プールや湖、海などで泳いでいるときに、鼻から水が入って痛い思いをした経験がある人は少なくはないでしょう。
それは、自然と涙がにじみでるような痛さです。
一方で、ネティポットで鼻うがいをするときは、水が滑らかに鼻の中を流れていき、比較的痛みが少ないのはどうしてでしょう。
この違いは、鼻腔の中の状態が関係しています。
ここでは、鼻に水が入ったときの痛みはなぜ生じるのかについて、鼻の仕組みをもとに分かりやすく紹介します。
鼻に水が入ると痛い理由
まず、鼻の中を見ていきましょう。
内部には、神経終末がたくさん張り巡らされています。
そして、とても暖かく、少し塩っ気がします。一般的に、鼻腔内の温度は34度くらいで、鼻粘膜の塩分濃度は、0.9%だといわれています。
そのため、もし冷たいプールの水が鼻に入った場合、鼻の中の環境と温度も塩分濃度もあまりにもかけはなれた液体が侵入したために、神経システムが衝撃を受けます。
の冷たい温度によって、鼻の中にある血液は収縮し、一瞬脳が凍りついたような感覚になるでしょう。
そして、プールの水が体液の塩分濃度と一致しないので、この濃度を均等にしようとしたり、(浸透圧の違いによって)細胞内に水が入り込んできたときに、不快感を感じるようになります。
さらに、プールに含まれる塩素などの刺激物も痛みの原因となります。
一方で、鼻の膜組織は、鼻の粘液をたくさん分泌することによって、この刺激に対応しようとします。鼻に水が入ったら、すぐに鼻水が出始めるのはそのためです。
ネティポットを使った鼻うがいの場合
ネティポットを使った鼻うがいの原理は、温度と塩分濃度を鼻腔内環境に合わせたぬるま湯の食塩水を鼻に流すことで、アレルゲンを除去し、粘液を薄めるためのものなので、鼻への刺激が緩やかなのです。
しかし、ネティポットもプールや池の水と同様に、ある危険な寄生虫に感染するリスクが潜んでいることは否定できません。
アメリカでも毎年3、4件しかない非常にマレなケースではありますが、水の衛生状態が悪いと、フォーラーネグレリアという病原性アメーバに感染することがあります。
このアメーバは、塩素処理や消毒がされてない比較的温かい淡水に住んでます。
泳いでいる最中に、病原性アメーバが含まれた水が鼻から入り、アメーバがそのまま脳まで達すると、脳細胞を食べて脳を破壊し始めるのです。
痛みを解消する方法
残念ながら、水が鼻に入ってしまうと痛みは避けられません。体液に比べてプールの塩分濃度は低く、海水では逆に高すぎるからです。水の温度も低すぎます。
しかし、痛みのリスクを低減する方法はあります。
池や湖、海、プールなどに入るときは、ノーズクリップや鼻栓で、鼻をつまんでおくことです。
そうすれば、痛みと病原性アメーバによる両方のリスクを低減できるでしょう。