熱帯地方にあって、山に囲まれたベネズエラの海岸沿いには、500年以上も稲妻が続くというわれる伝説の湾があります。
雷のホットスポット「マラカイボ湖」。
昼間は晴れていますが、ここではほとんど毎晩、基本的に同じ場所で新しい雷嵐が発生しています。
ここでは、マラカイボ湖を例に、雷雨を引き起こす4つの要素について分かりやすく紹介します。
雷雨で有名な場所
実は、激しい雷雨で有名な場所は、世界中にあります。
たとえば、アメリカではフロリダ州の雷雨が有名です。
ここには、1平方キロメートルあたり年間79回の稲妻が発生する雷のホットスポットがあります。これは、125平方キロメートル(大分県別府市の大きさ)では、毎年ほぼ1万回の落雷があることを意味します。
ただし、これでも北米の雷のホットスポット・トップ10に入るほどではありません。
アフリカのホットスポット・トップ10が年間1平方キロメートルあたり112~205回であるのに比べればとても控えめなのです。
雷を引き起こす4つの要素
これらの雷が発生しやすい場所は、熱帯地域、山の近く、海岸沿い、湖や湾などの大きな水域の近くにあります。
これは、いくつかの成分が雷嵐を起こしやすくしているからです。
まず、水が多いこと。
そして、その水を蒸発させるためには熱が必要で、熱帯地方は、そのための一年中安定した熱を提供します。
次に、この暖かい水蒸気が上昇して雷雲を形成する必要があります。これは、上昇する湿った空気の代わりに、それに置き換わる冷たい空気が周囲にあるときに起こるのです。
これが、海岸線や大きな湖など大きな水域の近くが雲の発生に適した場所である理由です。
こうした水域では、日中、陸地は水面よりも早く温まりやすいため、(暖かい)陸地の上空にある空気が上昇し、(冷たい)海から陸へ風が吹きます。
そして、夜になるとその逆になり、陸地は水面よりも早く冷やされるため、風は陸から海に向けて吹きます。
つまり、雲が24時間発生し続けるのです。
最後に、湿った空気を上昇させ、雲を発生させるもう一つの素晴らしい方法が「山」があることです。
さて、これらの特徴がそれぞれ雷雨の可能性を高めているのですが、これらすべてを同じ場所で組み合わせるとどうなるのでしょう?
そう、世界的な稲妻の首都の誕生です。
年中稲妻が見られるベネズエラのマラカイボ湖
ベネズエラのマラカイボ湖は、1平方キロメートルあたり年間232回の落雷があります。
マラカイボ湖は、厳密には沿岸のラグーンですが、大量の水を供給し、温暖な熱帯の真ん中にあり、カリブ海に直結し、アンデス山脈に囲まれています。
アンデス山脈は夜間に急速に冷え込むため、それに対するラグーンの水温は温かく温度差が生まれます。
その結果、暖かい湖の水は上昇し、山からの冷たい風それに置きかわり、湖の上に集まりながら対流をおこして、強力な上昇気流と雷雲を発生させるのです。
そのため、毎晩、マラカイボ湖は地球上で最も印象的な雷のショーで照らされます。