なぜ動脈からではなく静脈から採血するのか

なぜ動脈ではなく静脈なのか?人体の不思議

簡単にいうと、その方が医師やスタッフにとっても、採血を受ける側にとっても楽だからです。

静脈の構造や位置を考えると、動脈との比較においていくつかのメリットがあります。

純粋に実用的な点からは、静脈の方が皮膚の表面に近く、数も多いのでアクセスしやすいといった点や壁が薄いので針を刺しやすいのです。

まだありますが、これらのメリットを知るには、まず、動脈と静脈についてもう少し理解しておく必要があるため、以下に分かりやすく紹介します。

動脈、静脈って何?

動脈は心臓から全身に血液を運ぶ血管です。

動脈では、血液は「ほとんど」酸素を含んでいます

ここでほとんどと言ったのは、動脈が脱酸素血液(酸素と結びついていないヘモグロビンを多く含む)を運ぶ2つの例外があるからです。

一つは、心臓から肺へ血液を運ぶ「肺動脈」。

もう一つは、胎児から胎盤へ血液を運ぶ「臍帯動脈」です。

一方で、静脈は、体内の血液を心臓に運ぶ血管なので、脱酸素化した血液を「ほとんど」運びます。

ここでいう「ほとんど」とは、酸素を含んだ血液を心臓に運ぶ肺静脈と臍帯静脈という2つの例外があるからです。

静脈の特徴とメリット

静脈には逆流を防ぐ弁もあり、動脈よりも筋肉が少なくなっています。

血液検査のための採血では、静脈から採血しやすい太い血管を特定する必要があります。

ではなぜ動脈ではなく静脈から採血するのでしょうか?

まず第一に、静脈は皮膚表面に近いため、物理的に言えば採血しやすいといえます。

逆に動脈は皮膚の奥深くにあるため、静脈の方がアクセスしやすく実用的なのです。

また、静脈は動脈よりも血液を取り囲む筋肉が少なく壁が薄いため、針をさすのに必要な力が少なくて済み、神経の分配(神経支配)も少ないので痛みも少ない傾向があります。

また、静脈の圧力は動脈よりも低いので、血液が逆流、出血する可能性も低くなります。

以下の動画では、なぜ動脈ではなく静脈なのかについて確認することができます。

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