もし地球の裏までトンネルを掘って、穴に飛び込むとどうなる?

2018年6月 6日

地球の裏側に、簡単に行けたらいいのに。たとえば、沖縄から昼休憩の間にブラジルに行けたら。

おそらくほとんどの人が一度は考えたことがあるかもしれません。

それを実現するには、まず、最短距離を考えて、地球の裏側に向けて中心部を突き抜けたまっすぐなトンネルを掘る必要があります。

そのトンネルに飛び込めば、おそらく重力があなたを40分後には地球の裏側へ連れていってくれるかもしれません。

しかし、トンネルの端から端まで無事到達するには、空気摩擦の問題をはじめ、太陽の表面温度と同じ中心核を抜けなければならないなどさまざまな問題が生じてきます。また、マッハ32(音速の32倍)の最高速度にも耐えなければならないでしょう。

ここでは、そのような問題をクリアして、地球の中心を貫くトンネルを通って、地球の裏側までの行く方法について、科学的に分かりやすく紹介します。

地球の中心を貫いたトンネルの問題点とは

地球は、まん丸ではなく少しつぶれた球体なので、緯度によって多少の誤差はありますが、直径が1万2700kmくらいだといわれています。

仮にこの1万2700kmも続く穴に飛び込んだ場合、その先には一体なにが待ち受けているのでしょうか。

第一の難問「空気」

地球の重力は絶えず中心に向かっているため、穴に飛び込むとまず重力に引かれていきます。

重力によって、どんどん加速しながら6378km進むと、地球の中心部「核(コア)」にたどり着きます。しかし、中心部を超えた地点からは、重力に逆らって進まなければならないため、徐々にスピードは落ちていきます。

このとき、前半の加速による勢いが足りなくなると、地球の反対側まで到達できなくなるので、加速を妨げる空気抵抗は排除しておかなければなりません。

また、ものすごいスピードで落下すると、大気中の空気分子と激しく衝突して、断熱圧縮(だんねつあっしゅく)が起こる危険があります。

断熱圧縮とは、大気中を高速で通過するあなたの周囲の空気がぎゅっと圧縮されて、一瞬にして高温に加熱される現象です。これは、地球に落ちた隕石が大気圏で燃えるのと同じです。

さらに、すさまじい加速度によって、空気はあなたを押しつぶすでしょう。

そのため、トンネル内の空気は全て吸い込んで真空状態にしておかなければなりません。

第二の難問「温度」

地球の中心を貫いたトンネルを通るには、耐熱効果が高く、安定した酸素を共有できる宇宙服が必要となります。

なぜなら、地球の中心部に近づくと、まず温度が4000度を超える液体からなる外核を約2200km通り、次に、5000度から6000度といわれる個体の内核をさらに1280km近く進んだ後、太陽の表面温度と同じ灼熱の中心部を通過しなければならないからです。

残念ながら、火星の大きさ(6,779km)以上もある超高温な地球の核を通らないことには、反対側には行けないのです。

いざトンネルに飛び込むと何が起きるのか?

宇宙服を着て、真空状態のトンネルに飛び込むと、重力によってどんどん加速していき、スピードは時速40233km(秒速11km)にまで達します。これは、マッハ32、いわゆる音速の32倍にも及ぶ速さです。

マッハは、 15 °C、1気圧で音が伝わる速さ「音速」に基づた速度の単位のことです。

落下スピードについてのおもしろい豆知識

物が落下すると、地球の表面では重力が一定の力でかかり続けているため、どんどん速度が上がっていきます。

これは、重力加速度(9.80m/s2)とよばれるもので、トンネルに飛び込んだ場合、重力という一定の力で引っ張られ続けることで、一秒あたり、秒速9.8mずつ速くなっていくことを意味します。

しかし、それらは地球の表面付近でのみの話です。

重力は、質量(物体そのものの量)との関係で成り立っているため、地表付近では下側に大きな質量(地球)があったのが、地球の中心に向かっていくにつれて頭の上側の質量の割合が増えていき、それに比例して(重力が)減少する作用が働きます(ちなみに、横引きは互いにバランスを取って相殺される)。

その結果、約19分後にたどりついた地球の中心では、地球の質量が均等にあなたを取り囲むため、重力は消滅します。それによって重力による加速はゼロとなり、あなたはまさに無重力状態となります。

地球の中心部を越えたら

地球の中心部を超えたら、また重力が働き始めます。しかし、今度は重力に逆らって進むかたちになるため、どんどん減速していき、裏側に到達する頃には、歩くペースくらいまでスピードが落ちています。

そして、トンネルの端で、誰かに受け止めてもらうか、どこかにつかまって着地するとゴールです。

以上、地球の中心を貫いたトンネルの旅の所要時間は、合計38分間となります。

最後に

私たちは、論理的には、会社の昼休憩の間に、ブラジルまで行けるというわけです。

飛行機でチリのサンティアゴを出発して、地球の裏側にある中国の西安までたどり着くには40時間かかることを考えると、明らかに時間短縮にはなりますが、命がけの旅にはなりそうです。

仮にゴールで着地に失敗してしまうと、再び重力に引っ張られて穴に落ちるわけですが、そこで勢いが足りなくなってしまうと悲劇が待ち構えています。

地球の中心を過ぎたくらいから、また重力に引っ張られて引き返し、裏側まで行くことができないまま、地球の中心付近で行ったり来たりを繰り返してしまうのです。

そのうち勢いはどんどん弱まっていき、最終的には地球の中心で止まってしまうという恐ろしい結末になるでしょう。

その他の参照元:
howstuffworks