なぜゴキブリは駆除が難しいのか? 驚くべき生命力の秘密とは

2018年5月 9日

家でゴキブリを見たら、おそらく大抵の人は、片っ端から駆除しようとするでしょう。

しかし、どんなに踏みつけても、殺虫剤で攻撃しても、次から次にわくようにあらわれるゴキブリ。それは、まさに終わりの見えない闘いそのものです。

驚いたことに、ゴキブリは、頭がなくてもほぼ1週間は生き抜くことができるくらい生命力が強いといわれています。

手足や触覚が失われても、脱皮のたびに再生させる能力もあります。

まだ恐竜が地球にいない3億年以上も前から生き延びてきた繁殖力の強さにくわえて、不衛生な環境でも生き抜くことができる驚異的な免疫力も備えています。

ここでは、そういったゴキブリのすさまじい生命力の秘密について、生物学や生態学、遺伝学的な調査で分かってきたおもしろい研究結果をもとに分かりやすく紹介します。ゴキブリが出ない家にする簡単な秘訣もあるのでぜひ参考にしてみてください。

あらゆるところに潜むゴキブリ

地球上には、3500種類以上のゴキブリが生息していますが、幸いにも、これらのうち、人間の生活圏に適応できる種(コスモポリタン種)は、30種程度だといわれています。

しかし、残念ながら、この30種のゴキブリたちは、私たちの周りのありとあらゆるところで繁殖し、壁、下水道、そして、おそらくあなたの家の食器棚に隠れています。

ゴキブリは、日本でもアメリカでも、最もよく知られている害虫のひとつ。

この黒光りした嫌われ者たちの中でも最大の大きさを誇るのが、Periplaneta americana(ワモンゴキブリ)。英語名にアメリカ―ナとありますが、実際にはアフリカ出身で、16世紀に船の積み荷と一緒に渡米したものだといわれています。以来、世界中のほとんどの国や地域で繁殖し続けているゴキブリです。

ゴキブリのゲノム(遺伝情報)は最大級

新しい研究によって、このワモンゴキブリが、これまで調査されたどんな昆虫と比べても、最大級の巨大なゲノムを有することが明らかにされました。

ゲノムとは、生殖細胞にある一組の遺伝子や染色体などに含まれる遺伝情報全体を指します。ちなみに、私たち人間は、父親ゆずりと母親ゆずりの二組のゲノムをもっています。

このゲノムが、ワモンゴキブリの場合、最大級で、それが強い生命力に直結しているのです。

まずは、「化学受容器」と呼ばれるものに関連する遺伝子に注目していきます。

ワモンゴキブリは、嗅覚のため嗅受容器が154、味覚のための味受容器が544もあります。

これは、周囲の環境を嗅ぎ分け、味わう能力が、他のどの昆虫より、はるかに優れていることを意味します。

つまり、砂糖やチーズなどの食品だけでなく、ダンボール紙や本、人の爪、くさった肉、血液、排泄物、他の生物には有毒な物でさえ食べることができるのです。共食いだってします。

ぞっとしますが、これが、どのような環境でも、食料を確保して生き残るためにゴキブリが得てきた生命力の秘密です。

驚愕の解毒能力と免疫力をもつ

ゴキブリは、シトクロムP450と呼ばれる代謝酵素をもちます。この酵素は、毒物を分解する役割があり、その代謝能力が高いゴキブリは、有毒な化学物質を分解して無毒化し、自らを安全に保つのに役立てています。

さらに、このゴキブリは有害な微生物や真菌を探し出して殺す超強力な免疫系を持っており、最も不衛生な環境を自分たちにとって5星ホテルのように変えてしまいます。

脅威の再生力をもつ

ゴキブリは、頭がなくてもほぼ一週間生きることができます。

それはただのうわさ話ではなく、本当の話です。

人間のような血管や心臓のポンプ作用はないので、出血はしません。頭を失っても、出血過多で死ぬこともなく、ただ切断面の開口部が閉じられるだけです。

頭は再生することはできませんが、生後2年間は、脱皮するごとに失われた脚や触覚、眼を再生することもできます。

ゴキブリの出ない家にする方法

以上のことから、たしかにゴキブリを殺すのは難しいかもしれませんが、あなたの台所から遠ざける簡単な方法はあります。

ポイントは「清潔」。

ゴキブリは、不衛生な環境を好みます。

卓越した嗅覚は、腐った食品の臭いを敏感に察知するため、食べ物は、必ず密閉容器に保存してください。

ゴミ箱にはフタをして、湿気の多い部屋は乾燥させてください。

そして、壁の穴をふさぎ、未使用の電気コンセントや排水口にプラグを差し込んで、ゴキブリの侵入経路をふさいでください。特にゴキブリは、排水管をつたって、下水道から浴室のシンクに上がることがよくあります。

ゴキブリの出現を完全に排除できるわけではないかもしれませんが、大きな効果が期待できるでしょう。