純粋な水は、電気を通さない「絶縁体」もしくは「不導体」です。
一方で、私たちは、水は電気を通すと教えられてきました。確かに、「水+電気」は感電の原因となるため、危険な組み合わせです。
しかし、この問題について化学を深く掘り下げてみると、 「純水」は実際には電気の良導体ではないことがわかります。
以下に、水が電気を流さない理由について分かりやすくみていきましょう。
水は優れた溶媒
水は、電気を通しにくいかもしれませんが、多くの物質を溶解(溶けて均一に混ざり合う)します。
そのため、水は優れた溶媒として広く知られています。
実際には、水に溶けないものもあるので「万能」ではありません。
とはいえ、私たちが目にするほとんどの水には、すでにある程度の物質が溶けて(溶質)含まれています。
キッチンの蛇口、シャワー、プール、どの水であろうと、化学物質やミネラルなどかなりの量の溶質が含まれていると考えられます。
あなたが目にする、またはよく消費する水が完全に純粋である可能性はほとんどありません。
つまり、水道水は、(塩分やミネラル、不純物が含まれていない)純水ではないのです。
不純物を含まない純水は電気を流さない理由
電気が液体を流れるためには、液体内で電荷の移動が発生する必要があります。
完全に脱イオン化された水、つまり完全に「純粋な」水にはイオン(電荷を帯びた分子)が含まれていません。
したがって、電流(電荷)が流れないため、純水は電気を通さないのです。
蒸留水が電気を通さない理由
蒸留水にも不純物がないため、イオンは含まれていません。
蒸留水には、電荷をもたない中性分子のみがあります。
このため、蒸留水も電気を通すことができません。
水が電気を流す理由
一方で、水道水、雨水、海水などには、ナトリウムイオン(Na+)やカルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)など、無数の不純物が含まれています。
これらは水に存在するときに帯電されるため、電気はこれらの液体を流れることができるのです。
さらに水は、電気の良導体として機能するために大量の不純物を必要とせず、少量のイオンでも、水源に電気を通すことができます。
水の性質
プラス極とマイナス極を備えたバッテリーを水中に置くと、プラスイオンはマイナス極に引き寄せられ、マイナスイオンはプラス極に引き寄せられ、閉回路が形成されます。
水は性質上両性であり、塩基にも酸にも反応する両方の性質をもつ物質です。
水素の優れた供給源であり、陽性元素として水素分子を放出します。これは酸化還元反応(さんかかんげんはんのう)の重要な要素でもあります。
さらに、水は水銀を除くすべての液体の中で最も高い表面張力を持っています。水のこの性質は、水分子間の強力な水素結合によるものです。
水はイオンを含むかどうかにかかわらず、そのユニークな特性のおかげで、 生命にとって信じられないほど用途が広く、不可欠な物質の1つとなっているのです。
とはいえ、最も純粋な状態では電気を通しませんが、そのような純粋さは非常にまれです。
このように私たちが日常生活で使用する水には、必然的に溶存イオン、ミネラル、その他の物質が含まれておいるため、電気製品から離しておき、電荷が流れないようにした方がよいといえます。