乾いた石けんはまったく滑りません。
しかし、濡れた石けんを掴もうとしたとたん、ツルツル滑ってしまいます。
では、なぜ石けんと水はこのような滑りやすい状況を作り出すのでしょうか?
以下に、水の関係をもとに、石けんが滑りやすい理由をみていきましょう。
摩擦の力を弱くする水
通常、2つの面が接触しているとき、それぞれの面を固定するのに十分な摩擦の力があります。
たとえば、乾いた滑り台を横にして、勢いよく飛び乗っても何も起こりません。
しかし、少し濡らしておくと、水が潤滑油の役割を果たし、2つの表面の摩擦が減って滑りやすくなります。
水を台の上にばらまくとき、水分子の末端は+(プラス)と-(マイナス)に帯電しているため、
水分子同士は数珠つなぎになって水たまりを形成し、その周りに乾いた部分が残される傾向があります。
そのため、濡れた台に飛び乗ると、お腹が表面と直接接触するする部分(乾いた部分)が少なくなり、それによって滑る速度と距離を制限する摩擦が減ります。
そのため、ほとんどのスライダー遊具では、この摩擦が生じる部分をなくすために、表面に水を流しているのです。
しかし、ここで水に石けんを少し加えるだけで、さらに滑りやすくすることができます。
摩擦の力を弱くする石けんの働き
石けんが滑りをよくするには、主に2つの方法があります。
第一に、石けん分子には2つの異なる末端があり、電荷を帯びた末端は電荷を帯びた水分子に引き寄せられ、もう一方の中性の末端は水分子とは関わりません。
(これが石けんが汚れを取る理由でもありますが、それはまた別の機会で説明します)
ともかく、石けんを水に入れると、水を好む石けんの端は水分子と結合しますが、もう一方の端は、この状況から抜け出したいだけなので、水分子の集合体を台の表面に広げやすくします。
石けんは基本的に、水を数珠つなぎにするのではなく拡散させるため、結果的により滑りやすくなるのです。
摩擦をブロックする泡の層を形成
また、石けんが泡を形成した場合、その気泡が体と滑り台の間にさらなる泡の層を形成し、それが摩擦をブロックする層となって滑りやすくなります。
結論として、石鹸は、2つの表面を離す水の能力を高めることができるのです。
石けんそのものが滑りやすくなる理由
しかし、その表面のひとつが石けんそのものである場合、その表面は本質的に完全に消失するため、事態はより奇妙に働きます。
たとえば濡れた固形石鹸を扱うときのように、水に対する石けんの比率がとても高い場合、石けんの表面には、石けん分子と水分子からなる膜ができます。
膜では、両端を持つ石けん分子は、薄い水の層をサンドイッチのように挟んだシート状になり、それが何層も重なっているため、水の層で石けんの層は横滑りを起こしやすくなります。
この潤滑なシートは、互いに滑りやすくなっていることで、溶液全体が固体ではなく、液体のような挙動を示すようになるのです。
つまり、濡れた石鹸をつかむとき、固体の表面をつかんでいるわけではないので、そもそも摩擦を起こすものがありません。
私たちは、この石けんの表面にできた膜をつかもうとしているようなもので、ツルツルと滑るのです。
結論
滑りやすい石けんの効果は、石けんが水を滑りやすくしているだけでなく、水も石けんを滑りやすくしているのです。
石けんがツルツル滑る科学的な理由については、以下の動画で見ることができます。