そもそも「滑る・滑らない」って何でしょうか?そこに働く摩擦力の仕組みをもとに科学的に分かりやすく紹介します。
夏にプールのウォータースライダ―で遊んだことはありますか?
スプリンクラーからの滑り台に水を吹きかけ、勢いよく滑る爽快な遊具。
このような楽しい体験ができるのは「滑りやすい」原因を何かが引き起こしているからです。
さっそく以下に、滑る・滑らないを引き起こす摩擦の仕組みについてみていきましょう。
「滑る」2つの表面が触れ合ったときに起こること
まず、ウォータースライダーを滑るために必要なものを考えてみましょう。
長いプラスチックの滑り台、水、そして、あなたが必要です。
何らかの形でプラスチックと水、そして、あなたは滑りやすさを作り出すために一緒に働きます。
滑りやすいかどうかは、触ってみないとわからないですよね?
たとえば、濡れた石けんは、手に取らないと滑り落ちません。
それと同じで、ウォータースライダーもあなたが乗らないと滑りません。
つまり、滑るというのは、2つのものが触れ合ったときに起こるのです。
そして、2つのものが触れ合うと、互いの表面がこすれ合います。
濡れた石鹸を手に当てたり、ウォータースライダーで体を滑らせたりするように、物体が互いに滑りやすい状態になることもあります。
しかし、そうでない場合もあります。時には、接触している2つのものが互いに滑らないようにすることがあるのです。
「滑らない」とき、2つの表面に働く摩擦力
滑らないものにはどのようなものがあるか考えてみましょう。
たとえば、スロープ。私たちは滑ることなくスロープを上ることができます。
そして、私はイスから落ちることなく、イスに座ることができます。
これらのものが滑らないのはなぜでしょう?
それは、イスと私の間に働く「摩擦力」のおかげです。
摩擦が大きければ大きいほど、その2つの面を互いに移動させるのは難しくなります。
例えば、テーブルの上に本を置いて、その本を押してみるとどうでしょう。
スーと動きますね?
同じ本を外に持ち出して、歩道で押したらどうでしょう?
同じように簡単に動くでしょうか?
おそらく無理でしょう。
摩擦力は2つの接する面の状態によって変わる
なぜなら、石でできたコンクリートの表面はテーブルの上よりでこぼこしているからです。
その粗い表面の上で本を動かすには、細かな山と谷を何度ものりこえさせねばならなくなり、それがより多くの摩擦力を生み出すのです。
つまり、2つの表面の間にどれだけの摩擦があるかは、その表面がどのようなものであるかによって決まるのです。
なめらかな面の方が摩擦が少なく滑りやすい
もうひとつ例を挙げましょう。歩いているときを考えてみてください。
通常、道を歩いていてあちこち滑ることはありません。
それは、靴の底と歩道の間にたくさんの摩擦があるからです。
その摩擦のおかげで、滑って転ぶことはないのです。
でも、凍った道路の上を歩くとどうでしょう。すごく滑りやすくなりますよね。
それは、氷の表面がとてもなめらかで、通常の乾いた舗道よりも摩擦が少ないからです。
では、このことは何を意味するのでしょうか?
それは、摩擦が少ない方が滑りやすいということです。
先程の本も、スケートリンクのようなツルツルの表面ならわずかな力で簡単に動かすことができますね。
それは、ウォータースライダーがどのように機能するかを理解するのに役立ちます。
ウォータースライダーはなぜ滑りやすいのか
もし、水がない状態で滑り台を降りようとしたら、どうなると思いますか?
また、芝生の上にプラスチックの台はなくて水だけがありその上を滑ろうとしたらどうなるでしょうか?
どちらとも滑ることはできませんね。
プラスチックの台は、芝生よりもなめらかな表面になっているため、より滑りやすくすることができるのです。
でも、ただのプラスチックの上に身を投げ出しても、平らな面を滑ろうとしてもなかなかうまく滑れませんよね
その秘密は水なんです。
水は2つの面に膜をつくって摩擦を少なくする
水のおかげで摩擦が少なくなるのです。
水は、接触している2つの表面の間、つまりプラスチックとあなたの間に入り込み、滑りやすい層を作るので、あなたは滑り台を一気に滑り降りれるというわけです。
また、ウォータースライダーの場合、滑り台のような傾斜も、平面に比べて摩擦力を小さくする手助けとなっています。
摩擦力の仕組み
私たちの周りでは、あらゆる場所で摩擦が起こっています。
工夫すれば家でも摩擦の実験を試すこともできます。
木やタイルなどのつるつるした床をスニーカーで歩くと、滑らないことにお気づきでしょうか。
でも、靴下だけだと、滑りやすくなります。
もうなぜだかわかりますね。
テーブルの上で本を動かした後、コンクリートやバスタオルの上、金属製の天板の上など他の表面でも試してみてください。
本を重くしたり、大きな本に変えてみたりするとどうなるでしょう。
摩擦力の新たな発見ができると思います。
どんどん実験して、新しい発見をしてみてください。