なぜ白髪に早くなる人がいるのか?若白髪のカギは遺伝学にあった

2019年5月14日

加齢にともなって白髪が生えるならまだしも、世の中には20代という早い時期に若白髪が増えてしまうこともあります。

それについて、ニューヨークの皮膚科医Jennifer Chwalek博士は「髪の色を黒くするか白くするか」、または、「どれくらい早い年齢で白髪が生えるか」を決定するのは遺伝的要素が強いといいます。

アメリカでは、映画俳優のジョージ・クルーニーをはじめ、ジャーナリストのアンダーソン・クーパーなど白髪頭の紳士を魅力的な存在という意味を込めて「silver fox(銀ギツネ)」と呼びます。

たしかに彼らは、とても洗練されて際立っています。

しかし、目の前にいる白髪の男性が、ミレニアル世代(インターネットが身近な環境で生まれ育ち、2000年以降に成人を迎える世代)だと言ったらどうでしょうか?

ある男性は、16歳から白髪が生え始めて、22歳になる頃には髪全体がほぼ白髪になっていました。

いったい彼には何が起きたのでしょうか?そもそも私たちの髪はなぜ白くなるのでしょうか?

ここでは、なぜ20歳前の健康的な人でも若白髪が生えるのかについて、白髪が生える仕組みをもとに分かりやすく紹介します。

一般的に白髪は、年齢よりも老けて見られることが多く、白髪染め業界は長い間その悩みと闘ってきましたが、研究がすすむにつれてさまざまな要因が分かってきました。

なぜ白髪は生えるのか

年齢とともに、髪が濃い色から灰色や白色に変わるプロセスは、主に遺伝的要素が強く、それは母親と父親のどちらからでも受け継がれる可能性があります。

基本的に、毛髪の色は、私たちの髪がもつ色素の形式によって決まります。

それを理解するために、まずは髪の色が生み出されるプロセスに焦点をあてて考えてみましょう。

髪の毛の仕組み

髪の毛は、もともと皮膚細胞からなり、頭皮に隠れた部分を「毛根」、外から見える部分は「毛幹」と呼ばれています。

この毛根の根元には、丸く膨らんだ毛球と呼ばれる部位があり、そこで毛母細胞が分裂しながら増殖することによって伸び、それが角質化すると毛髪になるのです。

この毛母細胞が毛髪に分化する過程で、色素が取り込まれて色がついた毛髪が生まれます。

毛髪の色素はどのように取り込まれるのか?

毛髪の色は、皮膚と同じようにメラニン色素の含有量によって決まります。

この色素は、毛母細胞にあるメラノサイトという色素細胞によって作られ、供給されています。

メラニンには、ブルネット(栗色)や黒髪を生むユーメラニン(真メラニン)と、ブロンズや赤毛を生むフェオメラニン(亜メラニン)の2つの主な種があり、それぞれの量で髪の色が決定するのです。

メラニンと体毛の関係についてはこちらをどうぞ:
私たち哺乳類はなぜ鳥やトカゲのようにカラフルではないのか?

ちなみにブリーチによって、このメラニン色素を分解すると、髪の毛はオレンジから黄色、白色と変化していきます。

白髪(加齢によって色素細胞が毛髪に色を供給できなくなる)の仕組み

私たちの毛球の細胞は、代謝の過程で、常に過酸化水素を少し出しています。

この過酸化水素は、生物の呼吸や代謝で生じるものですが、濃度が高くなってしまうと細胞にとって有害となるため、通常は、カタラーゼと呼ばれる酵素がこれを水と酸素に分解して、細胞の酸化ダメージを抑制しているのです。

しかし、カタラーゼの量は年をとるにつれて低下します。

すると、カタラーゼの減少によって、毛球に過酸化水素が蓄積されてしまい、毛髪に色を付けている色素細胞(メラノサイト)を傷つけて破壊する可能性があります。

このようにして、加齢によって色素細胞が色素を供給できなくなると、毛髪に含まれる色素(メラニン)レベルが低下し、白髪の原因になります。

さて、ここで疑問が生じます。

通常は加齢にともなって白髪が生えてくるのかもしれませんが、10代や20代の若く健康的な人でも若白髪が増えることがあるのはなぜでしょうか?

20歳になる前から若白髪が生えるのはなぜか?

20歳前という人生の早い段階で、髪の毛が灰色や白色になる分化早熟は、遺伝的な要素が強いというのが有力説です。

白髪は、色素細胞でメラニンが生成されないままで成長するときに起こります

この髪の灰色化に関与している遺伝子として注目されているのが、IRF4(インターフェロン調節因子4)遺伝子です。

IRF4遺伝子は、毛髪に含まれるメラニンの生成と調節に重要な役割を果たしていると考えられています。

そして、人生の早い段階で若白髪を発症する人は、IRF4遺伝子のようないくつかの遺伝子を受け継いでいる可能性があります。

髪の毛が白髪だと他の部位の毛も白や灰色になるのか?

白髪は、頭だけでなく、顔や体のどこででも生えることができます。

もともと毛は、酸化的なダメージを受けやすいため、カタラーゼのような酸化を抑制する酵素が減ると、最終的に顔や体中のどこにある毛も同様に白や灰色になります。

しかし、一方で白髪が遺伝的な要素が強いとすると、よくストレスによって急激に白髪が増えたといわれることがあるのはなぜでしょうか?

ストレスやたばこも白髪の要因となるのか?

たとえば、バラク・オバマ氏は、アメリカ合衆国大統領としての任期を終える頃には白髪が目立つようになりました。就任時にホワイトハウスに現れた黒髪のときを考えると、強いストレスによる影響だという意見もあります。

実際には、専門家のあいだでも、髪の白髪化におけるストレスの役割は物議をかもしています。

ストレスが、体内細胞やDNAに酸化的損傷を引き起こすことはよく知られています。そして、それは老化の症状が進む早さに深く関与しているといえるでしょう。

つまり、ストレスが色素(メラニン)産生細胞に酸化ダメージを与えたことが、白髪化の引き金となる可能性が考えられます。

同様に、喫煙者は一般の人々よりも白髪になりやすい傾向があるといわれています。これもおそらく、たばこの煙が引き起こす酸化的損傷と、それが毛髪の色素(メラニン)産生細胞に与える影響に結びついているようです。

最後に

たしかに、世の中には、遺伝的な要因で、他の人より早い段階で多くの白髪を生じやすい人もいます。

しかし、白髪を予防するために私たちができることもあります。栄養バランスのよい食事の他、ストレスに配慮することもオプションとして考えるとよいでしょう。

それは、時間の経過とともに引き起こされる細胞の酸化的損傷を防ぐことにつながります。

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