「季節はほとんど意味ない」といわれる理由。なぜ1年を季節に分けるのか

2021年1月16日

アメリカでは、春の訪れを動物に予言させるユニークな伝統行事があります。

毎年2月2日になると、米ペンシルバニア州、パンクサトーニーの人々は、グラウンドホッグ(げっ歯類)のフィル君を切株の巣穴から取り出して、冬の終わりを占うのです。

フィル君が巣穴から出て、自分の影を見て(驚いて)再び巣穴に戻ると冬はさらに6週間続き、曇りや悪天候などで陰を見なかった時は春が近いという。

ちなみに、フィル君の正式名称は長く、全ていうと「占い師のなかの占い師、賢者のなかの賢者、預言者のなかの預言者にして、類まれなる気象予報者、パンクサトーニーのフィル」。彼は「延命の秘薬」を飲んでいるために、1887年から春の到来を予言し続けているようです。

実際には、当然のことながら、げっ歯類は、気象学的に信頼できる春の予測因子ではありません

それでは、そもそも、私たちはなぜ1年を季節に分けるのでしょうか。

ここでは、季節とは何かについて、いつ、どのように「季節」が生まれ、一年が区切られたのかを暦と天文学をもとに紹介します。

「季節」は農場で生まれた


ヨーロッパでは、農民は、いつ春の種の植え付けを始めるかを示す必要があったため、春の到来を知るために、ハリネズミやアナグマなどが冬眠から出る時期を目安にしたのです。

そして、彼らの出現は、2月の初旬で見られたので、ヨーロッパでは2月2日の聖燭祭が晴れると冬はまだ続き、その日に雨や雪が降った場合は残りの冬は穏やかになると信じられていました。

ペンシルバニア州立大学の生物学名誉教授であるStamZervanos氏によると、グラウンドホッグデーは、19世紀後半、このキリスト教の聖燭祭にアメリカ人がひねりを加えてつくった新しい伝統です。

冬眠する動物の体内リズムは春の予測因子とはならない


グラウンドホッグは、11月から3月頃にかけて冬眠しますが、2013年の研究によって、彼らは連続してずっと寝ているわけではなく、冬の間に平均して約15回目覚めと休眠状態を繰り返す体内リズムをもちます。

そして、3月の交尾期に備えて、2月の初旬に、求愛者を探すための短い目覚めを迎えます。

このロマンチックな前奏曲は、春の到来を期待する農民のニーズと完全に一致しました。

しかし、実際には、残念ながら気象学者や米国海洋大気庁をはじめ、フィルの春の訪れを予測する正解率の低さは信頼に足らないと指摘する声は多いようです。

さて、そもそも、私たちはなぜ一年を季節に分けるのでしょうか?

天文学で分けられた「季節」は太陽との距離が関係


私たちにとって、冬は最も寒い時期であり、夏は最も暑い時期であり、春と秋はその間に起こります。おそらく幼稚園の前にそれだけは理解していたでしょう。

これらの季節は、地球の自転軸が太陽に対して傾いていることと、太陽との距離が関係しています。

地球は、(公転面に対して)約23.5度傾いた状態で、1日一回り(自転)しながら太陽の周りを1年かけて回っています。

赤道より北(北半球)では、太陽が一番高く、昼が一番長くなるのが夏至です。

そして、太陽の高さが一番低くなり、昼が一年で一番短くなるのが冬至です。

南半球では、夏と冬の寒暖の時期が逆になります。

太陽から離れる冬は、一年で最も日光が少なく、暗い時期です。

天文学的に季節は、これらの夏至や冬至、春分、秋分などをもとにされています。

暦(カレンダー)で区切られた季節と実際の四季のズレ


立春、立夏、立秋、立冬を四季の始まりとする暦上の季節と私たちが実際に夏らしさや冬らしさを感じる時期が異なるのはなぜなのでしょうか?

季節は、ある日を境に突然変わるわけではありません。

太陽エネルギーで温められた地球は、オーブンに丸めて入った大きなビスケットのように加熱されてもすぐに焼けずに、長い時間をかけて温度がゆっくりと移り変わっていきます。

特に水は陸よりも多くの熱を吸収するので、海や湖の近くの場所では、太陽エネルギーによる温度変化の影響に大きな遅れが生じます。

つまり、夏が来ても、太陽によって水辺が暖められるのは遅く、冬には、水が熱を蓄えているのですぐに冷えるのを防ぎます。

さらに同じ北半球でも、場所(緯度の違い)によって一年で最も寒い日と暑い日は異なります。たとえ同じ国内であっても海辺や湖の周辺、内陸地方など場所や環境によっても温度変化は違います。

地球温暖化の影響をはじめ、さまざまな要因によって季節の区分も毎年同じというわけではありません。

季節の起源


現代の4つの季節のシステムの多くが、その起源をローマ時代までさかのぼります。

ローマ人の領土の多くは大きな水域によって隔離されていたため、彼らが経験した気温は、実際に太陽から受ける影響よりも大きく遅れて変化していました。

ローマ人による季節のシステムは、水域のあるローマ以外では、多くの場所で意味がありませんでしたが、北半球全体に適用されるようになりました。

季節の区切りには完璧な定義がない


立春、立夏、立秋、立冬を季節の始まりとする暦上の区分、夏至と冬至を基にする天文学的な区分、単純に一年を4等分して、1月から冬、4月から春、7月から夏、10月から秋とした区分

天文学と気温のどちらを重視するかによって、季節を定義する方法はたくさんありますが、どれも完璧ではありません

自然界のほとんどの生き物は、季節の定義について心配する必要すらありません。彼らは、彼らが住んでいる地球の自然の気候サイクルに従うだけです。

いくつかのオーストラリア先住民の文化は、そのような生き物のように自然界から季節を定義し、いつでも周りにある植物や動物に基づいて新しい季節を開始します。

私たちは、季節の変化に対して、心を引き締めて新たな心持で向き合うという考え方もありますが、そもそも季節の区切りに定義を求めるのはナンセンスであるようです。