もし、サンタがクリスマスイブに1人でプレゼントを届けるとしたら、約2億4千万世帯の子供の家に、世界最高速のジェット戦闘機の1000倍以上の速さで飛行する必要があります。
しかし、そのようなスピードで空を飛べば、宇宙船が大気圏に突入したときのようにトナカイは熱を持って蒸発してしまいます。
一方、重力の何万倍もの力で、サンタクロースは変わり果てた姿に?
以下に、クリスマスイブに、サンタクロースが世界中の子供たちに一晩でプレゼントを配ると何が起きるのかについて科学的に考えて紹介します。
サンタは1人でクリスマスにプレゼントを配ることが無理かもしれない理由
毎年クリスマスイブになると、サンタクロースは一晩で世界中の何百万人もの子供たちにプレゼントを届けると言われています。
しかし、科学的な見地からすると、これは無理かもしれません。
では、具体的になぜ、どのくらい、サンタがプレゼントを配ることは難しいのでしょうか?
サンタがプレゼントを配る家の数
さて、世界にはどれくらいの人数の子供が、クリスマスにサンタがやってくることを期待しているのでしょうか?
明確な人数を把握するのは難しいかもしれませんが、宗教的、文化的伝統を考えると、およそ6億人くらいだと考えられます。
ここで、各家庭に平均2.5人の子供がいるとしましょう。
ということは、サンタは2億4千万もの家を訪問すればよいことになります。
プレゼントを配るタイムリミット
さらに、伝説によると、サンタは子供たちが寝静まったころにやってくるそうです。
つまり、夜の9時から翌朝5時までの8時間という限られた時間にプレゼントを配り終えなければならないということに。
ここで、少し待ってください。
時差のことを忘れてはいけません。
世界には24の時間帯があり、それぞれ1時間ずつずれているんです。
だとしたら、クリスマス・イブの開始時刻は世界各地で異なるため、サンタクロースには31時間の猶予があることになります。
これなら少しはサンタさんも楽になりますね。
しかし、ここで運が尽きてしまいます。
なぜなら、計算するとすべての子供の家に届けるには、世界最速のジェット戦闘機の1,200倍の速さで飛ばなければならないからです。
荷物の総重量は少なくとも60万トン
9頭のトナカイは、地上では平均時速80kmで走るのがやっとです。たとえがんばって走り続けたとしてもこれでは遅すぎます。
トナカイの飛行速度は正確にはわかりませんが、仮にその速度が出せるとしてもトナカイには荷物が重すぎます。
もし、すべての子どもが中型のおもちゃ(たとえばレゴセット)を1つずつもらうとしたら、サンタの袋だけでなんと60万トン、つまり自由の女神像20個分もの重さになります。
一方、トナカイは自分の体重の2倍、約225キログラムまで引っ張ることができます。
これは、トナカイはどこにも荷物を引けないことを意味します。
仮に出発できたとしても、それはそれで大変な旅になります。
音速の3,000倍のスピードが意味することとは?
サンタクロースは、音速の3,000倍もの速さで空中を飛び回るので、発生する衝撃波による大音響が起こり、地上でプレゼントを待つ人々の耳は聞こえなくなるでしょう。
しかし、さらに悪いお知らせがあります。
トナカイたちは飛び立つと、最初の家に着く前に蒸発してしまうのです。
ロケットがものすごいスピードで大気圏に再突入するときに熱を持つように、トナカイも高温になるのです。
そしてサンタは、地球上で最悪のジェットコースターの上に座っているのだから、もっとひどい目に遭うでしょう。
一般的なコースターが加速すると、私たちは座席に押しつけられる感覚を覚えます。
しかし、サンタの場合、もっと極端な速度で加速するため、より強い力で押されることになります。
重力の何万倍もの力でそりに突き刺さり、骨も内臓もゼリー状に砕かれてしまうのです。
しかし、暗い話ばかりではありません。
仮に、サンタと仲間のトナカイたちが奇跡的にこの試練を乗り越えたとしましょう。
サンタは、骨のないぐにゃぐにゃの体で煙突を次々とくぐり抜け、プレゼントを置いて、今度は子供たちが用意したご馳走を頬張ることになります。
それはたくさんのご馳走です。
仮に各家庭でシュガークッキー3枚と牛乳1杯をごちそうになったとすると、7億2000万枚のクッキーとオリンピックプール23杯分の牛乳が提供されることになります。
そうなると、各家庭で用意されたものの合計は3,960億カロリーに。
クリスマスが再び巡ってくるまで、冬眠を続けるには十分なカロリーですね。