国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士は、ペットボトルの水をケースで注文することはできません。
地球から水を持っていくのは法外なコストがかかるので、彼らは、汗や呼気の結露、さらには尿まで、ほとんどすべての水源から水を再利用しているのです。
宇宙では、特殊な水管理システムが一滴残らず水資源を抽出し、浄化して飲料水にしています。
そして、それがたとえ尿であっても、このリサイクルされた水は、地球の水道水よりもきれいだといわれています。
以下に、宇宙での水は何からどのように安定して供給されているのかについて紹介します。
宇宙での「水」とは
宇宙旅行では、忘れ物なんてもっての他!正確な荷造りが求められます。
宇宙への輸送にはとてつもない費用がかかるため、たとえ小さなものであっても綿密に目録化され、記録しなければなりません。
さて、宇宙で最も重要で重量のあるもののひとつは水です。
そう考えると、宇宙飛行士が何か月も宇宙船に乗りながら、どうやって飲料水の補給を維持しているのか不思議に思いませんか?
宇宙への定期的な水輸送は不可能
人類が宇宙で最も遠くに設置した前線の基地が国際宇宙ステーション(ISS)です。
この軌道上の研究室は、常に一握りの宇宙飛行士に安定した住まいを提供し、研究や運用努力の重要な出発点となっています。
繰り返しますが、宇宙への物資の輸送には多額の費用がかかります。
たとえば、スペースX社のロケットの打ち上げだけで、約450gあたり35万円以上に相当。
つまり、水を定期的に地球から輸送することは経済的に不可能なのです。
宇宙での水資源の源
そのため、ISSでは、「水の問題」を克服するために、いくつかの革新的な対策があります。
ISSにいる間、限られた水以外に補給する方法がないため、宇宙飛行士はリサイクルに頼らざるを得ません。
宇宙飛行士たちは、息を吐いたり汗をかいたりするたびに水分が失われています。
微量とはいえ、これらの蒸気を集めると、キャビンの周囲湿度を高めることになります。
そうです。これらの蒸気は最終的には凝縮され、ISSの一般的な備蓄水の補充に利用されているのです。
宇宙で水を確保するための対策
さらに、ISSには特殊な水管理システムがあり、宇宙飛行士の呼気、シャワーの流水、手洗いや口腔衛生の残留物、汗や尿に至るまで、アクセス可能なあらゆる水滴を抽出できます。
ISSの水システムの責任者であるレイン・カーターの言葉を借りれば、そうした水は、呼気や汗からきたものであることを無視すれば、ペットボトルの水のような味だそうです。
ISSの動物たちも、こうした持続可能な取り組みに貢献しています。
彼らもまた息を吐き、排尿することで、節水への取り組みに貢献しているのです。
このような厳しい措置がなければ、たった4人の乗組員だとしても、ISSに1年間滞在するためには、地球から由来の水が4万ポンド(約18万リットル)必要になってしまうでしょう。
宇宙のリサイクル水は純度が高い
注目すべきは、船内のリサイクル水は通常の水道水よりもきれいであることです。
しかし、水をリサイクルするためには、最初にある程度の水が必要であることは事実。
そのため、ISSのロシアのモジュール「ザーリャ」には、非常用の水容器「CWC」が搭載されています。
各CWCはダッフルバッグ(大容量の旅行バッグ)に似たもので、約90ポンド(40キロ)の水を入れることができます。
興味深いことに、ISSに滞在する宇宙飛行士全員が尿をリサイクルした水を飲むわけではないようです。
ISSのロシア・セグメントでは、シャワーの流出水と凝縮水のみを使用する別の水ろ過システムを採用しています。
このような節水システムは効果的ではありますが、完全に効率的というわけではありません。
研究者たちは、水の浪費を最小限に抑え、廃棄物からの水回収を最大化するために、これまで以上に効率的な機械や支援システムの開発に絶えず取り組んでいます。
ISSでの節水は最も重要であり、ISSに滞在する人々は、地球上、あるいはそれ以上のレベルで、おそらく最も水を大切にする人々なのです。