ウニは、海底をただじっとしているわけではありません。
みなさんの想像以上に動き回っています。
ではどうやってウニは移動しているのでしょうか?
その秘密は、トゲの間をゆらゆらしている細い管にあります。
以下に、ウニの移動方法や食事の仕方などとてもユニークな生態についてみていきましょう。
ウニのトゲと管
ウニの表面にある大きなトゲを近くで見てみましょう。
ウニの表皮を取り除くとこのような固い炭酸カルシウムでできた骨格になります。
実は、ウニのトゲは、この表面の白いコブにくっついています。
水中のウニを見てください。
何か奇妙なものがあることにお気づきでしょうか。
トゲの間には、管足(かんそく)と呼ばれる小さな管がたくさんあって(写真の白い矢印)、くねくね動いています。
管足は、固い骨格のこの歩帯と呼ばれる部分から出ています。
ウニの移動方法
この細長い管足は、中が体液で満たされており、筋肉を収縮させて水を押し込むことで管を伸ばしたり、筋肉を緩ませて管をひっこめたりして水圧を変化させることで伸び縮みします。
管足の先端は吸盤のようになっており、これを手足のように使って、エサに吸着して引き寄せたり、岩に張り付いて登ったりして移動することができる仕組みです。
長い間体を固定しなければならないときには、吸盤の先に粘着性のある液体を出して岩場などの表面に付着します。
さらに、この管足には、光に反応する細胞があることも分かっており、ウニの視覚を助けていると考えられています。
ヒトデも同じような管足で移動しますが、体の下側のみにあります。
写真はヒトデの管足です。
ウニには歯がある
ウニは、このような奇妙な5本の歯を使って、主に海藻類を削り取って食べます。
タコノマクラ
みなさんは、砂浜で美しい絵が描かれた空洞の貝殻のようなものを拾った経験はありませんか?
これは、タコノマクラと呼ばれるウニの一種です。
生きているときはこのような姿で海底を動き回っています。
このタコノマクラをひっくり返してみましょう。
これは生きていた頃のタコノマクラの裏側です。
裏側には、先ほどのウニやヒトデと同じような管足があるのがわかりますか?
タコノマクラもこの管足を動かして海底を移動したり、砂にもぐったりします。
ときにはこの管がプランクトンや藻のような食べ物の粒子をさらって、中心の穴に向かって溝を伝って移動させています。
表面に紫の溝があるのが分かりますか?これが食べ物の通り道で、中心の穴は口です。
口の奥に何か入っているようなので、タコノマクラを割って確認してみると、白い三角形のようなものが出てきました。これが、タコノマクラの歯で、合計5つあります。
ちなみに、私たちが食べている黄色い身のような部分は、ウニの精巣や卵巣といった生殖巣になります。
ウニがどのように動くのかは以下の動画で見ることができます。