火星の大気が光る理由

火星の大気から放たれるミステリアスな光の謎とは人に話したくなる話

火星では、「大気光」と呼ばれる幻想的な光に惑星が包まれる現象が起こります。

そして、この大気光は、祭りやコンサートなどでポキっと折って光る棒と同じように、大気が化学反応でエネルギーを放出することで起こります。

(実は、大気光は地球でも見ることができるといわれています)

ここでは、火星の大気から放たれるミステリアスな光の謎について、科学的に分かってきたことを分かりやすく紹介します。

火星とは

火星は、地表のほとんどが赤褐色の岩石や土で覆われているため、地球から見ると赤くみえ、そのことから「赤い惑星」と呼ばれています。

非常に乾燥した極寒の惑星ですが、かつては水や大気がたくさんあり、生命体が存在していたのではないかと考えられています。

現在は、火星を覆っていた大気はほとんどなくなり、地球や金星よりも遙かにうすくなっています。

地球よりも大気(地表を覆う気体)が薄いので、天体観測をすると星が信じられないほど鮮明に見えますが、実は、火星の夜には、もう一つの光源があります。

それは、まさに火星の大気の輝きです。

火星の大気から放たれる光の謎

この奇妙な現象は、火星の軌道に送られたMAVENによって2016年に発見されました。MAVENは、将来的に人類を火星に送るために、火星の大気の歴史について調査しているNASAの探査機です。

科学者たちは、MAVENから送られた火星の大気の紫外線映像を分析しながら、大気光と呼ばれる光を、高高度の大気中に見つけました。火星から放たれる謎の光の正体は、この大気光です。

大気光とは

大気光とは、夜間に、惑星の大気がわずかに光る現象です。大気光が発生すると、外灯や星、月の光などが全くない状態でも、真っ暗にはなりません。

実際には、昼間にも発光していますが、太陽の光によってそれはほとんど見ることはできません。

火星の大気が薄くなった理由

MAVENは、2015年に、太古の火星の大気が大幅に減少したのは、原始太陽の強力な太陽風(太陽から絶え間なく浴びせられるエネルギー)によって、空気が吹き飛ばされて、宇宙に流出したことが原因である可能性を見出しました。

そして、太陽風が、火星の大気をゆっくりとはぎ取っていった結果、現在は、地球の大気に比べると100倍から150倍も薄くなったことが分かりました。

この大気がはぎ取られるのと同じような原理で、大気光は引き起こされています。

火星の大気光はどのようにして発生するのか?

太陽からの紫外線が、火星の前側に当たると、光のエネルギーによって、火星の空を浮遊している二酸化炭素と窒素と酸素が分解されます。これは「光解離」と呼ばれています。

そして、分解された粒子は、それから惑星中の高度の高いところを流れる風によって運ばれます。

それらが、風にのって、太陽の紫外線光から離れていき、火星の夜側に到達すると、遊離(離れていた)窒素の原子と酸素の原子が再び結合して、地表より60kmから100km離れた上空に、酸化窒素と呼ばれるものを形成します。

この工程で、エネルギーを放出し、それが大気光を引き起こします。

この化学反応は、基本的にコンサートでよく見られる光る棒と同じような原理です。

ちなみに、光る棒は、容器の内側にあった2つの液体が折った時に混ざることで酸化反応(化学反応)が起きて光ります。

大気光の映像によって分かること

大気光の発見に、科学者は非常に興奮しています。

なぜなら、火星の大気の動きを位置づけるのはとても難しいからです。

この大気光の輝きの写真を撮ることは、火星に、一年を通じて何が起きているのかを知るてがかりになります。

さらに、科学者は、季節ごとに火星の大気がどのように動いているのかや惑星の雲の構造をより理解でき、また、オゾンの形成によって、水分子を発見することもできます。

大気光の輝きについて

実は、大気光は、決してミステリアスなものではなく、正常な現象で、火星だけで見られるのではありません。金星、そして、私たちの住む地球でも見ることができます。

地球で見られる大気光は、火星のように上層大気(上空85kmから95kmの領域)の化学反応によって引き起こされます。

そして、その輝きは、火星同様、非常にわずかなものです。

NASAの地球天文台は、太陽光の明るさの約10億分の1だといいます。そのため、見るのはとても難しいのですが、実際に目に見えないわけではありません。

2005年の宇宙物理学の研究では、地中海上に、1平方メートルあたり、毎秒約564光子(こうし:光の粒子)が検出されました。

また、国際宇宙ステーションから、地球の大気を横向きに見ると、かすかな輝きを見ることができます。それが大気光です。

太陽風の光粒子は、私たちの上層の大気中の分子の結合を離し、それが再び結合する時に、緑や青、黄色、赤色の光のエネルギーを放出します。

酸素は緑か青、そして、ナトリウムは黄色がかった色、ヒドロキシル(OH)分子は、赤色に輝きます。

科学は美しいと思いませんか。

大気光は、太陽から太陽系の惑星へ果てしなく続く攻撃の副産物です。

参照元:The Air On Mars Has A Mysterious Glow. Here’s Why

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