飛行機から見ると、世界にはいろいろな形の農場があることに気付きます。
たとえば北海道では、風景全体がほぼ完璧な正方形からなるパッチワークのような農地。
イギリスの農園は、不規則なパズルのピースがぎっしり詰まったような形をしています。
ボリビアのある地方では、農園がパイのような形をしています。
北米ケベック州のセントローレンス川沿いには、細長い糸状の農地がぎっしりと敷き詰められています。
ウィスコンシン州では、曲線的な縞模様の農地が広がっています。
南アフリカのオレンジリバー沿いには、丸い水玉模様の田園風景が。
リビアの農場は六角形。
中国南部の畑は、まるで指紋のようにうねった段々畑が重なっています。
これは、世界にある農場のほんの一部の形です。
では、なぜ農園がパズルピースなのか、六角形なのか、指紋の形なの不思議に思いませんか?
どんな力によってこれらの農場の形が作られているのでしょうか?
以下に農場の形のナゾについてみていきましょう。
農地の目的「何を育てるか」
作物を育てる畑は、定期的に耕し、植え、収穫する必要があります。
多くの場合、それらは機械で行います。大きくて重たい農機具を効率的に活用するためには、直線的な農地がよい傾向が高いようです。
動物が放牧される農場は、そのような制約がないため、完全な正方形もあれば、もっと不規則な形もあります。
地理的な条件
農場の形は、地理的な条件も大きく影響します。
例えば、傾斜地の場合、作物を耕作するためには平らな段々畑を作らなければなりません。
また、傾斜が緩やかな場所では、水が流れて土や栄養分が畑から流出しやすくなります。
そのため、農家はこの浸食を考えて、土地の輪郭に沿って作物を植えることがありますが、これにより水が滞留しやすくなり、先に述べたウィスコンシン州のような縞模様の農場ができるのです。
水へのアクセス
また、農場の水がどこから来るかという問題もあります。
水が少ないところでは、農家は灌漑に頼っており、多くの場合、中央の水源から水を周りに分配しています。
そのため、多くの灌漑農地は一点から四方八方にひろがった放射状の形をしています。
円形の畑は、中央の回転式スプリンクラーから。
六角形の農場は、地下深くからくみ上げた水を、直線を繋ぎ合わせた灌漑設備によっていきわたらせるために適した形をしています。
六角形なら、隙間や重なる部分をなくして水を届ける面積全体をカバーできるだけでなく、6方向すべての距離、つまり、四角や丸よりも多くの地域をカバーできるというメリットがあるのです。
また、水が豊富な場所であっても、農場は水へのアクセスを考えなければなりません。
セントローレンス川沿いにある細長く伸びた農地は、川から水を引くための水路に沿って、長くて狭い農地が並んだ区画が整備されました。
いわゆる「リボンファーム(リボン農場)」と呼ばれる農場の形で、世界のさまざまな地域で見られます。
また、リボンファームがある地域は、自分の畑の端(川沿い)に家屋が密集しているため、隣人を夕食に招きやすかったことから、結束の固いコミュニティが生まれました。
実のところ、リビアの六角形の農場にしても、ボリビアのパイの農場にしても、畑の中心に家が密集しているのがわかります。
どうやら人々は、コミュニティーで協力しながら共同農場を行うことで発展してきたようです。
ベストな農場の形とは
しかし、これらは、まだ一部に過ぎません。
地球上の農場は驚くほど多様であり、歴史や地理的な背景、技術、気候、文化など、さまざまな要素が相互に作用して、どの農場も形成されているのです。
いかがでしたか?
それぞれの地域の農地が、計画的に設計された形なのか、それとも自然に発展した形なのか、そして、その農地が何を栽培しているのか、植物なのかそれとも、動物を飼育しているのかなどさまざまな要因が関係しているようです。
農場の形は、その土地について多くのことを教えてくれことが分かりましたね。