ダ・ヴィンチが考えた「クギを使わずに即席で建てられる橋」

建築・構造

これは、多才な天才レオナルド・ダ・ヴィンチが軍隊の移動のために設計した自立型の橋です。

短時間で組み立てられるうえ、クギや接着剤を使う必要はなく、橋にかかる重量が増すほど強度が増します。

さらに驚くべきことに、1本の棒を抜くだけで橋は見事に崩れ、追ってきた敵の足止めをすることもできます。

一体、橋の仕組みはどうなっているのでしょうか?

もし、2本の木の上に2本の棒を乗せただけでは、棒が固定できずにすぐに崩れてしまいますね。

ここで力学という魔法の登場です。

両側から2本ずつ棒を間に足すだけで、恒久的な接合部はなくても棒は固定されます。

これを繰り返すことで、ダ・ヴィンチ橋の完成です。

以下にこのダ・ヴィンチ橋が重量を支えることができる理由についてみてみましょう。

ダ・ヴィンチ橋の仕組み

ダ・ヴィンチ橋は、上から力がかかると三角の隙間ができて茶色の部分が緩むように見えるかもしれません。

実際には、緑色の部分が下の茶色の木に力を伝達します。

これにより、側面の緑色の部分が押し下げられ、中央の茶色の丸太との摩擦による固定力が増幅されます。

この効果は、力を加えた場所で発生し、加える力が大きければ大きいほど、摩擦による固定力は強くなります。

ダ・ヴィンチの橋は1ピースを失うと崩壊する

ダ・ヴィンチの設計は純粋に天才的です。

橋を長くしたい場合は、同じ組み立てプロセスを続けるだけでいいのです。

このプロセスを研究室で再現しようとすると、わずか10分未満で橋を組み立てることができました。

この橋には、釘や接着剤は使われておらず、摩擦によって連結されているだけです。

では、この橋から1つの棒を取り外すと、何が起こるでしょうか。

橋は一瞬にして崩壊します。

この実験は、ダヴィンチ橋のすべての要素が、同じように橋を強く保つために役割を果たしていることを証明しています。

過剰な設計はありません。

ここで興味深い質問があります。ダヴィンチの橋をさらに組み立て続けるとどうなるのでしょうか。

ダ・ヴィンチ設計の橋は円になる

ダ・ヴィンチ設計の橋は、繰り返すと完全な円が形成されます。

これは自立型の円です。大きな力を加えても何も起こりません。

しかし、組み立てに使われた棒を1つ取り除くだけで、円は完全に一瞬にして崩壊します。

では、昔、兵士がどのようにこの橋を組み立てたかを見てみましょう。

橋の組み立て方

組み立て中、橋には柱とそれを支える兵士が必要です。

組み立てが完了すると、兵士は支えを取り除き、橋は自立します。

しかし、陸地でたてた橋を川まで移動させようとした際に、1本でも棒がはずれると橋は壊れてしまいます。

そこで、考えられた解決策は、ロープで接合部を固定することでした。

結んだら、兵士は橋を持ち上げて傾け、川に移動できますね。そして、川に着くとロープをはずせばいいだけです。

橋のメリット

この橋の最大のメリットは、組み立てが簡単なだけでなく、橋をしばらく使用した後、素早く解体できることです。

兵士が敵が近づいているという知らせを受けた場合、1つのピースを引き抜くだけで、1分以内に橋が破壊されます。

では、組み立てが簡単で頑丈であるにもかかわらず、ダヴィンチの自立型橋が今日使用されていないのはなぜなのでしょうか。

橋の問題点

ダヴィンチの橋の主な問題点は架けられる距離が限られていることです。

長い距離にわたって橋をかけたい場合、円になってしまうのです。

橋を延長する唯一の方法は、個々のピースを長くして基本的に橋全体をスケールアップすることですが、そうなると橋がとてつもなく高くなってしまいます。

残念ながら、そうなると急斜面を渡れる人はいなくなってしまうでしょう。

ぜひみなさんには、このダヴィンチのこの素晴らしい橋の技術を応用して、なんとか実用できるようなアイデアを考えてみてほしいです。

ダ・ヴィンチの設計した橋の仕組みについては以下の動画で見ることが出来ます。

The MAGIC behind Da Vinci’s Self Supporting Bridge!