もう一人の自分が見える幻覚「ドッペルゲンガー」について

2016年11月16日

ふと気づくと、自分と全く同じ容姿をした人がそこにいた。このような不思議な体験をしたことはありますか?

もう一人の自分の存在に関しては、ドイツ語で「ドッペルゲンガー」、英語では「double goer」と呼ばれ、何百年も前から、絵画や神話、伝説の中に、幻覚や超常現象のひとつとして登場しています。

肉体から霊魂が分離したものとして、死や災難などが起こる悪い兆候と信じられていたこともありますが、最近の研究によって、少しずつその正体が分かってきました。

一体ドッペルゲンガーとは何か?

昔から、ドッペルゲンガーについては、超常現象的なものだけでなく、科学的な観点でも様々な憶測が憶測を呼んできました。

たとえば、意識してものを見ていないときに、漠然と見える周辺視野(焦点を合わせている視野の外側の解像度が低い部分)によるものであるという説。

また、地球上には約70億人以上もいるので、自分と全く同じ顔をした血のつながりが無い他人が偶然に巡り合う可能性もあるのではないかという説などです。

しかし、不思議なことに、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンやロシアの女帝エカテリーナ2世、エリザベス一世をはじめ、数多くの人が、死ぬ間際に自身のドッペルゲンガーを見ているという報告もあり、謎は深まるばかりでした。

エイブラハム・リンカーンが見たドッペルゲンガー

ある夜、エイブラハム・リンカーンは、部屋でリラックスしながら、ふと横にある鏡を見たところ、そこで、自分自身とほぼ同じ顔をした人物が2人向かい合ってベッドにいるのを見ました。

リンカーンは、驚いて鏡を確認しますが、ドッペルゲンガーの姿はもう消えていました。そして、再度横たわるとまた現れたそうです。その人物は、自分よりも背は少し低く、青白い顔をしていたといいます。

この体験をしたとき、リンカーンは、ひどい頭痛を感じたと報告されています。

ドッペルゲンガーに関する研究

ある医師が、てんかんの手術前に、患者の側頭頂接合部に電気刺激を行ったところ、その患者は、自分の影のような物体を見た後、横たわるとその物体が向かい合って目の前にいたといいます。それは、リンカーンの体験に非常によく似たものでした。

これをきっかけに、世界ではドッペルゲンガーに関する様々な研究が行われました。

そして、2006年度の研究論文誌「ネイチャー」において科学者は、ドッペルゲンガーのような超常現象が見えるのは、側頭葉の混乱によるものだと結論付けました。

また、神経科学者のMichel Persinger氏は、ある電気の流れを側頭部に起こすと、誰かが一緒にいるような感覚や自分を見守っているような感覚など、宗教的な現象を誘発することを発見しました。

しかし、現段階の研究では、手がかりはあれども、自分の分身を作り出すまでにはいたってはいません。