地球上の氷が全て溶けたらどうなるの?

2017年8月30日

今、地球上の氷は確実に溶け始めています。それに輪をかけて、氷の下に眠る石油や天然資源の開発競争が始まり、氷が溶ける速度は加速し始めています。

北極圏に関しては、他と比べて2倍の速度で温暖化が進み、深刻な問題に直面しています。

それでは、地球から氷が全て溶けてしまった場合、私たちの住む地球は一体どうなってしまうのでしょうか?

ここでは、地球上の海や陸から氷が溶けだすことが私たちの生活や環境にどのような影響を与えていくのかについて、AsapSCIENCEから具体的な例をふまえて分かりやすく紹介します。

地球にあるほとんどの水は飲めない

私たち人間は、喉が渇いたら塩分の含まれていない真水を飲みます。しかし、地球上に存在する水は海水が大半を占め、塩分が含まれていない水はたったの3%だといわれています。

しかも、その3%しかない水のうち約70%は、誰も飲むことができません。なぜなら凍って氷河や氷床を形成しているからです。

しかし、これらの何十億年もかけて蓄積されてきた氷河や氷床が、近年急速に溶け始めおり、地球規模でさまざまな問題を引き起こしています。

溶けるのが速い北極の氷の実態

現在、地球上には、3000万平方キロメートル分の水が氷という形で存在しています。北アメリカには、1000メートルもの高さの分厚い層になった氷の壁もあります。

陸上の氷は、氷河や氷床、永久凍土など陸に定着した氷を形成していますが、北極は大部分が海洋なので、氷山や流氷のような海を浮遊する氷を形成しています。

これらの海上の氷は、地球温暖化によって、暖められた海水に直接接しているため、一番先に溶ける氷です。

世界中で気温が上昇し、地球上の氷が溶けていることは誰も否定できません。実際に、2016年にNASAは、北極圏の氷の範囲が歴代最低の水準だと報告しています。

もしかしたら、現在は氷で閉ざされているヨーロッパからロシアへの北極圏沿岸海域を、船で移動できる日が近いうちに訪れるともいわれています。

それは、いくつかの船会社にとってはメリットかもしれませんが、白クマやセイウチなど、北極圏に住む生き物にとっては大問題です。ホッキョククジラ(せみ鯨)やイッカクのような海に住む生き物たちは、これらの環境の変化への免疫は持ち合わせていないからです。

北極の氷が溶けた場合の影響

今、北極圏で、新たな問題が起こっています。氷に覆われていた北極の海底に眠っている未開発の石油や天然ガスといった膨大な天然資源に狙いを定めた石油会社などが競って開発に乗り出し始めたのです。

そして、彼らの開発手法が、かえって北極圏の氷が溶ける速度を加速させています。海の氷が溶けるにつれて、未開拓の地はますます増え、さらに開発を加速させるという悪循環が生まれているのです。

さらに、天然資源の開発は、クジラなどの海洋生物に肉体的危害を与えるだけでなく、生息地を変えざるを得ない状況にまで追い込んでいます。

海に浮遊している氷が溶けること自体は、海面の上昇にそれほどの影響は与えません。それよりも大きな問題は、陸上の氷が溶けてしまうことです。なぜなら、地球上にある氷の95パーセント以上が陸上に属しているからです。

陸上の氷が溶けた場合の恐ろしい損害

陸上の氷のほとんどは、グリーンランドと南極大陸にあり、その範囲は、アルプス山脈を全て覆うほどだといわれています。

もし、それらの氷が全て溶けてしまったら、世界はどうなるのでしょうか?

海面は上昇し、海抜70メートル付近まで、海に浸水してしまうでしょう。それによって、世界中の海岸付近の街は全て海に沈みます。東京やニューヨーク、サンパウロ、ムンバイ、上海、ジャカルタなど世界的にも大都市といわれる街も海に沈んでしまうでしょう。

いったいそこに住んでいる人びとはどこに行けばよいのでしょうか?だれが、移動にかかる費用を負担するのでしょうか?

実際に、海面の上昇がわずか60cm上昇するだけで、毎年1兆ドルにもおよぶ損失が発生すると推測されています。

仮に海面が10m上昇した場合、世界中の人口の約10パーセントに相当する6億3000万人もの人が強制的に退去させられます。25mでは14億人に達し、世界のおよそ20%の人口が家を失います。

70mでは、アメリカ西海岸の大部分、フロリダ州全体、バングラデッシュや中国などを含むアジアの広範囲が海になり、オーストラリアにおいては、大陸の形が大きく変形します。

ヒマラヤを始めとする高い山脈の氷河が溶けると、川の水量は減り、近隣諸国は深刻な水不足に陥ります。

上記のような背景から、住む土地を求めて人口の大移動が起こることは避けられないでしょう。

氷がなくなると、温暖化が加速する

現在、北極と南極はたくさんの白い氷で覆われています。これらの氷は、太陽光を反射していましたが、もし溶けてなくなってしまうと、地面や海が直接熱を吸収して、どんどん温められていき、温暖化は加速します。

海の物質循環に異変が起こる

海の水は、対流によって真水と塩分を含む水が循環し、海水の栄養や化学物質、塩分濃度といった物質循環のバランスを取っています。これは、海洋のコンベアーベルト(熱塩循環)と呼ばれています。しかし、今このコンベアーベルトは明らかに変動しています。

これまでは、コンベアーベルトのおかげで、海水の栄養素や化学物質はバランスよく循環し、プランクトンや魚、私たち人間は、食料源を得ていました。また、私たちが呼吸で体内に取り入れている酸素の半分は、海洋植物によって生み出されています。

このまま温暖化が進み、グリーンランドの塩分が含まれていない氷が溶けて、真水が全て北大西洋に流れ出たら、 おそらく海の循環機能は混乱を招くでしょう。

気候が変わる

グリーンランドの氷が溶けると、メキシコ湾から北極海に入る暖流が変化するため、この暖流のおかげで冬に暖かかったヨーロッパ西部の気候も変わる可能性があります。

気候が変わると、その地で育つ作物も変わります。

このように、地球温暖化は、海面上昇だけでなく、地球規模での気候変動や異常気象、生態系の変化、水不足、食料事情に大きな影響を与えていくでしょう。

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