もしジェットコースターが世界一高いビルと同じ高さだったら?

ジェットコースターの高さの限界とは?人に話したくなる話

理論的には、今日世界で最も高い建物であるブルジュ・ハリファ(アラブ首長国連邦)と同じ高さ(828m)のジェットコースターを建設することは可能です。

しかし、乗客の安全を考えると「できるならつくろう」とは簡単にはいえません。

なぜなら、風の抵抗、大気中のチリや破片、強い重力加速度、さらには鳥の衝突などによって、乗った人が負傷したり、失神したり、もっと最悪のケースも考えられるからです。

以下に、もし世界一高いビルと同じ高さのジェットコースターがあると、それに乗った人にはどのようなリスクや結末が待ち構えているのかについて紹介します。

世界一高いジェットコースター

スタートした途端、時速205kmまで一気に加速し、139mを真下に落下。

これは、現在世界一高いジェットコースターといわれる「キンダ・カ(Kingda・Ka)」での実体験。

139mといえば、ギザの大ピラミッドとほぼ同じ高さです。

さて、もしこれよりもさらに高いジェットコースターを作ったらどうなるのでしょうか?

地球上で最も高い建物、ブルジュ・ハリファと同じような高さのジェットコースターです。

幸運なことにも、現在、そんなジェットコースターはありません。

落下スピードの問題

ジェットコースターの高さの限界は、人間の体の限界を考えると建築学的な限界よりも低くなります。

なぜなら、ジェットコースターは、高ければ高いほど、重力の影響で落下スピードが速くなるからです。

では、高さ800メートルの巨大コースターを例に、落下スピードが速くなるとどのようなことが起こるのかをみてみましょう。

最高速度「時速370km」の例

ブルジュ・ハリファの高さから落下したジェットコースターは、落下時、時速370kmに達します。

これだけの速度で走行すると、風だけでも私たちは重大な被害を被るでしょう。

スカイライン・アトラクションズのメカニカルデザイン・エンシニア、マット・カラブレーゼ氏によると、

「まず、顔面に受けた風によって頬の皮膚が後退し、空中に破片などがあった場合は目が大きなダメージを受けるでしょう。おそらくキーンと耳鳴りも始まります。」

世界一速いジェットコースター

これは、2秒で時速240kmに達するといわれる世界最速のジェットコースターをはじめ、一部ではすでに問題になっています。

フェラーリ・ワールド(アラブ首長国連邦)の大型ローラーコースター「フォーミュラ・ロッサ」では、時速240kmから目を守るために、乗客は必ずゴーグルを着用しなければなりません。

その速度では、大気中の塵や破片が小さなミサイルに変わるからです。

問題はそれだけではありません。

最も心配なのは、鳥の衝突があった場合です。

まれですが、起こる可能性はあります。

速度が低いと、鳥と衝突したら、ひどい打撲傷や痛みのあるミミズ腫れが引き起こされる可能性があります。

しかし、時速370kmでは、乗客も不幸な鳥にとっても衝突は命取りになります。

もしかしたら、この鳥との衝突問題はヘルメットや保護服の着用でなんとか解消できるかもしれません。

しかし、金額では済まない別の問題があります

保護具を使用すると、次のことが修正されるからです。

重力加速度です。

重力加速度の問題

保護服の重さによって、重力加速度が増してしまうのです。そのまま急加速すると、頭から血液が一気に流れ出てしまい、頭がくらくらすることがあります。

通常、人は1Gの力を経験しており、ほとんどのジェットコースターは体に感じる重力が5Gを超えないように設定されているため、問題が発生しません。

しかし、もし、ブルジュ・ハリファコースターに乗ったら、時速300キロ以上のスピードによって、頭から、そして体の残りの部分からも血が遠ざかり始めるでしょう。

これでは気を失う可能性があります。

解決策はあるのか?

では、より高く、より速いコースターを作り続けるエンジニアたちは、乗客を守るために何ができるのでしょうか?

退屈なオプションは、速度を落とすことです。

しかし、もっとエキサイティングな方法があります

必要な重力加速度を維持するために、曲率をコントロールして巨大なループを利用すること。

大きな半径の曲率を実現すると、空気抵抗で速度が落ちたとしても、大きく急降下することでエキサイティングな重力加速度を体験することができます。

つまり、理論上、保護眼鏡を配り、十分な大きさのループを追加することでハリファコースターは乗車可能ですが、世の中にはもっとリスクを低く楽しめる遊具はあるので必要性はないのかもしれません。

参照元:What If You Built A Coaster As Tall As The World’s Tallest Building?