日の出前には明けの明星として、日没後には宵の明星として現れる「金星」は、空で最も見つけやすい惑星の1つです。
それは、ただ他の惑星よりも明るく輝いているからという理由だけではありません。
いつも太陽の方向に見え、月のように満ち欠けし、他の恒星のようにきらめいたりはせず、光を反射する厚い雲から黄白色を放っています。
ここでは、金星について、夜空で見る他の惑星や星(恒星)との違い、また、見分け方のコツをその理由とともに紹介します。
惑星の見え方の共通点
金星と他の惑星の違いを見る前に、まずは、共通した特徴を見てみましょう。
すべての惑星は、太陽と同じように東から昇り、西に沈みます。
そして、すべての惑星は、太陽が空を横切る経路として知られる黄道に従います。
実は、太陽系のすべての惑星が肉眼で見えるわけではありません。
一般的に見える惑星は、水星、金星、火星、木星、土星で、これら5つは古代から知られてきた惑星です。
惑星と星(恒星)の見え方の違い
惑星の動きは、夜空の他の星(恒星)とは異なります。
星は互いに固定された位置関係を維持し、時間の経過とともに、中心点である北極星の周りをぐるりと回っているように見えますが、惑星は恒星の背景をさまよっているように見えます。
惑星のユニークな動き方は、明らかに他の星とは異なっています。
たしかに、惑星の動きのパターンは一晩では観察できません。
しかし、明るさや色、経路が時間の経過とともにどのように変化するかなど、それぞれの惑星の違いを判断する方法はいくつかあります。
金星は夜空で最も明るい惑星
金星を他のすべての惑星と区別する最初の方法は、その明るさです。
金星の輝きは、光を反射する雲のような濃い大気によるものです。
これらの雲は主に二酸化炭素と硫酸で構成されており、金星に当たる太陽光の大部分を散乱させ、その光は宇宙に直接跳ね返ります。
金星が地球に近いこともあり、金星は夜空で(月の次に)最も明るく輝いている惑星で、最大高度は、地球から見える恒星の中で最も明るく、「シリウス」の16倍にもなります。
最も光を反射する惑星
科学者は、物体の表面が光を反射する方法(割合)を説明するためにアルベド(Albedo)という用語を使用しています。
完全に反射する物体のアルベドは1(白)ですが、全く反射しない物体のアルベドは0(黒)です。
この値は、物体にどれくらい光沢があるかを尋ねるようなものです。
アルベドが高いものは、鏡や雪のように多くの光を反射します。一方で低いものは、暗い岩のように多くの光を吸収します。
そして、アルベドは、太陽光をどれだけ反射するか、または吸収するかを制御することによって、惑星や衛星がどれくらい暑くなるかや寒くなるかを決定するのに役立ちます。
では、ここで惑星を見てみましょう。
金星は、光を反射する厚い雲のような大気に覆われていることで、アルベドが 0.7 (70%) と高くなっています。
地球のアルベドは平均約0.3 (30%) で、これは雲、氷、海から反射された光です。
月は、表面が暗い岩なのでアルボが約0.12 (12%) と低く、届く太陽光のほとんどを吸収します。
惑星の明るさが変化する理由
惑星の明るさは時間とともに変化しますが、これにはいくつかの理由があります。
まず、地球からの距離です。
惑星は、距離が近いほど明るく見え、遠いほど暗くなります。
そして、太陽、金星、地球の順で一直線に並んだ内合の位置から少し外れたところで、地球から一番明るく見える最大光度となります。
太陽の向こう側にあるとき、つまり、金星、太陽、地球の順で一直線に並んだ状態(外合)では、満月のように見えますが、金星は遠く離れているために小さく、暗くみえます。
金星は位置の変化が速い
金星を他のすべての惑星と区別する2番目の方法は、位置の変化です。
金星の空の位置は、火星、木星、土星などの惑星と比較して急速に変化します。
それは、金星が地球よりも太陽に近い内側の軌道を回っているからで、そのため薄暮い時間帯にしか見ることはできません。夜には、地球から見える方向にないため(太陽の側にある)見ることはできません。
一番星としても知られ、日没後に西の空で輝いているのが「宵の明星」、日の出前に見える場合は「明けの明星」となります。
対照的に、火星、木星、土星などの惑星は、太陽から遠く離れているため、見た目の移動スピードが遅く見えます。
他の惑星との色や形の違い
金星は、その外観と色によっても際立っています。
厚い雲が太陽光を反射しているため、黄色がかった白に輝いていますが、火星は表面の酸化鉄により赤みがかっています。
木星の光は淡い白に見え、土星の色は淡い黄色であることが多いようです。
望遠鏡で見ると金星は、月のように満ち欠けしてみえますが、火星、木星、土星にはそういった位相はありません。
赤っぽい火星は、平原やクレーターである暗い斑点などの表面の特徴を示し、明るい白色の極冠(きょくかん:氷に覆われた高緯度地域)もあります。
木星は金星に次いで2番目に明るい惑星です。望遠鏡で木星を見ると、淡い黄色がかった白にかすかなオレンジと紫がかった紫がしま模様のように見えます。
望遠鏡で土星を観察すると、リングに囲まれたクリーム色の惑星が見えます。また、良好な観測条件の下では、タイタンなどの衛星をいくつか小さな光点で発見できます。
結論として、金星は明るい黄色がかった均一な輝きを放ち、望遠鏡で見ると位相が目立ち、すべての惑星の中で最も明るい惑星です。
他の惑星とは異なり、日の出前には明けの明星として、日没後には宵の明星として現れます。
その安定した点滅しない光は星の瞬きと対照的で、適切な条件下では日中でも見ることができます。
金星と他の惑星との比較については、以下の動画で見ることができます。