古代の高い窓はどうやって建物を冷やしたのか?

建築・構造・ものの仕組み

クーラーも扇風機もない古代のアジアでは、砂漠気候のなか、どのように建物を涼しく保っていたのでしょうか?

驚いたことに、建物の構造そのものに風を取り込むしかけがあったのです。

それは、バードギール(採風塔)と呼ばれる古代から伝わる背の高い塔のような伝統的な建築構造で、高い位置ある窓から風をとりいれて建物を冷やす冷却技術が用いられています。

そして、この自然の力を上手に取り入れた家は、古代エジプトから現代にまで引き継がれているのです。

さっそく以下に、高い窓からどのようにして涼しい風を家の中に取り込むのかを見ていきましょう。

天然の空調設備の仕組み

バードギール(採風塔)は、中東や中央アジアなど、多くの乾燥した暑い地域で見られる伝統的な建築的特徴です。

風を捕らえて建物に導くことで、自然の換気と冷却を利用するように設計されています。

バードギールは通常、建物の上に伸びる背の高い塔のような構造物です。

卓越風(たくえつふう)と呼ばれる特定の時期に頻繁に吹く風を捕らえるために、建物の風上側に戦略的に配置されています。

バードギールは、その地域の天候や気候条件に依存しており、すべての技術がどこでも機能するわけではありません。

まず、いくつかの重要な要素で構成されています。

開口部から風を取り込む

風上開口部これは、卓越風の方向に面した開口部で、入ってくる空気を捕らえて方向付けるように設計されています。

バードギール内の垂直シャフト、またはダクト(縦方向に設けられたスペース)は、外部から入った風を下向きに取り込み、建物内に導きます。

風が窓部分に当たると、風上側に高圧ゾーン(青い部分)が、風下側に低圧ゾーン(赤い部分)が生まれます。

風上側から空気が入ると、室内の熱くて古い空気は風下側の低圧領域に向かって移動する傾向があります。

窓から入った風は、高圧領域から低圧領域に流れるため、風上側の開口部から入り、風下側の開口部から出ていくという流れが生まれます。

その結果、新鮮な空気が入れ替わります。

スタック効果(煙突効果)

この構造は、スタック効果(煙突効果)としても知られ、新鮮な空気と室内の空気の密度差に基づいて、風の効果を発揮するのに役立ちます。

建物内に、外気より熱い空気がある場合、高温の空気は低温の空気より密度が低い(軽い)ので上昇します。

風上側の開口部から新鮮な空気が入れば入るほど、スタック効果は空気の下方への移動を助け、また、熱い空気を風下側(出口)に持ち上げるのに役立ちます。

バードギールは、さまざまな風の状況に適応できます。

ルーバーやダンパーを調整して、強風のときや空気が汚いときなどに入ってくる空気の量をコントロールすることもできます。

四角い断面をもつ塔は、丸い塔よりも風がスムーズに流れて効率的です。

また、塔が高いほど、上空の強くて冷たい風を捕らえやすくなります。

上空の空気ほど、ほこりも少なく、きれいな空気になる傾向もあります。

この上空の冷たい風を家の中に取り込むバードギールの仕組みについて詳しくはこちらの動画で確認できます。

How this ANCIENT wind catcher make building cool