人が怠けるのは科学的な理由があった

人が怠けるのは科学的な理由があった仕事・勉強に役立つ話

仕事やトレーニングを怠けて、何をするともなしにダラダラ過ごして時間をムダにすることに至福のひとときを感じる。

このような思いは誰にでもあります。

しかし、誰もがみな似たような欲求をもっているとはいっても、面倒なことを著しく嫌い、明らかに他者よりも怠け癖がある人がいるのはなぜなのでしょうか?

ひょっとすると、怠け者の遺伝子というものが存在するのでしょうか?

ここでは、活動量が極端に低い怠け者について、怠け心への欲求がどのようにして生まれるのかや、怠け癖のある人がパフォーマンスを高めるための解決策を中心に分かりやすく紹介します。

実は、運動(肉体的活動)には中毒性がある

「進化」は、人間が自然環境に適応して、食べ物や種の保存などで、最大限の報酬を得るために、脳や身体の型を作り上げてきました。

それらは、最終的に危険から身を守るため、そして、種の保存に役立てるために働いていますが、実は、人の怠惰もこれらの報酬系の欲求と同様に、脳のドーパミンシステムが関係しています。

ドーパミンは、脳内で運動機能や快楽、学習などに関わる神経伝達物質であり、報酬系に作用することから、快楽ホルモンとも呼ばれています。

実のところ、運動(肉体的活動)が動機となって、脳の報酬系が活性化されることで得られる快感は、まさに食べ物やセックスから得られるものと同様に中毒性を伴うといわれています。

そのため、いくら食事やセックス、身体的な活動が、人間の生物学には不可欠な部分であったとしても、この中毒性が要因となって、それらへの欲求に苦しんでいる人はたくさんいます。これらの人は、絶えず欲求が達成されることが、行動の動機付け(モチベーション)になっているのです。

そして、これらの欲求を調節しているドーパミン系は、遺伝子によって大きな影響を受けていることが分かってきました。

「活発な人」や「怠け者」は遺伝によるもの

科学者たちは、マウスを活動量の違いで二つのグループに分けた研究によって、とても興味深い遺伝的関係を見出しました。

ケージの中で回転輪に頻繁に乗って運動をする(活動量が多い)グループと、あまり乗らない(活動量が少ない)グループでは、彼らの子孫に明らかな違いが生じたのです。

まず、10世代後をみると、よく運動するグループのマウスの子孫は、もう一方のグループに比べて75%も回転輪での活動量が多く、さらに16世代後では、毎日7マイルも走るようになりました。

平均的なマウスの日々の走行量が4マイルであるのを考慮しても活動量が多いことが分かります。

どうやら、マウスの身体活動へのモチベーションは、遺伝的な要素が強いようです。

活動量の個人差は脳のドーパミン系の影響によるもの

私たちはすべて、脳の発達に重要な役割を果たす遺伝子を両親から継承しています。そのなかには、活動量に作用する遺伝子も含まれています。

そして、研究によって、活動量の多いマウスは、脳の報酬系のドーパミンシステムの領域が大きいことが分かったのです。

さらに、活動欲求が強い遺伝子をもつマウスの脳は、運動に対して、コカインやニコチンが奪われたときの薬物中毒症のマウスと同じような脳の反応を見せることも発見されました。

私たちはみな、衝動性から仕事を先延ばしにする怠惰さにいたるまで、気質を担う遺伝子を親から受け継いでいます。

怠け者から抜け出す方法

近年の研究で、「怠惰」は、活動レベルを調節する正常な遺伝子の突然変異と関連していることが分かりました。

この遺伝子は、ドーパミン受容器の一種に応答しますが、正常に機能している遺伝子を持っている人よりも、座っていることを好み、活動量を低くしています。

しかし、人の活動への欲求は、遺伝によるものが全てではなく、さまざまな環境要因が絡み合っているともいわれています。

つまり、誰ひとりとして、怠惰な人生を送るのがすでに運命で決まっているというわけではないのです。

もし、自分が怠け者だと思うなら、ぜひイスから立ち上がって、怠惰なDNAと闘ってみてください。こうして闘いを挑んでいるうちに、脳が反応を示し、ドーパミン系が活動的に変化していく可能性があります。

そして、さらに生産性を上げたいと願うなら、「生産性を上げて自由な時間を増やす方法」を参考にしてください。

参照元:The Science of Laziness