なぜ手足の指は片方5本ずつなのか?

2016年11月 9日

なぜ人の手足の指は、12本や14本ではなく、左右それぞれ5本ずつの合計10本なのでしょうか?

素朴な疑問ですが、正しく答えることができる人は恐らくいないのではないでしょうか。

しかし、世界では、この当たり前のように決まっている人間の手足の指の本数のことを不思議に思い、数学論や進化論を用いて研究をしている人たちが各地にいます。

ここでは、なぜ人の手足の指の本数は10本なのかについて、様々な研究をもとに導き出された考え方を紹介します。

なんと、指の本数は数学の方程式にあてはめて考えられる

10本の指の原則は、数字で導き出すことができます。

「ひとの目、驚異の進化/4つの凄い視覚能力があるわけ」の著者であり、神経生物学者のマーク・チェンジッチ氏(Mark Changizi)は、四肢法と呼ばれる仮説を考えだして、2001年に理論生物学誌に、ある数学の方程式を発表しました。

それは、四肢が必要とする正確な指の本数を把握しようとしたもので、手足の長さや体のサイズとの関係性などを考えて導き出されました。

彼が導き出した方程式を、実際に190の異なる種類の動物に当てはめて考えた後、それを実際に人間に応用すると、片方の手足の指がどうして5本なのかが分かります。

方程式では導き出された指の本数は9.42本

物を握るために、手の平全体を覆えるように、指を折り重ねることができなければならないことを考えると、それぞれの手に必要な指の本数は、9.42本だと方程式では導き出されます。

しかし、人間の手の使い道や腕とつながっていることなどから、9.42本の指が手の平を全体を囲うように突出している必要はなく、半分の4.71本で十分に足りることが最終的に分かりました。

進化の利点を満たしているのが5本

進化生物学者は、シンプルに、「手足の指が10本なのは、それが私たちにとっては最高の組み合わせだからで、進化上の利点を与えているのだろう」といいます。

ハーバード大学医学大学院の遺伝学者Cliff Tabin氏は、脊椎動物の指の進化に注目し、「運動能力を左右するのは、 親指と人差し指で、もし人間に6本目の指が進化していた場合は、パンダが笹をつかむ時のように、手首の外側について、補助的に物をつかむのを支えていたであろう」と言っています。

指の本数は分子が決めること

スペインのバルセロナにある南欧最大の基礎生物学の研究拠点のひとつであるCRG(Center for Genomic Regulation)のJames Sharpe氏によると、「全ては体の3つの分子(Bmp Wnt Sox9)が要因となっており、この3つの分子は、人間の胎芽(胎児になる前の状態)の時に、指がどの方向にどれくらい離れていくか、そして、指の間隔などを決めている」と指摘しています。

この楽しい発見のもとになったのは、1952年に発表されたAlan Turing氏の理論です。

以上のように、人間に10本の指がある確かな理由については、いまだにはっきりと解明されてはいませんが、時には、進化を信頼し、私たちの手足がひづめではなく、5本の指を持っていることに感謝をしてもいいのかもしれません。