私たちにはどうして大きなお尻があるの?

2016年12月12日

人間と動物には、大きな違いがひとつあります。

それは脳ではありません。もっとずっと下の方にあるお尻です。

かつて、現代詩人家のアンソニー・レイ氏が、「私は、大きなお尻が好きで、それに関してはうそはつけないよ」と言っていたように、お尻が魅力的だと感じる人はたくさんいます。

それでは、どうして私たちにはお尻があるのでしょうか?異性を魅了するため?いいえ違います。私たちのお尻は、進化的に必要だからこそ大きくなっていったのです。

ここでは、どうして人間だけが大きなお尻に進化したのかについて、これまでの研究で分かったことを紹介します。

人間だけがもつ大きなお尻

地球上のほぼ全ての単細胞生物や多細胞生物は、ある種の「肛門」、すなわち、食べ物や不要なものを排泄する管をもっています。

しかし、人間にあるお尻、すなわち、後部についた大きなお肉の塊じたいは、非常に特別なものであり、動物界の他のものにはありません。

私たちに遺伝的に最も近いといわれるボノボやチンパンジーでさえ、科学会では、「貧弱な肉の塊」と示しています。

そこで、研究者たちは、どうして人間だけがこのような大きなお尻に進化したのかを理解しようと試みました。

これをつきとめるには、まずは、お尻というものが実際に何なのかを見ていきましょう。

お尻って何?

お尻を形づくっているのは、大、中、小3つの殿筋(でんきん)と呼ばれる筋肉です。目に見えるお尻の主要部分は「大殿筋(だいでんきん)」です。

この3つの筋肉は、お尻の筋肉や骨盤をあるべき場所に維持しながら、お尻から太ももにかけてを、自由に曲げ伸ばしできるようにする役割があります。

歩いたり、階段を登ったり、蹴ったりといった動作のほとんどは、これらの筋肉に依存しています

人間と同じように、霊長類はみな3つの殿筋(大殿筋、中殿筋、小殿筋)を持っています。

チンパンジーと人間のお尻の筋肉の違い

チンパンジーの大殿筋は、骨盤の下側にある坐骨とつながっています。この比較的短くて引き締まった筋肉は、チンパンジーが樹木を自在に操って昇り降りするために、お尻を突き出しやすいような構造になっています。

しかし、私たち人間の祖先は、木登りには興味はなく、2本足で立つ技術を身につけ、精通していきました。人類学者は、それが人間に大きなお尻がある由縁であると信じています。

人間の大殿筋は、骨盤の中でも最も大きくて高い位置にある「腸骨」と呼ばれる腰の部分についています。骨盤の高い位置にある腸骨に大殿筋がつながることで、広い範囲の筋肉を支え、体の姿勢を安定させることができます。

長い時間にわたって二足歩行ができるのは人だけです。

研究者の多くは、私たちが立った時に足にかかる体重を支えて姿勢を保ったり、走る時に上半身が左右に揺れないように体のバランスを取る助けとなるために、大きなお尻があると信じています。

しかしここで、もうひとつの質問がわいてきました。人類は、直立歩行するようになったからお尻が大きくなったのでしょうか、それとも逆に、お尻が大きくなったから直立歩行できるように進化したのでしょうか。

人類の進化におけるお尻の大きさと直立歩行の関係

2002年に発表されたHuman Evolution誌の論文は、進化のシミュレーターを使って、人間の骨の形の変化が筋肉にどのような影響を与えたのかを明らかにしました。

シミュレーターでコンピューターのモデルは、初期の原人が、大きなお尻を発達させる前に、直立歩行を開始したことを示しました。

もし、お尻が先に大きく進化してしまった場合、原人たちが直立歩行するのはより困難だったようです。

この論文では、大きなお尻は、二足歩行の産物であると結論づけられました。

500万年から700万年前の人類とチンパンジーの分岐点で、初期のヒト霊長類が、なんらかの理由で直立して歩くようになり、それに追いつくために身体が進化したといえます。

はやい話、私たちには、直立して歩くために、大きなお尻があるわけです。

そして、お尻は、立ったり歩いたりするだけのものではなく、座ってテレビを見る時にも重要な役割をしています。