エッフェル塔は、ほとんどが鉄からなり、その平均の高さは約324メートルだといわれています。
しかし驚くことに、夏の間は高さが約17センチも伸びるって知っていますか?
それは、熱膨張のためです。
以下に、エッフェル塔がなぜ、どのようにして大きさを変えるのかをみていきましょう。
エッフェル塔の高さは変化している
パリ万国博覧会の目玉としてスタートした300メートルの塔「エッフェル塔」は、130年以上の歴史の中で、頂上にアンテナがつけられたり、設備が追加されたりして、現在は330メートルまで高くなったといわれています。
加えて、一年を通じても金属の構造によって数センチずつ大きくなったり、小さくなったりしています。
それは、熱膨張といわれる自然な物理現象のおかげです。
夏には高くなり、冬は低くなる
鉄を構成する原子は、熱せられる前も常に動いていますが、熱を加えるとその粒子の運動エネルギーが増大します。
すると、原子や分子同士がお互いにぶつからないように距離を広げていき、振動の幅はより大きく、より速くなり、より多くの空間を占めるようになります。
つまり、鉄の膨張を引き起こすために、エッフェル塔の体積が増えるのです。
その結果、タワーの高さは高くなります。
また、太陽があたる面の鉄は他の面よりも温度が上昇しやすいため、日差しの強い夏には、エッフェル塔の頂上が膨張率の違いによって10センチ以上も傾くといわれています。
逆に、冬になると鉄は収縮して背が低くなります。
実のところ、熱膨張係数(温度が一度上がったときに膨張する割合)をみると、鉄は、他の金属に比べて熱が伝わりにくく、熱膨張も起こしにくいことが分かっています。