絶対やってはいけない8つのサバイバルテクニックと本当にすべきこと


実は、「サバイバルテクニック」といわれ、遭難や災害時に生き残るために記された情報には、間違ったものが数多くあります。

なかでも危険なのは、実際には生き残る手段として間違っているにも関わらず、本当のように見え、あたかも常識のように浸透してしまっているものです。

たとえば、あなたの車が、砂嵐に出会い、砂漠の真ん中で故障したとしましょう。

スマートフォンの電池は切れています。

食べ物と水の貯えもありません。

さて、この悲惨な状況のなか、どうやって抜け出しますか?

このような生存リスクの高い状態にいるとき、多くの人がつける優先順位が

  • 水の確保
  • 太陽(暑さ)や雪(寒さ)などからの避難
  • 野生動物からの避難
  • できるだけ早くWi-Fiで通信

これらに比べると、食べ物の優先度は比較的低くなります。

このとき、優先順位の高い水分確保のために、サボテンの果肉から水分を取ったり、尿や血液を飲んだりすると答えた人は、下記を読むことをおすすめします。

今回は、遭難や災害が起きたときに役立つ「サバイバルテクニック」のうち、絶対にやるべきではない8つの方法と、代わりに何をすべきかを分かりやすく紹介します。

水分摂取で雪を食べてはいけない


山登りで遭難したとき、重要なのが水の確保です。

しかし、気温の低い雪山での水の確保はとても困難なものです。

そこで、多くの人がやってしまう間違いが、辺り一面に降り積もった雪を口に入れて溶かすこと。

たしかに、雪は水でできています。

また、すでに地面に積もった雪は汚染リスクが高いにせよ、降りたての雪なら、落下しながらすすや空気中の汚染物質を集めたとしても、それらは一般的にあなたを傷つけるほどではないでしょう。

しかし、雪を食べることは次の理由で間違ったテクニックだといえます。

まず、雪は、あなたの体の熱を使って溶けるので、体温を奪います

水は熱容量(温度を上げるのに必要な熱量)が高く、分子同士がかなり強く結合しているため、液体の水を沸騰させたり、氷を溶かしたりするには、これらの結合を壊すために多くのエネルギーを必要とするからです。

そして、このエネルギーは、本来、体温を暖かく保つのに使うべきエネルギーなのです。

さらに、雪には、空気がたくさん含まれているので、断熱性が高くて溶けるのが氷より遅いうえ、十分な水を得るには、雪をたくさん食べる必要があります。

仮に、体温が下がりすぎないように雪を溶かす方法としては、雪を直接口に入れて溶かしたり、皮膚に押し付けて溶かしたりするのではなく、できる限り太陽光やガスバーナーなどを利用して溶かしましょう。

もし長期戦になりそうなら、最初の24時間は体内に蓄えられた水分があるのでできるだけ我慢してください。

サボテンから水分を摂取しようとしない


砂漠にいる場合は、サボテンを、新鮮な湧き水の頼りにしないでください。

たしかにサボテンは、たくさんの水分を保持していますが、有害な化学物質もたくさんあります

サボテンは、CAMと呼ばれる珍しいタイプの光合成を使用します。

CAM型光合成は、他の種よりも、必要とする水分量がはるかに少なくすむので、砂漠では便利です。

CAM植物は、夜間に細孔を通してCO2を収集し、有機酸(主にリンゴ酸)の形で(液胞に)保存します。

次に、日中にこれらの孔を閉じて、水分の損失を最小限に抑えながら、貯蔵された有機酸をCO2に戻して、光合成を行います。

これらの有機酸は、果物にもよく含まれており、よほどたくさん摂取しない限り、それほど有害ではありません。

しかし、CAM植物の多くは、シュウ酸を作ります。

シュウ酸は、カルシウムと結合して、体に悪影響を与える可能性があるため、有毒です。

それは、シュウ酸カルシウムの形であなたの腎臓に蓄積することもあります。これが、腎臓結石のもとです。

酸に加えて、サボテンの果肉の多くは、体に悪い植物化学物質の種、多様なアルカロイドを含んでいます。

それは、吐き気や下痢を引き起こしやすく、結果的に脱水症状を起こして事態を悪化させます。

なかには、バレルカクタスや若いウチワサボテンのように、毒性が低いものもありますが、植物学のスキルに自信がない限り、サボテンで脱水症を防ごうとしない方がよいでしょう。

脱水症予防に尿や血液を飲むのは間違い


尿を飲むと、一日程度は大丈夫かもしれませんが、飲み続けることで腎不全に似た状態になったり、脱水症が進む可能性があります。

詳しくは生き残るためなら「尿(おしっこ)」を飲むべきか?を参照。

血液に関しては、少量なら飲んでも安全な場合があります。

しかし、水の供給源としてよりも、血液に含まれるタンパク質と鉄分に問題があります。
体が処理する能力を超える量の血液を摂取した場合、有毒となるだけでなく、心臓や肝臓などにそれらを保管しようとして結果的にそれが臓器不全につながり、さらには命を落とす可能性もあります。

さらに、血液由来の病原体にさらされるリスクも考えられます。

したがって、吸血鬼のようなマネは、おそらく最良のアイデアとはいえないでしょう。

道に迷ったとき、コケが帰り道を示してくれるのはウソ


仮に、水分を見つけた場合、残すはGPSなしで家に帰る方法を見つけるだけです。

今までに、「コケは常に木の北側で育つ」と聞いたことはありませんか。

これは一般的に言えることの1つですが、残念ながら常に100%信頼できる情報とは限らず、ナビゲーションにはあまり役に立ちません。

ここ北半球では、地球の傾きのおかげで、木の北側の日光が最も少なくなります。

これは、木の北側は、日陰で涼しく湿っている、つまり、コケが好んで生える環境である可能性が高いことを意味します。

一般的に植物は、根や茎、葉に、水と養分を運ぶために必要なチューブがありますが、コケはそれらの組織を欠いた非維管束植物で、水を保持するのに優れていません。

そのため、仮に、木の特定の側面が必要な水分を確保するのに良好な状態をもたらしている場合、コケはうまく育ちますが、それが必ずしも北を指しているわけではなく、単に苔に適した側というだけです。

雪山での遭難でアルコールを飲んで体を温めるは間違い


避難所では、体温を維持する方法が必要になります。

今までに、映画で、吹雪の中、体を温めるためにお酒を少量飲むシーンを見たことがあるかもしれません。

アルコールは。頬を赤らめるため、直感的にこれは正しく見えます。

しかし、それは体を温めたいという本来の目的とは正反対に働きます。

アルコールは血管拡張薬です。つまり、アルコールは脳の血管をコントロールする部位に働きかけて皮膚の表面近くの血管を開きます。

しかし、増加した血流は、温かい血液を皮膚表面に向けて運びます。

そこは、熱力学でいえば、あなたの体の内部から最も離れた場所であると同時に、冷たい外気の影響をもろに受けるところです。

本来、体を暖かく保ちたいなら、大切な内臓と脳の温かさを優先して摂氏37度に保つ必要があり、皮膚表面の血管は収縮させる必要があります。

凍傷にかかった部位をさするのは間違い


凍えそうなとき、体を擦ったり叩いたりして暖かくするのが一般的です。

たしかに、摩擦はわずかですが暖かさを生み出します。

しかし、凍傷が始まると話は別で、それは恐ろしい考えへと一転します。

細胞で考えてみてください。

凍傷は、体の細胞組織内に、氷の結晶が形成され始めることを意味します。

この氷の結晶は鋭いため、細胞膜をはじめ、他の細胞構造に穴をあけることができます。
すると、体をこすることで、鋭い氷の塊が、周辺の細胞を破裂させて、事態はさらに悪化するでしょう。

また、凍傷の患部をむやみに熱い湯で温めようとするのもリスクの高い行為となる場合があります。

それには、痛みを伴うだけでなく、再凍結の危険が潜んでいるからです。

体内で、さらに多くの氷が再び形成されると、それだけ多くの損傷が発生し、組織が永久に失われる危険があります。

凍傷は、主に四肢に影響を与えます。

低体温症の始まりは、体の中心体温が35度まで下がることを意味します。

低体温症の人を温めるときは、慎重にゆっくりと行わなければいけません。症状によっては、急に温水に浸けて温めようとすると、不整脈や心臓発作を引き起こす可能性があります。

凍傷と低体温症への対処は、細心の注意が必要で、血液の流れをよくするために温かい毛布でくるむなどして、できるだけ早く医師に見せるようにし、危険を冒さないでください。

ヘビに噛まれたら、毒を吸い出すのは間違い


ヘビ咬傷の影響は、ヘビの種類とそれがもつ毒によって異なります。

一部の咬傷は、深刻な組織の損傷や内出血を引き起こし、ときには神経毒である可能性もあります。

したがって、口で吸い出す行為によって、かえって傷口から血管に毒が急速に拡散され、感染リスクが高まります。

実は、吸い出そうとしたことで、実際に取り除ける毒はわずかです。

2002年に学術雑誌、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン (The New England Journal of Medicine)に掲載された記事によると、ヘビ咬傷の切開と吸引はすべきではなく、代わりに、

  • 傷口を心臓よりも下に保つ
  • ヘビに噛まれた人を暖かく保つ
  • 止血帯を避け、衣類をゆるめて宝石類をはずす

そして、できるだけ早く病院に行くことが推奨されています。

病院は、毒を中和する抗体からなる抗毒素を投与することができます。これらは、体には影響がないように、注意して作られたものです。

そして、ヘビの種によって毒の種類が異なるので、どのようなヘビに咬まれたかを覚えておいてください。

ヘビに咬まれた場合は、専門家に任せるのが一番です。

クラゲに刺されたらおしっこをかけるのは間違い


クラゲに刺されたところにおしっこをかけるなんて、奇妙に聞こえるだけでなく、それだけの価値はありません。

おしっこは効かないどころか、事態を悪化させることさえあります。

クラゲの触手には、刺胞と呼ばれる刺痛細胞が含まれています。

それらは、あなたに触れたときに細胞に穴を開けたり、毒を放出したりして、あらゆる種類の生物学的騒乱を引き起こしたりします。

しかし、最初に触れたときは、刺胞の多くは放出されないので、秘訣は、何千もの他の人触手を刺激せずに、放すことです。

尿はそれらの刺胞細胞の毒を中和するといわれていますが、特定の化学変化は触覚だけでなく、刺胞細胞を刺激させる可能性があるので危険です。

同様に、アルコールも尿同様、それらを誘発することが知られています。

学術雑誌、Toxins(毒)に掲載された2017年の研究では、クレジットカードやシェービングクリームで刺された部分をこすることを含め、クラゲに刺されたときに有効だとされる多くの治療は間違っていると示されています。

海水はそれらを洗い流すのに役立ちますが、刺胞細胞への刺激を化学的に防ぐことはできません。

代わりに、酢をうまく利用するのが最善であることがわかりました。

これは単なる化学的酢酸で、pHを低くしすぎることによって刺胞細胞の反応を鈍くさせた後、触手をピンセットで注意深く引き抜きます。

患部を温めるのも痛みを和らげるのに役立ちます。

サバイバルテクニックでは間違った情報があることを知っておくことも大切


さて、皆さんには、これらのサバイバルテクニックに関するヒントを使用する必要はないかもしれません。

できれば使用する機会がないことが望ましいでしょう。

しかし、世の中には、生き抜くためのサバイバルテクニックに関する情報があふれています。

命を救うためのものであるはずが、多くの誤った情報によって事態をさらに悪化させる可能性があることには注意しなければなりません。