みなさんは、海水が温まることでも海面が上昇することをご存知ですか?
「熱膨張」と呼ばれるもので、実は、氷冠や氷河が溶けるよりも、さらに海面上昇に大きな影響を与えているといわれています。
今回は、そもそもなぜ海面上昇が引き起こされるのか、その理由について、熱膨張の仕組みを中心に分かりやすく紹介します。
熱エネルギーが水の体積を大きくする「熱膨張」
気温が上がると、海水の温度も上がり、熱膨張と呼ばれる現象が起こります。
ストーブで水を沸かすと、水が加熱されて、水の粒子がより激しく動き始めるため、実際に水の体積が増加します。
これは温度計でも見ることができます。内部の流体が加熱されると、体積が増えて細い管の上方に押しやられて移動していくのです。
このような場合、熱エネルギーが加わって「水」の体積が増加し、水位が上昇したといえます。
蓄えられた温室効果ガスの90%以上が海に吸収される
注目すべきは、地球の表面の70%が海で覆われており、海水の量はなんと13億立方km3以上と膨大なことです。
そして、地球に閉じ込められた熱の90%以上が、海洋に吸収されていると考えられています。
実際に、船舶、衛星、漂流物センサーによる海表面の温度測定をはじめ、地下の測定、地球規模の海面上昇の観測から、20世紀に起こった海洋上部の温度上昇が熱膨張による海面上昇を加速させたことは明らかにされています。
この現象はその後も続き、2004年以降に衛星高度計で観測された地球全体の海面上昇のおよそ3分の1をもたらしたことも分かっています。
身近なものでできる熱膨張の実験
海面上昇は、さまざまなプロセスによって引き起こされています。
身近なものを使ってモデルを作り、熱エネルギーを加えると水が膨張することを示すことで、このプロセスの仕組みを知ることもできます。
材料と手順については、以下のNASAの動画をご覧ください。
参照動画:https://youtu.be/hrufTakwFHg
シミュレーションでは、海の温度が2℃上がると、地球規模で海面が4%から10%増加することが示されています。
参照元:
・The Truth About Rising Sea Levels
・communications earth & environment
・Understanding Sea Level