溺れているときに体の中では何が起こっているのか?

2017年9月 1日

毎年、37万人もの人が世界各地で水難事故によって命を落としています。

そのなかでも最もリスクが高いのが5歳以下の子供で、水の深さがたったの数センチ程度でも溺死してしまう危険性があるといわれています。

それでは人は何が原因で溺死してしまうのでしょうか?溺れているときにいったい体に何が起こっているのでしょうか?

ここでは、人が溺れ始めてから命を落としてしまうまでに、体の中でどのようなことが起こっているのかについて、科学的にLife Nogginが解明したことを分かりやすく紹介します。

溺れたときに体内で引き起こされること

水難事故に遭遇した場合、「助けて」とあわただしく叫ぶのは映画やテレビの世界だけで、実際には、声が出ることはほとんどありません。

溺れたら多くの場合、口が水面に沈んでは、呼吸のために水面から出すという動作を繰り返すので精一杯です。

そして、時間の経過に伴って呼吸がしづらくなると、過呼吸(過換気症候群)状態になり、そのまま水を吸い込んで喉頭(こうとう)けいれんを引き起こします。

まず、喉頭けいれんが起こる

水難事故でよくみられる喉頭けいれんは、水が喉頭内に流入したことが刺激となって、肺を守るために声帯(せいたい)がけいれんを起こして空気の道をふさいでしまい、呼吸困難に陥るケースです。

そうなると、大声を出して助けを求めるのは非常に難しくなります。

次に、低酸素症を引き起こす

さらに、呼吸によって酸素が得られなくなると、身体組織への酸素供給が低下してしまい、低酸素症を引き起こして意識を失います。

すると、けいれんを起こしていた筋肉が緩んで、肺に水が流入し始め、やがて肺は水でいっぱいになります。

呼吸が妨げられて体内に空気が入らなくなってから命を落とすまでの時間には個人差がありますが、命を落とさない場合でも、体内ではさまざまなの器官が損傷する可能性があります。

たとえば、2013年の研究によると、水に沈んでから10分以上経過した場合、脳損傷が、ほとんど、または、全くない状態で生存できる可能性が非常に低いことが分かりました。また、酸素欠如によって、心停止が引き起こされる可能性も十分にあります。

溺れるということは、それほど危険で恐ろしいことなので、海や川で遊ぶときは、必ずライフジャケットを着用するようにしてください。

低体温症の影響について

さらに、人間は、冷たい水の中では、体の深部の温度が35度以下まで低下し、低体温症になる恐れもあります。

そうなると、全身がひどく震え、動きが鈍くなり、意識がぼんやりとしてきます。最終的に、心臓の動きや呼吸、新陳代謝も悪くなって、意識を失います。なかには低体温症によって命を落とすことさえあります。

このように、低体温症は恐ろしい症状のひとつではありますが、低体温症の潜水反射によって、溺れて10分以上も水に沈んでいた幼い子供が生き残っていたケースもあります。

それは、下記のような理由からです。

低体温症になると、血液を脳など重要な器官に優先的に送るために、体の他の部位の血管が収縮し、心拍数が低下します。

この潜水反射のおかげで、酸素消費が抑えられ、結果的に低酸素症による体の組織の損傷が防がれたからではないかといわれています。