銅でできた像や器は、時間が経つとなぜ緑色になるのでしょうか?
これは、紙が黄ばんでいくのと同じように、酸化のせいです。
酸化とは、物質が酸素を獲得する(化合)過程のこと。
銅は、長い間、湿気や空気に触れていると、酸化が始まってしまいます。
酸化の過程で、銅の色は赤褐色から黒褐色に変化し始め、やがて長い年月をかけて緑色に変化していくのです。
以下に、銅が酸化によって緑色になるプロセスについてみていきましょう。
銅の酸化で形成される「緑青」
緑色の層が現れたのは、湿気や空気に触れることで起こったさまざまな化学反応によるものです。
この緑色の層は、「緑青(ろくしょう)」や「青錆(さび)」と呼ばれ、炭酸銅や水酸化銅などからなります。
実際にこの緑青ができると、銅の劣化が進んでいくような気がしますが安心してください。
緑青の効果
緑青は、表面にできたただの層で、像や器などの銅製品を傷めることはありません。
それどころか、銅の表面をこの密度の高い酸化被膜で覆うことで、下の銅をそれ以上の酸化から守り、腐食を防ぎながら銅の特性をそのままに保ってくれているのです。
鎌倉の大仏などが、長い年月をかけて姿形をとどめられているのは、この緑青が腐食の進行を防いでいるからでもあるのです。