そもそもピサの斜塔はいつから、なぜ傾いているのでしょうか?
毎年何百万人もの観光客が、有名な「ピサの斜塔」を見るためにイタリアのピサ市を訪れています。
斜めに傾いているにもかかわらず、この塔は850年近く立っており、すぐに倒れる気配はないようです。
実際には、傾いたまま倒れずにいるのはエンジニアたちの努力によるものです。
以下に、ピサの斜塔が傾いた理由や、なぜ倒れずに傾いたまま建ち続けているのかなどを紹介します。
ピサの斜塔は、「世界一傾いた建築物」としてギネスブックに2009年まで認定されていました。
2009年には、ドイツのズールフーゼンの斜塔(15世紀建造)が、そして、2010年からはアブダビの人為的に傾斜設計されたキャピタルゲートビルがギネスに登録されています。
ピサ大聖堂の鐘楼「ピサの斜塔」はいつから傾いているのか?
ピサの斜塔は、ピサ大聖堂に付随する独立した鐘楼として設計され、もともとまっすぐに立つことを意図したものでした。
建設は1173年に始まりましたが、2階を増築する頃には基礎が沈み始め、すでに塔は傾き始めていたのです。
塔が傾いた理由
塔の片側が沈むと、建設者たちは低い側の柱を高くすることでそれを補い、塔がまっすぐに見えるようにしました。
しかし、残念なことに、余分な柱に足された重量は塔をより傾けるだけでした。
すぐに、塔の傾きは、柱の長さで解決できるほど小さな問題ではないことが明らかになり、建築家たちが解決策を探す間、工事はわずか5年で中止されます。
その間にピサ共和国はジェノヴァ共和国と戦争になり、1世紀もの間、塔は放棄されたままでした。
工事が再開されたのは、着工から100年近く経った1272年のこと。
そのころには、塔の下の地盤が以前よりも落ち着き、塔の重量を支えやすくなっていました。
工事はさらに6年間続けられましたが、塔が南側に傾き続けることが分かってきました。
各階の高さは、最上階が平らになるように先細りになっていきます。
そして、7階建てまで完成すると、建設は再び中断されたのです。
そして1372年になってから、南側の傾きとのバランスを取るために北側に角度をつけた8階建てが追加され、塔は完成。
塔はどれくらい傾いているのか?
実質的な工事期間は20年間ほどでしたが、何度も中断を繰り返したため、塔が完成するまでには、着工から200年近くかかったことになります。
完成した塔の高さは、一番高いところで57メートル(186フィート)近く、反対側は1メートル(3フィート)ほど低くなりました。
螺旋階段は2つあり、1つは294段、もう1つは高さの違いを補うために296段となっています。
何年もの間、塔は大きく傾き続け、倒壊の危機にさらされてきました。
多くの人々が塔の倒壊を食い止めようとしましたが、毎年多くの人々が斜塔の見学に訪れるため、塔をまっすぐにすることはしませんでした。
塔の倒壊を防ぐための取り組み
1990年、技術者たちが塔を安定させようと改修工事をする間、塔は10年以上にわたって閉鎖されました。
まず、北川(沈んだ側の反対)に800トンを超える鉛の重りを追加し、ケーブルで塔を固定し、
重量を少しでも軽くするために8階から鐘を取り外しました。
そして最後に、北側の土をゆっくりと慎重に取り除き、塔が安全な程度にまっすぐになるようにすることに。
この方法によって、傾きは45センチ(18インチ)以上小さくなりました。角度でいうと、5.5度近く傾いていたものが、3.97ド程度まで抑えられました。
この角度は、観光客が気づくほどではありませんが、塔が歴史上初めてずれるのを止めたのには十分でした。
エンジニアたちは、少なくとも200年は安定し続けるだろうと考えています。
今日、鐘楼の鐘は交換され、人々は再び頂上への階段を登れるようになりました。
みなさんも次にピサの斜塔を訪れたときには、この景色を堪能してみてください。