見た目は卵なのに、殻はなく半透明。今回は、殻だけを溶かして、ぶよぶよのエイリアンのような卵を作る方法を紹介します。
作り方はとても簡単で、卵を酢に浸けるだけ。
たったそれだけで、殻だけが酢に溶けて、両生類や魚類の卵のように光に照らすと黄身が透けて見える「はだかんぼうの卵」ができるんです。
しかも酢に浸けた後の卵は、元の卵よりもサイズが大きくなっています。
さらにこの殻が無くなった卵をシロップにつけると、ふにゃふにゃの卵に変身。
おもしろい!半透明な卵に、ふにゃふにゃの卵?
でもなぜ酢やシロップで卵が変身するの?
たしかに不思議ですよね。
ではさっそく以下に卵を酢につけるとなぜ殻がなくなったり、大きく変化したり、変形したりするのかについて科学的な理由を分かりやす紹介します。
殻の無い卵を作る方法
実験方法は、卵をただ酢に浸けるだけなので、決して難しくはありません。
ただし、この実験には時間がかかります。完成までに2日間は必要です。
まず、卵をコップの中に入れます。
次に、そのコップに、卵が隠れるまで酢を入れます。
あとは、2日間卵の入ったコップを放置するだけ。
毎日数回は、卵がどうなっているか確認してみてください。ただし、見るだけで触らないようにしましょうね。
卵の殻が消えた理由
2日後、卵に殻がなくなってるのに気づきましたか?
では、どうして卵の殻が消えてしまったのでしょうか?
卵の殻は、主に炭酸カルシウムでできています。
酢には、その炭酸カルシウムを溶かす力があります。
それは「酸」と呼ばれるものです。
酢の中に卵を入れると、酢の中の「酸」が卵の殻をゆっくり溶かしていき、最後には殻が全部なくなってしまいます。
実験の様子を観察すると、卵の周りに小さな気泡がたくさんあることに気づきましたか?
これは、お酢が卵の殻を溶かしていく過程でできた二酸化炭素の気泡です。
2日くらい経ってできたぷよぷよの卵は、つまむこともできます。
殻がなくても、膜と呼ばれる薄い覆いがあって、それで卵はまとまっているのです。
ただし、卵には殻がないので破らないように注意してくださいね。
さて、膜の隙間から卵の中身が見えますか?
この卵、他に何か違うところある?
そうなんです。卵が元のサイズより大きくなっていますね。
酢に浸けると卵が大きくなる理由
卵が大きくなった理由は、お酢の中の水分が膜を通して卵の中に流れ込んだからです。
お酢は水分が多いけど、卵はそれほど水分が多くありません。
だから、お酢から卵に水分が移動して、両者がより均等になるようにしたのです。
その結果、卵に水分が入り込んで膨らんだというわけです
殻のない卵をシロップに浸けると変形する
(今回はコーンシロップを使いました)
さて、できたぷよぷよの卵をコーンシロップの中に入れるとどうなると思いますか?
濃厚で甘いコーンシロップを入れると、より多くの水が卵の中に移動すると思いますか、それとも水が卵からコーンシロップの中に流れ出すと思いますか?
試してみましょう。
もう一つのカップにコーンシロップを入れ、割れないように卵をその中に入れます。
そして、もう1日だけ待ってください。
卵をコーンシロップの中に入れてから1日経つと、卵が縮んでいるではありませんか。
なんだか変なエイリアンの卵みたいになってしまいました。
卵が小さくなったのは、コーンシロップには砂糖がたくさん入っていて、卵よりさらに水分が少ないからです。
そこで、水分の多い卵から、水分の少ないコーンシロップに水を移動させ、両者を同じ濃さにしようとしたのです。
卵を酢やシロップに浸ける実験結果
この卵の炭酸カルシウムを溶かした酸は、酢だけでなく、炭酸飲料やジュース、コーヒーなどにも含まれています。