なぜ植物プランクトンはもっと尊敬されるべきなのか?

2021年3月19日

ため池の水を顕微鏡で見てみると、どんな世界が広がり、何が見えると思いますか?

実は、そこにはなぜ池が緑色なのか、その答えが隠されています。

レンズの中の世界を覗くと、緑色のものがいっぱい。池の水には生き物がたくさんいるのです。

それが何かわかりますか?

植物プランクトンです。

植物性プランクトンは、水中だけでなく、私たちを含めた地球上すべての生き物に不可欠な存在。

今回は、地球の酸素を生み出し、炭素を循環し、すべての生き物を食物連鎖の底辺として支えている植物プランクトンの驚くべき役割について紹介します。

なんと今、彼らは、温暖化防止の戦士として注目され始めているのです。

植物プランクトンとは

植物性プランクトンとは、プランクトンの一種です。

プランクトンとは、科学用語で、水中をただよう超小型の生物のこと。

プランクトンには大きく分けて植物性と動物性があり、そのほとんどは、とても小さいので、姿を見るには顕微鏡が必要になります。

光合成で自らの栄養を作り出すのが植物プランクトン。その多くがからだが1つの細胞からなる(単細胞生物)の藻類で、光を必要とするため、十分な太陽光が差し込む水面近くに生息しています。

その他にもプランクトンには、光合成を行わずにエサを求めて自ら動く動物プランクトン、光合成を行うが光がないときはエサを食べて生きているため動物とも植物ともいえるミドリムシのような生き物、さらには、バクテリアなども含まれます。

プランクトンの一種のバクテリア

バクテリアといえば、主に細菌をいいますが、プランクトンの場合、切り傷や擦り傷に入り込むような、皆さんがよく耳にする細菌とは違います。

これらの細菌は、私たちの体の中では生きられません

他の植物プランクトンと同じように、池や湖、海などの水中を漂っています。

藻類よりもはるかに原始的で、目には見えませんが大さじ1杯の海水には数十万個ものバクテリアがいるとさえいわれています。

わずか1ミクロンほどの細胞で、小さすぎて網にもかからないため、1970年代に技術が進歩して目に見えるようになるまでは、この生物は知られていませんでした。

現在では、これらのバクテリアが海の生産能力の約半分を担っており、海の中で最も豊富な生物であることがわかっています。

これは、たいてい良いこととして働きます。

なぜ植物プランクトンが重要なのか?

彼らは、植物のミニチュアのようなもので、池の水などに含まれる緑色の植物プランクトンは、草木と同じように、すべて光合成を行います。

光合成とは、二酸化炭素を取り込み、太陽からの光エネルギーを利用して自分たちの食べ物を作ることです。その際に酸素も作ります。

ご存知の通り、酸素は、私たちが呼吸するために必要な空気の成分。

その酸素を作っているのが、この小さな植物プランクトンなのです。

地球上にある酸素の半分以上を生み出す

実際、植物プランクトンの数は非常に多く、毎年、地球上で作られる酸素の半分以上を作っていると言われています。

特に素晴らしいのは、地球上のすべての植物プランクトンの重さを合わせたとしても、陸上の植物の総重量の方が450倍も重いこと。

陸上の大きな木々が作り出す酸素量が、こんなに小さな生き物にかなわないなんて驚きですね。私たちが酸素を吸えるのは、植物プランクトンたちのおかげなのです。

大昔、空気中には酸素がありませんでした。

その後、プランクトンが光合成を始め、酸素を作り始めたのです。

およそ30億年も前から地球に存在した最も古い生物「シアノバクテリア(藍藻)」は、地球で初めて光合成によって酸素を作り始めたことで知られ、葉緑体の起源ともいわれています。

その後、植物プランクトンによる光合成によって、10億年以上をかけて大気中には酸素が蓄積し、二酸化炭素は減少し、オゾン層も作られます。

彼らが生み出す有機物は生物を生み出し、長い年月をかけて生命が宿る地球環境が形成されていきます。

私たちの地球は、まさに植物プランクトンによる光合成を基に生態系が成り立ち、大気中の酸素のほとんどは、太古の昔から植物プランクトンによって蓄積されたものだといっても過言ではありません。

植物プランクトンは地球の炭素循環に不可欠な役割を果たす

植物プランクトンは、水面から光合成を通じて大気中の二酸化炭素を取り込み、死ぬと沈んで二酸化炭素を深海に運ぶため、大気の循環システムの重要な役割を果たしています。

実際に、大気中の二酸化炭素は、半分以上が陸上ではなく海で吸収されていることも分かっています。

しかし、植物プランクトンの成長は、海中の主に鉄分などの栄養分の不足によって制限されることも多くあります。

そのため、広大な海域に鉄分などの栄養をまいて、植物プランクトンの増殖を促し、大気中の二酸化炭素をより多く深海に移動させる計画が議論されています。

なんと、植物プランクトンが地球温暖化を解決してくれるというのです。

さらに、植物プランクトンが素晴らしいのは、酸素を生み出し、二酸化炭素を吸収するだけではありません。

食物連鎖の底辺を支えている

植物プランクトンは、水の中で生きる生き物の食料となる大切な存在でもあります。

あまりに小さいので、それほどお腹にを満たしてくれそうにはありませんが、ある種の魚や海老のように小さな生き物にはなくてはならない存在なのです。

彼らは、私たちがニンジンやセロリを食べるように、植物性プランクトンを食べます。

そして、それらの小さな生物は、より大きな生物に食べられます。このようにして「食う・食われる」の一連の繋がりが続きます。

植物プランクトンがなければ、動物プランクトンも小動物もいないし、大きな動物も存在しません。進化の歴史では、植物プランクトンが大量発生した時期に、生き物の巨大化が進んだという説もあるほどです。

つまり、彼らは、食物連鎖の基盤となる不可欠な生物で、地上の生き物はすべて、この小さな植物プランクトンに依存しているのです。

地球上で最も重要な生物の一つ

科学者らは、植物プランクトンについて、地球上で最も重要な生物の一つとして、その研究や理解はきわめて重要だと考えています。

彼らは、光合成によって酸素を生み出し、私たち人間にも暮らしやすい環境を提供し続けてくれているのです。

ただし、温かい水は、植物プランクトンにとっては住みやすい場所ではありません。そのため、地球の温暖化は、すべての生物を育むプランクトンにも影響を与えているのです。

さらに、工場や家庭から出る汚れは、彼らの生育環境を汚染し続けています。

食物連鎖の底辺を支えている彼らがいなくなった世界を想像してみてください。

彼らがいなければ、池や湖や海は、もっと空っぽになってしまいます。

実のところ、地球上のすべての生き物がどのように飢えに苦しむようになり、それはいつからで、どれくらいのスピードで生じるのかはまだ分かってはいません。

池に住んでいる小さな生き物たち。

まるで奇跡のような私たちの惑星を育んでいるこの素晴らしい生き物たちに感謝にし、どうすれば彼らを守れるのか、今一人ひとりが考えるべきときがきたようです。