指が「ポキッ」と鳴る音の正体とは?頻繁に関節を鳴らすリスクはあるか?

関節が「ポキッ」と鳴る音の正体とは?人体の不思議

立ち上がるときに膝が「ポキ」、首や足首を回すと「パキポキ」。

おそらく誰もが経験したことのある音でしょう。なかには、子供の頃に得意になって指を「ポキポキ」と鳴らしていた人も多いのではないでしょうか?

しかし、関節の音は大きく、ちょっと気になるものです。「何かがおかしい」、「関節が傷つくのでは」と不安になる人がいるのも無理はありません。

そこで今回は、関節が鳴る音は、なぜどのようにして生じるのか、音の正体をはじめ、頻繁に「ポキポキ」鳴らすリスクなどについて紹介します。

どうやら、指をポキポキ鳴らしたからといって、関節が太くなったり、関節炎を発症させたりなど関節に悪いことを示す科学的な根拠はないようです。

関節の仕組み

関節が「ポキポキ」鳴る理由

reference image: wikipedia

さて、関節は、あなたの体の2つの骨が一緒になるところです。

しかし、骨同士は実際には触れ合うことはありません。

もし動くたびに骨同士が直接ぶつかり合うと、摩擦によって骨は粉砕されてしまうからです。

その代わり、骨は、関節軟骨というクッションで覆われていて、滑液(かつえき)と呼ばれる透明な粘液のようなもので潤滑に保たれているのです。

この粘液は、関節全体を包み込む滑膜(かつまく)によってつくられ、分泌されています。

関節が「ポキ」っとなる理由

関節を伸ばしたり曲げたりすると、骨は互いに引き離され、それによって滑膜は伸ばされます。

すると、滑膜の内部のスペースが広がり、圧力が下がります

これは重要なことです。なぜなら、滑液には二酸化炭素や酸素、窒素などの溶存ガスがたくさん溶け込んでいるからです。

キャビテーションと呼ばれるもので、液体の圧力が下がることで、液体内に閉じ込められたガスは、溶けきれなくなり(溶解度が低下)、液体から逃げ出してしまいます。

ヘンリーの法則をご存知でしょうか?

液体の中に溶けることができるガス(気体体の溶解度)は、圧力が高い方が多くなり、圧力が低いと少なくなります

コーラやサイダーなどの(二酸化炭素が高圧で閉じ込められた)炭酸飲料のフタを開けるとシュワっと泡が出てきますね。

これは、フタが開いたことで、ペットボトル内の圧力が減り、水に溶けきれなかった二酸化炭素が出てきたものです。

基本的に、圧力が減って逃げた気体は溶解せず、これらが泡を形成します。

つまり、関節が鳴る時の音は、滑液内に泡が形成された音だったのです。

実際に、関節を鳴らした直後にX線写真を撮ると、泡が見えるそうです。クールですね。

同じ関節を続けて鳴らせない理由

関節を鳴らすと、関節腔内のサイズが約15%増加します。特に肩の関節は可動域が広く、骨周囲の腱や筋が多いので鳴りやすいようです。

その後、気体として逃げたガスが液体に溶解して戻るまでには、約20から30分はかかると考えられています。

そのため、通常、同じ関節を何度も連続して鳴らすことはできません。

関節を「ポキ」っと鳴らすリスクはあるか?

不思議なことに、関節を鳴らすことが危険を伴うのかどうかについてのデータはあまり多くありません。

しかし、60年以上にわたって(右手ではなく)左手の関節を習慣的に鳴らしたことで、2009年にIGノーベル賞を受賞した医師がいます。

Donald Ungerという名の医師で、彼の左手は何十年も関節を鳴らし続けたにもかかわらず、何の問題も引き起こさなかったのです。

これは、専門家による超難解な科学的問題とはいえないかもしれませんが、それでも興味深い話題です。

この医師の様子から、どうやら関節を鳴らすことが関節炎を直接引き起こすような深刻なものではなく、通常何も心配する必要はなさそうです。

しかし、もしかすると握力が弱くなる可能性はあるようです。

おそらく握力への悪影響は、滑膜や腱が引き伸ばされた結果でしょう。

まれに、激しい運動をすると、関節が鳴る音が聞こえますが、これは筋肉が硬くなり、骨と摩擦を起こしている可能性があります。その場合は、運動前に適切なストレッチを行い、筋肉を柔軟にリラックスさせましょう。それによってケガのリスクも減らすことができます。

加齢による軟骨のすり減りが原因でも、関節の音が大きくなることがあります。軟骨の一部その場合は、関節周りの筋肉を強化するようなトレーニングを取り入れてみましょう。

年齢を問わず、できるだけ立ち上がって身体を動かすことで、体内の潤滑液の量が増え、関節の動きはよりスムーズになります。

そうはいっても、関節を鳴らして痛みや腫れを伴ったり、過去のケガや軟骨が摩耗するといった関節炎が原因で音が鳴ったりすることもあるので、気になるときは、それがさらなる問題に発展する前に医師に相談して原因を探る必要があります。

参照元:https://youtu.be/pqfK-GLNjgA