもその速度によってぼやけてしまうのです。
以下に、地上約600km上空の軌道上を周回するハッブル望遠鏡を例に、地球がどのように見えるのかについてとてもおもしろい現象を分かりやすく紹介します。
解像度の高い宇宙望遠鏡
ハッブル宇宙望遠鏡は、細かい部分を区別する能力(角度分解能)にとても優れています。
(2024年の段階で)地球から320億光年先にある最も離れた銀河として知られる「GN-z11」を発見した望遠鏡でもあります。
では、そんな解像度の高いハッブル望遠鏡が、約600km上空の軌道から地球を見た場合、地球はどれほどきれいに見えるのでしょうか?
ハッブル宇宙望遠鏡の分解能は、約0.01秒角(1秒は1度の3600分の1)。理論的には0.3m、30cmに相当します。
しかし、最大級の「ハッブル宇宙望遠鏡」宇宙から見る星は地球とは何が違うのか?でも紹介したように、ハッブル望遠鏡は、大気を通して地球を見なければならないため、画像がぼやけ、どうしても実際の解像度は悪くなってしまいます。
加えて、ハッブル望遠鏡は地球の周りを毎秒7km以上の速度で公転しています。
これは、アメリカ大陸を約10分で横断できる速さに相当します。
地球の自転速度は、赤道上で毎秒約460mであることを考えても、一瞬の撮影でさえ、画像は公転スピードによってぼやけてしまうのです。