相撲の力士は太っているのに「健康だ」と科学者たちがいう理由

2019年8月 5日

相撲の力士は、一日に7,000kcalをも摂取するといわれています。そして、彼らの体重は、なんと140kgから200kgにも及びます。それは、平均的な成人の2、3人分に相当するものです。

これらのカロリーや体重の数値だけを見ると、決して健康的だとはいえないかもしれません。

しかし、力士は、それでも心臓発作や脳卒中、または、その他の肥満によって引き起こされる症状に悩むことがないのはなぜなのでしょうか?

ここでは、力士のお腹のCTスキャンによって明かされたおもしろい真実や内臓脂肪と皮下脂肪、運動の関係などを分かりやすく紹介します。

力士は肥満体質の人とは異なる

相撲の力士を、あの大きな見た目だけで判断してはいけません。

重要なのは、その200kgもの体重の内容、つまり、体の状態なのです。

一般的な肥満体質の人は、余分な脂肪の一部で、膵臓や肝臓といったお腹の奥深くの重要な臓器を包み込むようにして脂肪を蓄えています。

これが「内臓脂肪」と呼ばれるもので、蓄積した脂肪細胞の分子は血液を汚染して炎症を引き起こすことで、高血圧や2型糖尿病、心臓発作、臓器機能の障害といった健康問題に影響を及ぼす可能性があります。

しかし、それなら力士たちが、これらの症状に悩まされる傾向が低いのはなぜでしょうか。

力士のお腹の中はどうなっているのか?

お腹のCT映像によると、大相撲力士の内臓脂肪はそれほど多くはありません。

代わりに力士は、彼らの脂肪のほとんどを、皮膚のすぐ下にある皮下組織に蓄積しています。

科学者たちが、力士が健康だという理由はズバリそこにあります。

検査において彼らは、血液中の脂肪の一種、トリグリセリド(中性脂肪)値が正常なうえ、コレステロール値に関しては、予想外に低いレベルだったのです。

これらの結果はどちらとも、心臓病や心臓発作、そして、脳卒中などのリスクが低いことを意味します。

力士の内臓脂肪が少ないのは運動によるもの

実のところ、あれほどまでに太っている力士が健康的である秘密は、彼らの名前に隠されています。英語名で、力士は「スモウレスラ―」、つまり「相撲レスリングの競技者」を意味します。

いくつかの研究で、定期的に行われる(習慣的)激しい運動やそれに伴う筋骨のたくましさは、代謝の問題や心血管疾患の原因となる内臓脂肪の蓄積を防ぐことが科学的に解明されています。

基本的に、それは、アディポネクチンと呼ばれる脂肪細胞から分泌されるホルモンを増加させる運動のやり方と関係があります

アディポネクチンは、グルコースや脂肪分子を血流の外へ導き、内臓脂肪として取り込む代わりに皮膚の下に蓄えようとするホルモンです。

ご存知のとおり、相撲力士の運動量は大きく、彼らのトレーニングは午前5時という早い時間から始まって、最長5時間継続することもあるほど。

それは、私たちがジムやフィットネスで行う身体運動とは比べ物にならないレベルで、たとえば、特にハードな運動とされるぶつかり稽古では、押し手は腰を落としたままの状態で受け手を押し続ける動作を、疲れ果てて床に倒れるまで行います。

受け手のなかには、攻め手に頭を押さえつけられて何度も転がされる人もいるほどです。

しかし、運動をしなくなると、残念ながらそれらの力士ならではの利点もなくなってしまいます。

引退後の力士が短命な理由

力士たちが引退すると、真剣にカロリーをカットする必要に迫られます。さもなくば、心血管疾患の危険性が高まるからです。

それは、引退後の食生活や運動への配慮が足りなかった力士が、平均的な日本人よりも推定10歳若く死亡するといわれる理由を説明しています。

ゆえに、一日7000kcalも好きなだけ食べられるなんてある意味魅力的に感じますが、あなたが相撲力士でない限り、試みるのはあまり賢いとはいえないようです。

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