なぜイギリスの法廷では白いカツラをかぶるのか?

2021年9月 1日

イギリスの法廷で、弁護士や裁判官が白いカツラ(ウィッグ)をかぶるのを不思議に思ったことはありませんか?

実は、あの法廷を象徴するウィッグは、フランスのルイ14世が始めた流行なのです。

今回は、誰もが気になるカツラのナゾについて、イギリスでその伝統がいつから始まり、なぜ今の法廷でも維持されているのかを中心に紹介します。

イギリスの法廷でウィッグをかぶるようになった理由

フランスのルイ14世がこの流行を始めたのは17世紀半ばのことでした。

当時は梅毒と呼ばれる病が流行し、禿げた頭皮は、梅毒に感染していることを示すサインだと考えられていました。

そこで、フランスの王がウィッグをかぶって頭皮を隠したことから、それが上流階級や中流階級に広まり、イギリスではチャールズ2世がこれにならいました。

宮廷では、この流行を取り入れるのが遅かったのですが、1685年頃に法廷弁護人らも中流階級の一員とみなされるようになったことをうけ、肩までのウィッグが法廷での正装の一部となったのです。

なぜイギリスでウィッグの伝統は続いているのか?

1820年代になると、ウィッグは廃れましたが、法廷関係者は着用し続けました。

2007年には、家庭裁判所や民事裁判所、英国最高裁判所への出廷の際にはウィッグは必要ではなくなりましたが、刑事事件ではまだ着用されており、民事訴訟の際にウィッグを着用する法廷弁護人もいます。

では、なぜ彼らはいまだにウィッグを着用しているのでしょうか?

最もよく知られる理由は、法廷手続きにフォーマル感や静粛さをもたらすなどの理由です。

法廷弁護人は、ガウンとウィッグを着用することで、英国法において発生した法概念の豊かな歴史と、訴訟手続きにおける法律の優位性を表現しています。

また、ウィッグを着用することで、法と法廷に立つ者との間に視覚的な隔たりができるという議論もあります。

裁判官はウィッグの着用の可否を要求できる

裁判官は、法廷での服装を決定する権利を持っており、例えば、法廷にいる子供たちを威嚇するような場合や、暑い時期には、自分の判断で法廷服を着用しないように要求することができます。

つまり、これらはルールというよりも象徴的な問題のようです。

現在、裁判所はウィッグを着用する法廷弁護士に対して柔軟性を示しているため、今後50年の間にウィッグが廃止される可能性もあるようです。