世界記憶力チャンピオンが教える「人の名前を決して忘れない方法」

2018年2月 9日

私たちの多くは、「もっと物覚えがよくなりたい」と願いつつも、「名前だけはどうしても覚えられない」、「年だから」などとさまざまな言い訳をして、諦めてしまっていることがほとんどです。

しかし、実際には、もの覚えが悪いというのは、記憶力自体が悪いのではなく、ただ記憶するための訓練をしていないだけであることが分かってきたのです。

ここでは、人の名前を覚えるコツや物事を記憶するための訓練のやり方について、世界記憶力チャンピオンであるケビン・ホースリー氏のアドバイスをもとに、分かりやすく紹介します。

名前を思い出せない理由

アメリカで、800人を対象に行われた世論調査において、一週間以内に思い出せなかったものについての質問では、「人の名前」が世代を問わず最も多く、続いて、「パスワード」、「日付」、「鍵の場所」、「電話番号」という結果が示されました。

しかし、世界記憶力グランドマスターのケビン・ホースリー氏は、この結果を見て、名前を忘れることが最も多いのは、ただ名前をちゃんと聞いていないだけであることが多いからだといいます。

たとえば、あなたが誰かに出会い、彼が名前を「ジョン」だと言ったとします。しかし、あなたは、名前を聞き流してしまっているために、後から思い出そうとしてもなかなか思い出せないだけなのです。

ケビン・ホースリー氏は、世界でも数少ない記憶力チャンピオンの一人で、3.141592653589793238462643383279502884197169399375105と続く円周率の1万桁分の記憶を含むさまざまな課題が課せられた記憶のエベレストチャレンジを完成させた人物です。

名前を覚えるコツ

私たちの脳は、受け取る情報の90%が視覚的なものです。音よりも画像を記憶として保存する方が多いため、最初に名前を聞いたときに、名前を認識して覚えるのは脳の仕組み的には、難しいといわれています。

そのため、ホースリー氏は、人の名前を記憶したいなら、名前をイメージ(画像)と結びつけることをすすめています。

やり方

最初にすべき大切なことは、集中して人の名前を聞くことです。そして、その後20秒の間、記憶を定着させるために、聞いた名前に意味を持たせてください。

このとき、できれば、面白おかしな画像と名前をつなげるとよいでしょう。

たとえば、ホースリー氏の名前ならホース(馬)にブルース・リー(アクション俳優)が乗っている姿をイメージするといいかもしれません。オールウィッグさんなら、ボートのオール(櫓)がウィッグ(かつら)をかぶっている画像というように。

現実にはあり得ないようなばかばかしいイメージであるほど記憶に残りやすくなります。

私たちの脳は、論理的なことよりも、非論理的でばかげたことを覚える傾向があるからです。

「体」と「車」、「旅」の記憶メソッド

頭の中に、新しい情報についての想像力豊かな絵が描けたら、次の記憶術にステップアップする準備が整いました。次に、ホースリー氏が「ボディ(体)」と「カー(車)」、「ジャーニー(旅)」の3つの方法に分けて呼んでいる記憶のやり方を紹介します。

あなたは、自分の体がどのようなものかや、所有する車の色や形などを正確に知っており、それについて考える必要はありません。それは、それらの情報が、すべて永続的に保存される長期記憶にあるものだからです。

ここで紹介する「体」と「車」、「旅」の記憶術は、長期記憶にある古い知識に新しい情報を刻みつけるための方法で、ここで実際にやるのは、脳内に新しいシナプス結合を作り、新しい情報を覚えやすくしてから長期記憶に変換させることです。

「体」のメソッドを使った記憶方法

それでは実際に、90年代にオスカーを受賞した映画を例に挙げて、「体」のメソッドを使った記憶法をやってみましょう。

新しい情報を、足から順に上に向かって、体の部位に当てはめて記憶を定着していく方法です。

まずは、足から始めてみます

1990年に最優秀賞を受賞した映画は「ダンス ウィズ ウルブス」でした。映画のタイトルをもとに、足に、オオカミの形のスリッパを履き、ダンスをする姿をイメージします。

続いて膝

1991年には「羊たちの沈黙」が受賞。あなたの膝は、恐れで震え上がりガチガチと音を鳴らしています。その音がうるさいので静かにさせるために、羊の形の枕をつかみ、膝に押し付けました。

1992年は、クリント・イーストウッド主演の西部劇「許されざる者」でした。 さて、実際に腰周りにとてもきつく巻きついているベルトをイメージしてください。それは本当に不快で許されざるものです。

このようにして、体の部位を足から上に向かって移動しながら、ユニークな映像と結びつけて記憶を定着していくのです。

もし、車が好きな人なら、上記の「体」を「車」に変えて、同様に関連付けを行いながら記憶するとよいでしょう。

「旅」のメソッドを使った記憶方法

次は、記憶チャンピオンらが実際に使用している「旅」のメソッドを使って、世界の197の首都を覚える方法を紹介します。

まず、あなたの部屋や家へ、心の旅をしてみてください。なじみのある部屋の窓や置物、時計、棚の上などに、それぞれの国の国旗と首都を(頭で)描きます。そして、頭の中で、部屋を歩き、周囲を見渡しながら、首都の名前を思い浮かべます。

部屋にある花瓶や時計などの「器」に、名前や覚えたい情報の「知識」を入れるだけで、これによって、なにかが思い出せなくなったときに、部屋の花瓶や景色を糸口に、イメージを再現して関連性から記憶を引き出すことができます。

この方法は、バカバカしくみえるかもしれませんが、記憶を刷り込むのに高い効果があるため、繰り返し記憶を定着させていくことで、最終的に、わざわざ映像を思い浮かべなくても名前がでてくるようになるでしょう。

記憶は無限にできる

記憶力を改善するには、訓練が必要です。しかし、訓練をすればするほど、より多くのシナプスの接続を構築でき、より簡単に学習できるようになります。つまり、記憶は無限なのです。

かくいう記憶力のチャンピオン、ホースリー氏も、子供時代は、失読症の問題を抱えていました。高校を卒業する頃には、まだ彼の読書スピードは、5歳レベルでした。

しかし、卒業後に、「記憶」に興味を持ち始めて以来、今では、1日に1冊の本を読んで、3つの国の言葉を流暢に話し、「世界記憶力チャンピオン」というタイトルまで獲得しました。

ホースリー氏はいいます。

私は、記憶の旅をしてきました。30年近く学び続けていますが、まだ、日々新しいことを学び、記憶しています。