古いブラウン管テレビにみられる「ザー」という砂嵐の音は、赤ちゃんを泣き止ませて、寝つきをよくするのに効果的だといわれています。
実際に、「サー」と聞こえるホワイトノイズを始め、「ザー」と聞こえる雨音や機械音、母親の胎内の音に近いピンクノイズなどは、良質な睡眠をもたらし、勉強や仕事の集中力を上げる効果もあることを示す研究もあります。
なかでもホワイトノイズは、決してダイナミックな(大きな)サウンドというわけではありませんが、音の性質や構造上、脳の睡眠を妨げる騒音を遮断する効果において注目されています。
ここでは、ホワイトノイズがなぜ睡眠の質を向上させるのかについて、ホワイトノイズの音の構造をもとに分かりやすく紹介します。
ホワイトノイズとは
音には、たくさんの異なる周波数(1秒間で振動する回数)があります。
ホワイトノイズとは、全帯域にわたるひとつひとつの周波数をほぼ均等に持ったノイズです。音で表現すると「サー」といった単調で、かつ、予測可能で退屈な音かもしれません。
しかし、それがまさに、寝ている間の脳に必要な音であるとの期待が高まっているのです。
睡眠とホワイトノイズの関係
人は、たとえ寝ているときであっても、危険を感知するために耳では周囲を警戒しています。
目は閉じても、耳から入った情報は脳に届けられるため、睡眠中に騒音にさらされると、安定した睡眠が得られなくなってしまいます。
寝ている間に、騒音を耳にした場合、まず、心拍数が上がり、血圧が高くなります。それによって目を覚ますことさえあります。
特に眠りの入り口となる初期段階は、睡眠が浅いので周囲の音による影響を受けやすく、ちょっとした物音ですぐに目が覚めてしまう傾向が高くなります。
そこで活躍するのが「ホワイトノイズ」です。
ホワイトノイズの役割
ホワイトノイズには、騒音をかき消す効果が期待されています。
そのため、騒音が気になって眠れないときや仕事に集中できないときに聞くと、まるで周囲の音が遠ざかったように、あるいは小さくなったように感じるのでしょう。
ノイズという響きから、不快なものを連想したり、ホワイトノイズがかえって睡眠の邪魔になったりするのではないかと疑う人もいるかもしれません。
しかし、ホワイトノイズのような単調な音は、脳が無視しやすいので、妨げにはなることはあまりないようです。
結果的に、周囲の雑音を遮断し、集中しやすい環境づくりの助けにもなってくれるようです。