毒クラゲの中でも特に毒性が強いといわれる「ハコクラゲ」。
危険なのは、ハコクラゲが一般的なクラゲのように海をただ漂うわけではないこと。
なんと、彼らは自らが意図的に泳ぎ、実際に目も見えているといわれています。
そこで今回は、不幸にもハコクラゲに遭遇したらどうすべきかについて、この種の毒クラゲに刺された時の対処法など、知っておきたい海のサバイバルテクニックを紹介します。
近年では、海の環境の変化によって生育域を広げているので、日本でも沖縄県で毎年被害が出ています。
刺されたら強烈な痛みが襲い、複数回刺されると、アナフィラキシーショックを引き起こしたり、命を落としたりすることもあるほど危険な生物です。
ハコクラゲは、その名の通り傘が箱のような形をした美しい生き物。
海水浴場でよく見られるアンドンクラゲもこの箱虫綱の一種で、大型なものでは「キロネックス」などがあります。
しかし、クラゲのイメージを覆す遊泳力と速度の持ち主。
つまり、見つかると追いかけられる可能性があるのです。特に繁殖期には群れで行動することもあるので出会わないことを祈るのみ。
それでは、ハコクラゲに襲われやすい場所は、どのような所なのでしょうか?
襲われた場合は俗説通り、患部におしっこをかけるべきなのでしょうか?
ハコクラゲを見たら「即逃げる」
(クラゲの眼)
ハコクラゲを見たら、まずは岸に向いて泳ぐか、できる限り遠くまで泳いで逃げてください。
ハコクラゲには眼があり、意図的にあなたを追いかけて泳ぐことができるからです。
泳いでいるうちに刺されてしまうと、岸に辿り着く前に溺れてしまう危険性があります。
実際にタイの海水浴場で行われた調査では、15件のクラゲに刺された事件のうち、6件が死につながるものでした。
ハコクラゲに刺されたらすぐに処置が必要
(写真は、クラゲの触手が伸びる様子)
ハコクラゲは、何千もの刺細胞をもつ触手を伸ばしてあなたに触れ、時速60kmの速度で毒針を刺します。
刺されたら痛みは感じますが、多くの場合、何に刺されたかが分からないことも多く、混乱していると、3分以内には致命的な毒性によって命を落とす危険性があります。
心臓の鼓動は、体が許容できないほど速くなり、筋肉は痙攣(けいれん)を起こして、ひどい倦怠感に襲われます。
目の前が真っ暗になり、肺は焼け付くように熱く、呼吸困難からパニック症状に陥ることもあるといわれています。
クラゲの触手を取り除く方法
(クラゲの毒が血液に入り込む様子)
肌に残った触手を放置したままでは、刺胞が活性化してさらに刺されたり、血液に毒が入り込んだりします。
そのため、素手ではなく、ピンセットやクレジットカードなどを利用して注意して触手を抜くようにしましょう。
刺胞を刺激しないように、酢で洗う
ハコクラゲに刺されたら、決して真水で洗わないでください。
真水では、かえって刺胞を刺激してしまい、さらに毒が放出されて痛みが増したり、傷跡がひどくなったりします。
ハコクラゲの場合、酢で洗いましょう。酢の成分が、刺胞の活性化を抑え、痛みを和らげる効果があるといわれています。
おしっこはかけない
昔から「クラゲに刺されたらおしっこをかけろ」といわれることがよくありますが、実際には何も効果はなく、不快なだけなのでやめましょう。
湯をかけて温める
オーストラリアで、ハコクラゲに少年が刺された事件では、ライフセーバーが素早く酢をかけた後、近くの病院で湯をかけて刺し傷を温めたところ、数時間で痛みが和らぎました。
クラゲのタンパク質毒素は熱に弱いで、火傷をしない程度の湯をかける応急処置は有効です。
ハコクラゲの目撃情報を把握しておく
海水浴場に行くときは、現地の箱クラゲの目撃情報を把握しておくとよいでしょう。
コクラゲは、岸辺の子供が立てるくらい浅いところで見かけられることも多く、岸から数百メートル離れたところでもダイバーに発見されています。
世界でクラゲに遭遇する確率は増加している
今日、多くの生物が絶滅の危機にさらされている一方で、生育域を拡大し、大量発生しているのが繁殖力の強いクラゲ。
彼らは、海水温が上昇して、酸素量が減少した海でも簡単に適応し、生育数をますます増やしているのです。
さらに追い打ちをかけるように。カメや魚類などのクラゲの捕食者は、どんどん数を減らしています。
これは、ビーチや海水浴場で、クラゲの大量発生と出会う危険性が高まっていることを意味します。
ぜひ、上記を頭の片隅に置き、クラゲに遭遇してしまった時に身を守るために役立ててください。