アメンボはどうやって水の上を歩くのか?

キッズサイエンス

アメンボは、水の表面張力を利用して水の上を歩くことができます。

ただし、表面張力はとてももろいので、体重が軽いだけではすぐに沈んでしまいます。

アメンボのような昆虫が水の上を歩くことができるのは、以下のようにいくつかの要因の組み合わせによるものです。まずは、水の不思議な性質から見ていきましょう。

水の特別な性質

水には変わった性質があります。

水の分子はそれぞれ、周囲のあらゆる方向にある他の水分子と引き合うのです。

詳しくいうと、水分子は、酸素原子に2つの水素原子がひっついています。

酸素原子が、水素原子から電子を引き離すと、酸素の周りに部分的にマイナスの電荷が、水素の周りに部分的にプラスの電荷が生じ、水分子のマイナスの端が別の水分子のプラスの端を磁石のように引き寄せるのです。

しかし、表面にある水の分子の上には空気しかなく、引きつけるべく他の水分子がありません。

すると、表面の分子はより強く内側に引き寄せられます。

この内向きの引力がとてもデリケートな表面張力を生み出しています。

こうして、表面は引き伸ばされた膜のように機能し、その膜の上をアメンボは歩くことができます。

物体の重さが表面張力で支えられるほど軽い

さて、アメンボのような昆虫の質量はとても小さなものです。

そのため、昆虫の脚が、引き伸ばされた水面に及ぼす力は、表面張力よりも小さなものになり、それが水面に浮くのを助けています。

長い脚を広げて力を分散

また、アメンボの脚は、細長く大きく広がっています。

それでなくても軽い体重が、広い表面積に分散されるため、脚は沈むことはなく、水膜に小さなくぼみを作るだけなのです。

体表の毛と油の役割

アメンボの脚の表面には、水をはじき、空気を取り込む毛が何千本も生えています。

体から分泌される油が、水分子と脚の間の水素結合の形成を妨ぐことによって水をはじく役割を果たします。

つまり、水をはじくことで水面に立ち、空気を取り込むことで浮くことができるのです。

ただし、これらの油は、(水にも油にもなじみやすい界面活性剤のような物質を含む)工業排水が流れ込んだ水ではうまく機能しません。

そのため、水の上での生活に適応したアメンボは、きれいで流れのおだやかな水でしか生育できないのです。

これが、アメンボが水の上を歩くことができる理由です。

参照元:why do some insects walk on water?