ナマケモノはなぜ動きがスローモーションなのか?

ナマケモノの動きが遅い理由動物・生き物

ナマケモノのようなのんびりした動物が、なぜ野生で生きていけるのか不思議に思ったことはありませんか?

しかし、ナマケモノの動きの遅さは、彼らの種が6400万年も前から生き残ってきた戦略が成功した理由でもあります。

人類が存在するのが、20万年前からであることを考えると、地球上で最も遅い哺乳類が、ただ怠けているだけではないことが分かります。

以下にナマケモノの動きが遅い理由について紹介します。

エネルギーをほとんど消費しない

ナマケモノは、まばたきさえもスローモーションで行います。

ナマケモノが遅いのには、生きていくための理由があるのです。

ナマケモノのスローモーションの使い方は、彼らがあまりエネルギーを消費しないことを意味します。

つまり、たくさん食べる必要がないのです。

ナマケモノは、1回の食事を消化するのに、約50日間かかるといわれています。

冬眠しないほ乳類のなかで、最も代謝が遅い動物なのです。

彼らは、食べ物を求めて必死になる必要がない動物です。お腹をすかせた他の動物と獲物の取り合いをする必要もありません。

食べる量も少なければ、排泄もあまりなく、とにかく省エネなのです。

ただし、1つだけ動きが遅いことにはデメリットがあります。

スローモーションのデメリット

木の上で生活し、排泄するときだけ地上に降りてくるナマケモノは、足が遅いので、捕食者に追いかけられると勝ち目はありません。

そのため、彼らは、毛に生えた藻類や苔を周囲の森林とのカモフラージュにして、背景に溶け込んで捕食者の目を欺いているのです。

実は、ナマケモノの毛皮は、こうした藻類や菌類が生育しやすいようになっており、ある種の共生関係にあります。

基本的に、ナマケモノの天敵となる捕食者は、視覚と獲物の動きに頼って狩りを行うため、周囲に溶け込みながら、ゆっくりと移動することで捕食者に気づかれないようにしているのです。

遅い代謝速度を進化させてきた

ナマケモノの祖先は、かつて巨大で、最終氷河期から約1万1000年前までは地上を歩いていたことが分かっています。

主に、後ろ脚で立って高い木の葉を食べて生活していましたが、なかには、植物や死肉を食べるなど雑食性の種もいたと考えられています。

しかし、木に登り、カロリーの低い葉だけを食べるようになったことで、遅い代謝速度を進化させてきたのです。

ナマケモノは、体温を調節するのにもエネルギーを使うわけにはいきません。

体温調節をしない

実際に、彼らのすむ熱帯雨林では、体温をあたたかく保つためにそれほどエネルギーを消費することはありません。

これは究極の省エネで、仮に温度の低いところにおかれても筋肉や循環器系を暖かく保つために体温を調節しようとすらしないようです。なんと、暑すぎたり、寒すぎたりすると、代謝を止めて動かなくなるのです。

参照元:How Sloths Use Their Slow Motion To Their Advantage