今回は、ウォーター スライダーでスピードが出すぎた場合に、落下によるケガのリスクを減らすためにはどうすればいいのかについて、「ウォータースライダーは手足をクロスして滑ったほうがよい理由」、「4.5メートルの崖から落ちて助かるためにすべきこと」、「筋肉をリラックスさせるのが命を救うカギ」を中心に紹介します。
これは、ある暑い夏に起こった事故です。
しかし、気づいた時はもう遅く、彼と地面の間にある唯一のものは、岩だらけの崖のみ。
スピードを落とそうとしてもうまくいかない。
なんとかして手で滑り台の壁を抑えましたが、それがさらに事態を悪化させる結果に。
なんとウォータースライダーから放り出されてしまったのです。
ウォータースライダーでの事故
擦り傷、裂傷。脳震盪、手足の骨折。
アメリカの消費者製品安全委員会によると、公共のウォータースライダーでの事故によって、毎年4,200人以上が救急外来で治療を受けています。
まずは、ウォータースライダーで起きた事故のトップ3をご紹介します。
公共のウォーターパークでも、プライベートプールでも、ウォータースライダーからの落下は誰にでも起こり得ることです。
怪我をした人のなかには、一生のトラウマになった人もいるようなので、ぜひ以下を参考に、いざという場面で役立ててください。
事例1:ウォータースライダーで起こったハイドロプレーニング現象
2017年、カリフォルニア州ダブリンにあるウェーブ・ウォーターパークには、ウォータースライダーがありました。滑り落ちる高さは、なんと、3階建ての高さに相当。
そこを、仰向けになって滑り降りることになっていましたが、オープンからわずか90分後に事故は起こりました。
10歳の少年が滑り台の下付近のオープントップになったところまで勢いよく滑ったところで、ハイドロプレーニング現象が起きます。
少年は、1m幅の滑り台のアーチに沿って滑っていましたが、滑り台との間に水の膜ができることで体が浮いてコントロールできなくなくなり、突如縁から外に放り出されたのです。
ウォーターパークや市の職員の応急処置で、男の子は事故の後、歩いて帰ることができましたが、このウォータースライダーはただちに停止されました。
この事故は子供に大きな影響を与えたといいます。
母親によると、事故から半年経っても、息子は夜眠れないといいます。目を閉じていると、ウォータースライダーの一番上から落ちていくような気がするそうです。
事例2:ウォータースライダーから崖に飛び出した事故
2016年、テキサス州オースティンでのことです。
友人の家のプライベートプールでウォータースライダーを滑っていたところ、デイビッド氏は、スピードが出過ぎていることに気づきました。
急なカーブに差し掛かった瞬間、彼は「ヤバい!」と思い、腕で滑り台の側面を押して、勢いを弱めようとします。
しかし、残念ながら、それだけではデイビッド氏の安全を確保するには不十分でした。
彼は滑り台の端から飛び出して、激しい衝突を感じた後、岩場の崖を下っていったのです。
4.5メートルの崖に阻まれたため、救急隊員もなかなかたどり着けず、助けに行くまでに苦労しました。
最終的にはラウンドロック病院に搬送され、彼は一命を取り留めましたが、全身の切り傷や打撲の他、肋骨と腕、そして腰の骨折と診断されました。
事例3:世界一高いウォータースライダ―で起きた事故
2014年のことです。カンザスシティにオープンしたシュリターバーン・ウォーターパークにVerrückt.というウォータースライダーが登場しました。
ドイツ語で「狂気」を意味します。
世界一高いウォータースライダ―として売り出されました。
高さは52メートル(170フィート)。
ウォータースライダーを滑るには、264段の階段を登らなければならず、滑るときに乗るボートが浮いてしまうこともありました。
そのため、落ちないように金属製のポールで支えられたネットがウォータースライダーを覆っていたのです。
この構造は、安全なように見えましたが、実際にはそうではありませんでした。
2016年のことです。
10歳のカレブ・シュワブ君が他の2人と一緒に、ウォータースライダーに挑戦した結果、滑り台の頂上でスピードが上がり、空中に舞い上がりました。
ケイレブ・シュワブ君は、空中に放り投げられ金属製のポールに頭をぶつけ、命を落としました。
シュワブ君の体重は、33.5kgしかないにもかかわらず、座席の一番前に座らせてもらったそうです。
体重の重い2人の間に入るのではなく、一番前に座らされたことにより、体重が不均等になったのが、事故の原因かもしれません。
また、他のミスもこの悲劇を引き起こしました。
ガイドラインによると、Verrücktを滑るには、ストラップだけでなく、肩越しの拘束具が必要でした。
これについては、2017年、シュワブ君の遺族は、関係各社から20億円相当の和解金を受け取ったそうです。
ここからが本題。この3つのウォータースライダーでの事故から何を学べるかを見てみましょう。
ウォータースライダーでの事故からのサバイバルテクニック
私たちが学べる最大の教訓は、特にそれが自分の安全に影響する場合はルールを守ることです。
スタッフの話には耳を傾け、ルールを守ることでほとんどの悲劇は防げます。
そして、ウォータースライダーを楽しい思い出にするためにも、以下の事故対策を役立ててください。
ウォータースライダーでは腕と足をクロスさせる(組む)
実のところ、10歳の少年は、スタッフの指示に従っていれば、ウォータースライダーでハイドロプレーニング現象を起こさずに済んだはずだといわれています。
ウォーターパークの関係者によると、滑り台を降りるときは腕を胸の前で交差させ、両足を組むべきですが、この少年の足は離れていました。
デビッド氏も同様に、足が離れていて、滑り台の側面に両腕を引きずりながらスピードを落とそうとしています。
体重が偏っていたために滑り台の端に寄って、壁を越えてしまったのです。
もう一度、腕と足を交差させていれば、もっと安全だったはずだといいます。
滑り台から放り出されたときの対処法
もし滑り台から外れて、高いところから放り出されてしまったら、筋肉を少し緩めてみましょう。
そして、両足をそろえたまま体操座りのように膝を曲げます。
そうすると、両足が同時に地面にぶつかり、いくらか衝撃を分散して弱めることができます。
頭は腕で覆ってください。もし横に倒れたとしても、頭を守ることができます。これでデビッド氏は大きなケガからは助かったかもしれないといわれています。