オーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)では年に一度、驚くべきことが起こります。
それは、わずか30分しか見られない不思議な世界。
この瞬間に海に飛び込んだら、数百キロ続くスノードームの中を泳ぐことができます。
実は、これらの雪の結晶のようなものは、実際にはサンゴの卵と精子の塊です。
サンゴは、カラフルな岩や海中の庭園のように見えるかもしれませんが、実際には動物で、産卵(有性生殖)と分裂(無性生殖)の2つの方法で繁殖することができます。
以下に、サンゴの美しい産卵風景とともに、体の仕組みや繁殖方法について紹介します。
サンゴは動物
サンゴは、「ポリプ」と呼ばれる数十万の小さな個体のコロニーです。
これらの花の形をしたポリプにはそれぞれ、触手に囲まれた口があります。
ポリプは、骨格を形成する炭酸カルシウムを分泌します。それがサンゴに構造を与え、岩や海に固定するのです。
サンゴの有性生殖(産卵)
サンゴは動くことができないため、ほとんどのサンゴは繁殖プールに混ざり、海水中に精子と卵の塊(バンドル)を放って受精します。
しかし、出会える時間がとても短いため、タイミングを見極める必要があります。
温かくなる夏の海水温をきっかけに、月の満ち欠けの光で繁殖に適切な日を、沈む夕日で正確な時間を感じ取ります。
これらの配偶子の中には、精子と卵子が含まれていますが、ここでは混ざりません。
配偶子は水面に浮かび、
精子を破裂させて新しい卵子を探します。
卵子には、1つの精子だけが入ります。受精すると、分裂を開始し、プラヌラ幼生と呼ばれる1mm程度程度の冒険好きな幼生に変化します。
プラヌラは海中を泳ぎ、落ち着ける場所を探します。彼らの背中にある化学センサーと光センサーがプラヌラを完璧な場所に導くのです。
プラヌラが望むのは、安定した土台、十分な日光、そして成長する余地の十分な場所です。
プラヌラは定位置に定着すると、そこで成長してポリプに変化します。
周囲の水から褐虫藻(Zooxanthellae)という藻類を体内に吸収して共生します。サンゴは褐虫藻に住む場所を与え、褐虫藻は光合成で得た栄養と鮮やかな色をサンゴに与えます。
さて、ここで奇妙なことが起こります。
ポリプは自分自身を複製することができるのです。
サンゴの無性生殖(分裂)
ポリプは、側面から直接コピーを成長させ、コピーも自らの複製をつくります。
このようにしてサンゴは、クローンによって独自のクローンをさらに芽生えさせ、どんどん数を増やしていくことで、巨大なサンゴ礁を形成するのです。
サンゴは、魚や甲殻類、ウミガメなど、海洋生物の4分の1に食料と住処を提供する重要な生態系です。
海水が過度に温まると、ストレスを受けたポリプが色鮮やかで栄養価の高い藻類を排出しはじめてしまいます。これがサンゴの白化です。
サンゴの数が減ると、産卵期で卵子と精子がお互いを見つけるのがますます難しくなります。
実は、サンゴ礁の危機は人間の危機でもあるのです。