エレベーターは、もはや、私たちの生活の一部といっても過言ではありません。
実際に、アメリカでは100万個以上も稼働しており、毎年何万人もの人が利用しています。しかも、幸いなことに、エレベーターによる死亡事故は非常にまれだといわれています。
しかし、エレベーターが安全性の高いものだと分かってはいても、乗ると窮屈に感じたり、どことなく不安に感じたりしてしまうこともよくあります。
もしかしたら、なんらかの災害や故障によって、突如ケーブルが切れて、ぞっとするような高さから急落下するようなことがあるかもしれないからです。
そこで、ここでは、もしあなたが落下しているエレベーターの中に閉じ込められた場合、生き残るための最善の方法について、MITの生物医工学センターの研究者たちによるアドバイスをBusiness Insiderから紹介します。
落下中のエレベーターに閉じ込められたときの対処法
落下しているエレベーターに閉じ込められた場合、はっきりいって状況は最悪です。おそらく骨折はまぬがれないかもしれません。
子供だったら「着陸の直前にジャンプしよう」と言い出すでしょう。
しかし、急落下による重力に逆らって、ジャンプするには相当な力がいるだけでなくタイミングもあいにくいなど様々な問題があり、現実的には衝撃を軽減するには取るに足らない無益な対処法だといえます。
また、そのような状況に遭遇してしまった場合、人は本能的に、膝を曲げて足を踏ん張り、衝撃に備えようとする傾向がありますが、それでは、落下後の極度な衝撃と重力にさらされてしまうので、自分の体重を支えることは不可能です。
しかし、あるサバイバルテクニックを取り入れることによって、体の重要な器官を守れる可能性は高くなります。
MITの研究者たちによると、エレベーターの落下事故での生存率を高めるには、エレベーターの個室の真ん中で、床に横たわるのが最も有効な対処法であるようです。
これによって、体重が分散され、落下による衝撃の力が拡散するからです。
落下中のエレベーターから生き残った人はいた
アメリカでは、過去にケーブルの切断によるエレベーターの落下事故はたったの1回しか起こっていません。
それは、B25爆撃機がエンパイアステートビルに衝突したあの1945年の事故までさかのぼります。
エレベーターに乗っていたのは、ベティ・ルー・オリバー一人で、彼女は75階の高さから落ちて、奇跡的に生き残りました。
おそらくエレベーターのケーブルやコイルがクッションのかわりになり、衝撃を吸収してくれたのであろうといわれています。
エレベーターでの死亡事故の確率
エレベーターでは、死亡事故だけでなく、怪我をすることでさえ非常にまれだといわれています。
そして、そのほとんどは、ドアの故障によって挟まれたり、隙間から落ちてしまったりするケースで、犠牲者の54%は、エレベーターのメンテナンスや修理を行う人です。
アメリカでは、毎年180憶人がエレベーターを使用し、そのうち平均27人の死亡者がでています。つまり、エレベーターで命を落とすのは、確率でいうと約0.00000015%。なんと階段を使用する方が死亡率は60倍近くも高く、エスカレーターと比べても1/15の確率です。
以上のことから、エレベーターは、移動手段のオプションとして、最も安全に利用できるものなのかもしれません。