実のところ、大人のネコは、発情期などをのぞき、人間にしか鳴かないといわれています。
不思議だと思いませんか?
本当にネコ同士で、または他の動物に向かって鳴くことはないのでしょうか?
今回は、ネコの鳴き声が人間のためだけにあるといわれる理由や鳴き声の原因について研究で少しずつ分かってきたことを紹介します。
どうやら大人の猫が人間にだけニャーと鳴くのは、進化における正当な理由があるようです。
大人のネコが人間にだけ鳴く理由
ネコはペット化されるにつれて、私たちの注意を引くことを覚えたのかもしれません。
自然界では、トラのようなネコ科の子供はみんな母親に向かってニャーと鳴きます。
しかし、母親が聞いてくれなくなると、高いうめき声(groan)や低いうなり声(grunt、growl)、威嚇するようなうなり声(snarl)、わめき声(roar)というように、他の音に移っていきます。
一方で、ペット化されたネコは、慕っている「お母さん」のような飼い主のもとを離れないので、子猫の鳴き声は大人になってもずっと続くようです。
鳴き声は、ネコが人とコミュニケーションをとるための手段
ネコが「ニャー」と鳴くのは、挨拶をするとき、物を頼むとき、何か問題があるときに私たちに伝えるときなど、さまざまな理由があります。
興味深いことに、子ネコは寒さや空腹を母親に知らせるために鳴きますが、少し大きくなると発情期など以外では他のネコには鳴かなくなります。
しかし、人に対しては、生涯にわたってニャーと鳴き続けるのです。
これは、ニャーと鳴くことで人が自分の思い通りになるからだろうと考えられています。
ただし、ネコ同士がニャーと鳴かないからといって、コミュニケーションを取らないわけではありません。
ネコ同士ではネコ語で意思疎通する
ネコの言葉は主に匂い、次に顔の表情、複雑なボディランゲージ、そして触覚で語られます。
実際に、人間と離れて暮らしている大人の猫は、お互いに明確なコミュニケーションをとっているようです。
一方で、ペットのネコは飼い主に依存しています。
ネコが人間にだけニャーと鳴くのは、こういった匂いのメッセージやボディランゲージのような「ネコ語」が人間には通用しないことをすぐに学ぶからだと考えられています。
どうやら「ニャー」という鳴き声は、「人間」に伝えるための第二の言語として発展してきたようです。
ネコの鳴き声の理由
ネコがニャーと鳴く理由としては、以下のようなものがあります。
人を迎えるため
あなたが帰宅したとき、家の中であなたに会ったとき、あなたが話しかけたときなどに、ネコがニャーと鳴くことがあります。
基本的に、短い「ニャー」という鳴き声は、「こんにちは」といったシンプルなあいさつです。
注目を集めるため
ネコは人との交流を楽しみますが、ときには声を荒げて「撫でてほしい」「遊んでほしい」「話しかけてほしい」など構ってほしいと要求するネコこともあります。
毎日、長時間ひとりぼっちで過ごしているネコは、注目を集めるためにニャーと鳴くことが多いかもしれません。
食べ物を欲しがる
ほとんどのネコは食べることが好きですが、食事の時間になるとかなり要求してくることがあります。
台所に人が入ると、食べ物が来るかもしれないと思ってニャーと鳴くようになるネコもいます。
また、朝食が欲しいとあなたを起こすために鳴くネコもいます。
中に入れてくれ、外に出してくれと頼むため
ニャーと鳴くのは、ネコが自分の望みを伝える主な手段です。
外に行きたければ、ドアの前でニャーと鳴くことを覚えるでしょう。同じように、外にいるときに中に入りたければ、ニャーと鳴いて中に戻してもらいます。
一般的に、短い鳴き声があいさつなのに対して、中音の鳴き声は、食べ物や外に出してほしいなどの要求を表し、高音の鳴き声は、痛みや怒りなどの苦痛を表すといわれています。
ネコが鳴いても無視しないでください
どうかネコが鳴いても無視してあげないでください。
ただし、ネコが何かをしてもらうために鳴いている理由が確実にわかっている場合は例外です。
それ以外の場合は、何か問題があると考えたほうが無難です。
トイレが使えない、水飲みボウルが空になっている、クローゼットの中に閉じ込められているなどの可能性があります。
ネコの要求が満たされているかどうかを確認してから、ネコがあなたに向かってニャーと鳴いて要求しているだけだと考えてください。
発情したネコは愛情が増し、あなたに擦り寄ってきたり、鳴いたり、床を転げまわったりしてよく鳴く傾向があることも覚えておきましょう。
ネコが鳴きすぎたからといって、叱ったり叩いたりしてはいけません。
叱ることでネコが逃げ出したり、あなたを恐れるようになったりすることはあっても、ネコの鳴き声に持続的な影響を与えることはありません。
いかがでしたか?
ネコが鳴くのは人間に向かってだけなんて驚いた人も多いのではないでしょうか?
個人的には、子育てに通じる部分もあり、勉強になりました。
みなさんも、これからはネコの鳴き声を、これまでとはちょっと違った聞き方ができるかもしれませんね。