世界で最も降水量の少ない乾燥地域「アタカマ砂漠」では、40年にわたって雨が降らないこともあります。
このような灼熱の砂漠地帯で暮らす植物や動物、そして人間は、水が少ない環境に対応して生きていくために、特別な生存戦略を身につけてきました。
以下に、砂漠に生きる動植物や人間が身に着けた驚きの方法を紹介します。
乾燥した極限の自然環境「砂漠」
砂漠はただ乾燥しているだけではありません。
一年中、昼間は真夏のような暑さである一方で、夜にはかなり寒くなり、1日の温度差が30℃以上になることもこともあります。
砂漠には、日陰を作ってくれる大きな葉っぱの植物や、夜に熱を逃がさないように覆ってくれる毛布のような物もありません。
さらに、暑い地域をさすばかりではなく、世界最大の砂漠「南極大陸」のように、一年中凍えるような寒さの砂漠もあります。
そもそも砂漠には、温度ではなく、雨の量や水の蒸発量などをもとにした定義があり、私たちがイメージするような砂丘の他にも、岩石や土、れき、塩水域などが含まれています。
それらを踏まえて考えれば、温度が低く、海水と氷だけで極端に乾燥している南極が世界最大の砂漠となり、二位が北極、それにサハラ砂漠が続きます。
寒いというと、雪を想像するかもしれませんが、どんなに気温が下がっても砂漠ではほとんど雪は降りません。
暑かろうが寒かろうが、砂漠に住む動植物は皆、水のない極限の環境で生きていくために、以下のようなさまざまな工夫をしているのです。
サボテンの生存戦略
砂漠での生活で最も大変なことは、水が少ないことです。
そのような過酷な環境で、植物や動物が十分な水を確保するためにできることは何だと思いますか?
たとえば、砂漠に生息するサボテンは、太い茎や果肉に長い間水を蓄えることができます。
それはまるで体の中に水筒があるようなイメージで、雨が降るとサボテンはたくさんの水を吸って、次の雨までためておくことができるのです。
フンで水分補給をするノウサギ
アメリカやメキシコの暑い砂漠にすむジャックラビットと呼ばれるノウサギは、少しでも多くの水分を得るために、ちょっと面白いことをします。
フンを食べるのです。
植物から水分を得られにくいときなどは、フンに残っている水分で補充するのです。
さらに、砂漠の暑さに対応するための工夫はまだあります。
ジャックラビットの耳は大きく、熱を発散しやすくなっているのです。
また、一番暑い日中はあまり行動しないで草のしげみで寝て過ごし、主に早朝と夕方のように太陽がそれほど高くなく少し涼しい時間帯や夜に活動します。
砂漠に適したライフスタイル「薄明薄暮性」
長い間砂漠に住んできた人間も、そこで生き残るためにいろいろな方法を考えてきました。
彼らは、熱を逃がすための風通しのよい、ゆったりとした特別な服を着ています。
また、ジャックラビットと同じように、暑い日差しを避けて、早起きをして太陽が低い時間帯にしか外出しない人もいます。
日中の一番暑い時間帯は陰で休み、日が沈む夕方頃にまた活動をはじめるのです。
他にもコヨーテやフクロウ、ヤマアラシなど、砂漠に住む動物には明け方と夕暮れの時間帯に活動する動物がたくさんいます。
このように日の出と日の入りに最も活動的な動物を、昼行性、夜行性に対して「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」と呼びます。
この薄明薄暮性というのは、砂漠に住む動物や人々にとって適したライフスタイルなのです。
砂漠で暮らす人々や動物、植物に共通する点は、どんな生き方を選んでも、かなりタフでなければならないことす。