胎児はおしっこや便をどうしているのか?

胎児は便やおしっこをどうしているのか?人体の不思議

あなたのおへそは、母親から成長・発達・生存に必要なすべての栄養素が直接血液に流れ込んでいた場所です。

約9ヶ月間にわたって胎児は、羊水の袋の中をただ漂っているわけですが、「その密閉された空間の中でおしっこや便をしたのだろうか」と考えたことはありませんか?

おなかの赤ちゃんが、おしっこをするようになるのは、ヒト胚の発生からわずか2ヶ月後。

エラやしっぽがついて魚のような「胎芽(たいが:妊娠7週目まで)」から、胎児と呼ばれるようになる頃になると、羊水を飲み込んで、それをおしっことして出しはじめます。

つまり、胎児はそれから出産までの7ヶ月間、自分のおしっこを羊水と一緒に飲み続けることになるのですが、実はそれほど汚くはないのです。

以下に、お腹の中で胎児が母親のおしっこや便をどうしているのかについて紹介します。

胎児の尿は無菌

胎児はおしっこをしますが、尿は無菌なので、胎児を病気にするような細菌は含まれていません。

また、私たちが尿として排出している余分な窒素などの老廃物は、胎児が自分の体でろ過するのではなく、へその緒を通して母体に戻されています。

胎児のへその緒の先には胎盤というものがあり、それが母親の子宮とつながっているため、そこから栄養や酸素を血液(動脈)で送られて、いらないものを母親の血液に戻しているのです。

つまり、尿は無菌なので、羊水におしっことして出したり、飲んだりしても何も問題はないのです。

それどころか、胎児は、羊水を飲んでおしっことして出すことで、新鮮な羊水に常に入れ替えているとも考えられています。

では、私たちが通常便として排出する老廃物はどうでしょう?

実は、それも、母親が間接的に処理してくれます。

胎児は便を出すのか?

おなかの赤ちゃんに必要な栄養は、血液を通じて母親から受け渡されます。

まず、母体で食べ物が消化され、糖分やタンパク質などの栄養素を血液中に吸収した後、それをへその緒を通して胎児に届けられているのです。

そのため、便となる可能性のある老廃物は、ほとんど母親の体内に残ります。

一般的に、胎児の腸が働き始める様子が見られるのが24週目くらいだといわれます。

腸が働き始めると胎児の小腸で酸性の胆汁によって栄養分が分解され、おなかの中にはメコニウムと呼ばれる緑色のぬるぬるとした粘着性のある塊ができます。

しかし、胎児の大腸はほとんど無菌状態です。子宮の外にいる人の大腸とは異なり、人の便の50%もの部分を構成する何十億もの細菌が存在しませんし、そもそも胎児は、羊水の中で排便はしません。

つまり、胎児の小腸で形成される緑色の粘着性の塊は、産後、赤ちゃんが最初におむつを汚す胎便となるのです。

そして、それは、ある意味、人生で最初で最後の清潔な便といえるでしょう。

参照元:Do Fetuses Poop?