なぜ1年を季節に分けるのか?「季節はほとんど意味ない」といわれる理由。

なぜ1年を季節に分けるのか知的な好奇心

アメリカでは、春の訪れを動物に予言させるユニークな伝統行事があります。

毎年2月2日になると、米ペンシルバニア州、パンクサトーニーの人々は、グラウンドホッグ(げっ歯類)のフィル君を切株の巣穴から取り出して、冬の終わりを占うのです。

フィル君が巣穴から出て、自分の影を見て(驚いて)再び巣穴に戻ると冬はさらに6週間続き、曇りや悪天候などで陰を見なかった時は春が近いという。

ちなみに、フィル君の正式名称とても長く、全ていうと「占い師のなかの占い師、賢者のなかの賢者、預言者のなかの預言者にして、類まれなる気象予報者、パンクサトーニーのフィル」となります。

彼は「延命の秘薬」を飲んでいるために、1887年から春の到来を予言し続けているようです。

実際には、当然のことながら、げっ歯類は、気象学的に信頼できる春の予測因子ではありません

それでは、そもそも、私たちはなぜ1年を季節に分けるのでしょうか。

ここでは、季節とは何かについて、いつ、どのように「季節」が生まれ、一年が区切られたのかを暦と天文学をもとに紹介します。

「季節」は農場で生まれた

その昔、ヨーロッパでは、農民がいつ春の種の植え付けを始めるか知るために、ハリネズミやアナグマなどが冬眠から出る時期を目安にしていました。

そして、彼らの出現は、主に2月の初旬に見られたため、2月2日の聖燭祭を基準にして、その日に晴れると寒い冬はまだ続き、雨や雪が降った場合は残りの冬は穏やかになると信じられるようになったのです。

ペンシルバニア州立大学の生物学名誉教授であるStamZervanos氏によると、グラウンドホッグデーは、19世紀後半、このキリスト教の聖燭祭にアメリカ人がひねりを加えてつくった新しい伝統です。

冬眠する動物の体内リズムは春の予測因子とはならない

グラウンドホッグは、11月から3月頃にかけて冬眠しますが、2013年の研究によって、彼らは連続してずっと寝ているわけではなく、冬の間に平均して約15回目覚めと休眠状態を繰り返す体内リズムをもちます。

そして、3月の交尾期に備えて、2月の初旬に、求愛者を探すための短い目覚めを迎えます

このロマンチックな前奏曲は、春の到来を期待する農民のニーズと完全に一致しました。

しかし、残念ながら、気象学者や米国海洋大気庁をはじめ、フィルの春の訪れを予測する正解率の低さからみても春の訪れを知るうえでの信頼には足らないと指摘する声は多いようです。

そもそも、私たちはなぜ一年を季節に分けるのでしょうか?

天文学で分けられた「季節」は太陽との距離が関係

私たちにとって、冬は最も寒い時期であり、夏は最も暑い時期であり、春と秋はその間に起こります。

おそらく幼稚園に入る前までに、そこまでは理解していたでしょう。

これらの季節は、地球の自転軸が太陽に対して傾いていることと、太陽との距離が関係しています。

地球は、(公転面に対して)約23.5度傾いた状態で、1日一回り(自転)しながら太陽の周りを1年かけて回っています。

赤道より北(北半球)では、太陽が一番高く、昼が一番長くなるのが夏至。
そして、太陽の高さが一番低くなり、昼が一年で一番短くなるのが冬至。
南半球では、夏と冬の寒暖の時期が逆になります。

太陽から離れる冬は、一年で最も日光が少なく、暗い時期です。

天文学的に季節は、これらの夏至や冬至、春分、秋分などをもとに考えられています。

暦(カレンダー)で区切られた季節と実際の四季のズレ

毎年、春の始まり「立春(2月の初め)」を過ぎても真冬の寒さが続き、秋の始まり「立秋(8月の初め)」が過ぎてもまだまだ暑い日が続くのは意味が分からないよ。

たしかに、こういった疑問をもつ人は一人や二人ではないのではないでしょうか?

立春、立夏、立秋、立冬を四季の始まりとする暦上の季節と私たちが実際に夏らしさや冬らしさを感じる時期が異なるのはなぜなのでしょうか?

それはね、季節は、ある日を境に突然変わるわけではないからよ。

太陽エネルギーで温められた地球は、オーブンに丸めて入った大きなビスケットのように加熱されてもすぐに焼けずに、長い時間をかけて温度がゆっくりと移り変わっていきます。

特に水は陸よりも多くの熱を吸収するので、海や湖の近くの場所では、太陽エネルギーによる温度変化の影響に大きな遅れが生じます。

つまり、夏が来ても、太陽によって水辺が暖められるのは遅く、冬には、水が熱を蓄えているのですぐに冷えるのを防ぐのです。

さらに同じ北半球でも、場所(緯度の違い)によって一年で最も寒い日と暑い日は異なります。

たとえ同じ国内であっても海辺や湖の周辺、内陸地方など場所や環境によっても温度変化は違います。

他にも、地球温暖化の影響をはじめ、さまざまな要因によって季節の区分は毎年異なります。

季節の起源

それでは、「春夏秋冬」4つの季節の起源を知るために、ローマ時代までさかのぼってみましょう。

ローマ人の領土の多くは大きな水域によって隔離されていました。

そのため、彼らが経験した気温は、実際に太陽から受ける影響よりも大きく遅れて変化していました。

ローマ人による季節のシステムは、水域のあるローマ以外では、多くの場所で意味がありませんでしたが、北半球全体に適用されるようになりました。

季節の区切りには完璧な定義がない

  1. 立春、立夏、立秋、立冬を季節の始まりとする暦上の区分、
  2. 夏至と冬至を基にする天文学的な区分
  3. 単純に一年を4等分して、1月から冬、4月から春、7月から夏、10月から秋とした区分

天文学気温のどちらを重視するかによって、季節を定義する方法はたくさんありますが、どれも完璧ではありません

実のところ、自然界のほとんどの生き物は、季節の定義について心配する必要すらありません。

彼らは、彼らが住んでいる地球の自然の気候サイクルに従うだけです。

いくつかのオーストラリア先住民の文化は、この生き物のように自然界から季節を感じ取り、いつのときも周りにある植物や動物に基づいて新しい季節を開始しています。

私たちは、季節の変化に対して、心を引き締めて新たな心持ちで向き合うという考え方もありますが、そもそも季節の区切りに定義を求めるのはナンセンスであるようです。

参照元:
the christian science monitor
Why Seasons Make No Sense