マンモスなどの絶滅種を復活させようとする科学者たち

2018年7月 6日

映画「ジュラシック・パーク」を見ると、ティラノザウルスを間近で見れたらすごいぞとワクワクする反面、「もし、本当に恐竜が復活してしまったら」と恐怖で眠れなかった人もいるかもしれません。

しかし、幸いなことに、恐竜の復活を心配する必要はなさそうです。

絶滅種の復活に不可欠だといわれているDNAは、年月が経つと損なわれていくので、まず8000万年もの時を超えて存在し続けることはできません。

恐竜が絶滅したのが約6600万年前だとすると、もはや恐竜を復活させることは不可能でしょう。しかし、多くの科学者たちが、絶滅した生物をいくつか復活させようとしているのは確かで、絶滅種の復活はいずれ可能になると確信しています。

実際に、2003年には、わずか10分の命ではありましたが、絶滅した野生のヤギ、ピレネーアイベックス(ブカルド)の凍結された皮膚細胞から、クローン技術で初の絶滅種再生に成功しています。

また、かつて5000万人以上もの死者を出したスペイン風邪のウィルスも、解読された遺伝子情報からよみがえらせているのです。

ここでは、既に絶滅している生き物を再びよみがえらせようとしている興味深い研究について分かりやすく紹介します。

もちろん、これらの研究に、巨額の資金を投入して、絶滅危惧種を復活させるべきかについては、議論の余地が十分にありそうです。

ジュラシックパークで恐竜を復活させた蚊の話

元米海軍の昆虫学者で、現在は米国蚊防除協会で働くジョー・コンロン氏は、映画「ジュラシック・パーク」には、はっきりとした間違いがあるといいます。

映画では、リチャード・アッテンボロー卿が使っていた杖の琥珀の中に化石のまま閉じ込められていた蚊の腸から恐竜の血液を採取します。

のちに、その血液のDNAから作られた恐竜のクローンは、多くの登場人物を殺傷する恐ろしい生物となるわけですが、その蚊に問題があったのです。

コンロン氏は、映画に登場する蚊は、確かに恐竜がいた1億7000万年前に実在していましたが、血を吸わないまれな種の蚊だったのです。

よりによって映画に使った蚊が、唯一血を吸わない種の蚊だったなんて、製作者側からするとあまりにも残念な話ですね。ひょっとすると、製作者からの遊び心あるひっかけ問題かもしれません。

しかし、絶滅種の復活は、映画の話にとどまらず、現実になりつつあります。

絶滅種をよみがえらせる研究

はるか昔、地球には、毛深いマンモスや犬歯の鋭いサーベルタイガー(剣歯虎)などとてもかっこいい巨大生物が存在していましたが、それらは絶滅して今では見ることはできません。

色鮮やかなカロライナインコも、その美しい羽毛がゆえにハンター達に狙われて100年前に絶滅し、愛らしい姿は見られなくなりました。

しかし、これらの絶滅したはずの生き物が科学技術によって復活する可能性があるというのです。もちろん、復活させるべきかどうかは、議論の余地がありますが。

ただし、クローンの作成には、劣化や損傷のない遺伝物質が不可欠だといわれています。
そのため、残念ながら、ジュラシックパークに登場するような恐竜は、DNA自体が時間の経過とともに変質し、長持ちしないために対象から外れます。

けれども、乱獲によって20世紀初めに絶滅したリョコウバトのように、絶滅からそれほど年数が経過していない生き物は再生が可能です。

とはいえ、絶滅した生き物を再生するには、ある程度の遺伝物質が必要となるため、下記で示すリョウバトのように、オリジナルなクローンよりも、ハイブリット(異種のものを組み合わせた交配種)に近いものとなる可能性はあります。

絶滅種リョコウバトの再生と復活

科学者は、博物館にあるリョコウバトから完全なゲノム(遺伝情報)を取り出すことができなかったため、それに非常に近い遺伝子をもつオビオバトを使う必要がありました。

簡単にいえば、オビオバトのゲノムを変更(遺伝子を操作)して、リョウバトに似た特質をもつ鳥を作成しようと考えたのです。

すなわち、ほとんどがオビオバトで少しだけリョコウバトであるゲノムを作り、それが組み込まれた細胞の胚を成長させて、最終的に、本物のリョコウバトのDNAではないけれど可能な限り近いハトにいきつかせるという試みです。

これを応用すると、理論上では、フサフサの毛をしたマンモスのような絶滅種もよみがえらせられることにつながりますが、それを実現するには、間違いなく道徳的な問題が生じるでしょう。

絶滅危惧種が復活したときの問題

たとえば、絶滅種をよみがえらせることができた場合、彼らがもともと住んでいた場所に住まわせるべきなのでしょうか。

復活したとしても、もはや彼らに適した生息地はなくなっている可能性もあります。

リョコウバトが故郷と呼んでいた場所は、今やビルや高速道路に取って変わっているでしょう。

さらに、絶滅した生き物を復活させることは、今絶滅が危惧されている生き物に集中すべき資源や時間、人々の注意を遠ざけてしまう可能性もあります。

しかし、最も考えるべきなのは、復活したハイブリットたちの暮らしです。完全にレプリカとはいえない彼らを、私たちは何と呼び、どう位置づけていくのでしょうか。

実のところ、彼らは、本当に昔のように行動するのでしょうか?意に反して、他の生物をおびやかす存在になって生態系を壊す可能性すらあります。

結論

絶滅種の復活が実現すれば、憧れのマンモスや迫力満点のサーベルタイガーを目近で見ることができるかもしれません。それは本当に夢のような話です。

しかし、何十年、何百年もこの世にいなかった生き物が、私たちを含め、この地上の生き物とうまく共存できることを確信している人はおそらくいないでしょう。

科学技術は発達し、もはや絶滅種の復活を夢見る時代は終わり、現実的な問題として迫っています。多くの科学者たちがその実現を願い、進歩しつづける科学技術に巨額の資金が投資されようとしているのです。

私たちは、今一度、絶滅種の復活に対して、考えるべきときを迎えています。

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その他の参照元:
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2,Resurrection Biology: How to Bring Animals Back From Extinction