実は、チョコレートは木の実からつくられています。
主原料は、限られた地域にしか生育できないカカオの木からなる「豆」です。
でもただの豆ではありません。
木の幹に直接咲くという不思議な花からなる特別な豆。
以下に、原料となる豆がカカオの木にどのように実り、私たちが食べるチョコレートになるまでにどんな工程や苦労があるのかを紹介します。
限られた地域でしか栽培できないカカオ
カカオの木は、熱と水をたくさん必要とするため、栽培できる地域は限られています。
ほとんどのカカオの木は、世界のちょうど真ん中あたりにある、暖かく湿った熱帯雨林で育ちます。
しかも、熱をたくさん必要とする一方で、明るい太陽の下ではうまく育ちません。
そのため、カカオの木はあまり高くならず、その代わりに、地面に近いところの、高い木がつくる木陰で育つのです。
木の幹に直接花が咲く「幹生花(かんせいか)」
多くの木と同じように、カカオの木も花を咲かせます。
花は白色ですが、不思議な事に、木の主要な部分に沿って、つまり樹皮からまっすぐ伸びていくのです。
カカオのように、枝ではなく幹に直接花を咲かせる花を「幹生花(かんせいか)」といい、幹からなる実は「幹生果(かんせいか)」と呼ばれます。
この花の一部がやがて大きなサヤ(種子を包む殻)になります。
サヤができるまでは1年の半分、丸々6ヶ月はかかるのです。
カカオのサヤが熟すと、農家は、鋭いナイフで木から切り取ります。
そして、サヤを開けると、こんな感じ。豆があるのがわかりますか?
1つのサヤにはカカオ豆が50粒ほどと、果肉と呼ばれる白いものがたくさん入っています。
サヤの中の豆と果肉をすくい取り、すくい取ったものを大きな木箱に入れて、1週間ほど放置します。
その間に白い果肉は液体になり、カカオ豆だけが残ります。そして、カカオ豆は太陽の下できれいに乾燥されます。
このカカオ豆は、お店で売っているチョコレートのような茶色をしていますが、味は全く違います。
収穫したカカオ豆の味はかなり苦く、この豆を私たちが食べられるようなおいしいお菓子にするためには、チョコレート工場でいくつかの作業が必要となります。
カカオの実がチョコレートになるまでの工程
工場では、まず大きなオーブンで豆をローストします。
カカオ豆を焙煎すると、このように黒っぽくなります。
次に、カカオ豆の外側の固い部分を取り除き、中身の柔らかい部分を残します。
そして、中身をつぶして、薄いペースト状にします。
このペーストを使って、いろいろなものができるのです。
チョコレート工場では、このペーストに砂糖や牛乳などを混ぜて、チョコレートバーを作ります。
そして、長い時間かき混ぜて、型に流し込みます。型は、チョコレートバーの形に特別に作られた容器のようなものです。
しばらく冷やすと、チョコレートは液体ではなく固体になります。
そして、型から出して、包装して、お店に送り、私たちの手に届くわけです。
いかがでしたか?
カカオの木からお店まで、一粒のチョコレートにはたくさんの手間がかかっているんですね。
でも、おいしいチョコレートには、それだけの価値があると思いませんか。